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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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「直接、部外者が神獣達の世話ができないだろう?だから色んな所に彼らの好きそうなオヤツを置いてみたよ。今のところ、どれも良い反応みたいだ」

「サオリ…餌付けされてる…スネイプニルのプライドは?」

「もうすでにリリに散々、餌付けされてしまってるだろ」

「えっ?!そうなの?」

「無自覚か」


「ハハハ。我が国の神話にも妖精に惑わされる神獣の逸話があるよ。君も惑わされた一人だろう?」

「俺も神獣扱いか?」

「赤い髪はフェニックスだからな。ところでゆっくり休めたかな?この後、君達を歓迎する宴を開くから準備に人をやるよ。また会おう」

 王配様と別れて先程、厩舎まで案内してくれたサムとまた部屋に戻ると、部屋の前に数人の女性が待っていた。


 女性達はリリベルと殿下に気付くと頭を下げ「王配殿下の命により宴の準備の為に伺いました」と代表の女性が西の国の言葉で伝えてきた。

「西の言葉を話せるんですね」

「はい。ですが私は東の国の出身です」

 私達が意思疎通で不自由しないようにと王配様が彼女を通訳として付けて下さったようだ。


 部屋の中に衝立を立てて、左右でそれぞれ着替えをする。

「わ〜軽くて涼しい服ですね」

 リリベルに用意されたのは上からストンと被るようなシンプルな白のワンピースだが締め付けも無い分、通気性も良い。だが裾や袖には金糸の刺繍がされていて、とても高価な服に見える。


「妃殿下、とてもよくお似合いですわ」

 手伝ってくれた女性の皆さんが褒めて下さるのはいいが…

「本当に火の粉の妖精のようですわ」

 と皆さん口々に言っている。

 火の粉って…火山の国の言葉なら分からないとでも?


「その…火の粉って…」

「ああ。金の髪が本当に美しくてつい」

「王子妃様、火の粉の妖精とは男性を惑わす存在の意味もありますが、純粋に美しい女性にも使いますわ」

 と通訳の女性が説明して下さるのだが…

「本当かなぁ?」と思っていると衝立の反対側でも声が上がる。


「まあ殿下!素敵ですわ。お似合いです」

 ザック殿下も着替え終わったんだ。

 ザック殿下側の方が盛り上がっている気がするが、彼はマダムキラーですからね。しかも赤い髪だし。


 リリベルが鏡台で化粧を施されていると、後ろに立っている女性達が話しているのが聞こえる。

「女王陛下からお二人の世話には男女共に、若い者をつけるなと指示がありましたけど、納得ですわ」

「見目麗しいお二人ですものね」

「ええ。特に王子殿下には近付けたらダメね」

 ‥‥‥そんなに?!


 リリベルが驚愕していると「リリ、準備できたか?」とお揃いの衣装のザック殿下が声を掛けてきた。

 確かに良い男です。火山の国の衣装も素敵です。

 それに「リリ、可愛いな。行こう」と言って手を差し出してくれる。とても優しい夫なんです。

 「まあ仲睦まじい!」と女性達からも声が上がる。


 サムの案内で宴の会場に向かう。

 着替えを手伝って下さった女性達も後ろから静々と着いてくる。

 会場に入ると、すでに女王陛下も王配殿下もお揃いで「アイザック王子、リリベル妃よく来たわね」と女王陛下が出迎え、声を掛けて下さった。

 私達は殿下と二人で礼をする。


「お招きありがとうございます。それに歓迎の宴まで開いて下さって」とザック殿下と言うと「まあ聞いてはいたけど、本当にこちらの言葉を学んで来てくれたのね!」と喜んで下さった。


 でもリリベルを見て「まあ!やっぱり火の粉の妖精ね」と仰った。

やはりそれって良い意味じゃないよね?と思ったが、それを指摘する前に気が付いた。女王陛下は体の線を拾うピッタリとした豪華なセクシー衣装だったが、お腹が少し大きかった。

 

 リリベルの視線に気付いた陛下が、微笑みながら「今、7ヶ月よ」と仰った。

 わーやっぱりだ!おめでたい!

「おめでとうございます」と感激して伝える。

「ありがとう。残念だけど私は今はテキーラもお酒も控えているの。でもねぇ“リリベル”はもう飲んだ?」

 と口の端を上げてニヤリと仰った。

「勝手に人の名前を付けましたね?」

「君が発案者だから当然だろう?火の粉の妖精とは悪い意味だけじゃないから安心しろよ」

 と王配様が陛下の腰に腕を回す。


 お二人の仲も良さそうで安心だが“火の粉の妖精”という呼び名に関しては安心ならないぞ!

「君が心配すべきは彼だぞ」

 と言われて会場内を見渡すと、老若男女、皆がザック殿下に大注目している。

「皆の反応が予想通りだから今日は立食はやめて、着席スタイルにしたが、皆、きっと君達の席に来るだろうな」


 私達は席に案内されたが食事が始まっても、途中から「食わせろよ!」と思える程、皆が挨拶に来た。

 ほとんどがザック殿下目当てだが、妻の私が夫を放って食事などできる訳がなく、夫と一緒に挨拶を受ける。

 ここに招かれた人達は、ほぼ王族とその血縁の高位貴族だそうなので無碍にできない。

 そしてやっぱり令嬢も紹介される。


 文化の違いのせいなのか、堂々と「第二夫人や側妃にどうか?」と聞いてくる。リリベルはさっきからお腹も空いているので限界が早かった。

 だからつい皆に聞こえるように大きな声で言ってしまった。


「女王陛下、王配殿下、私はこの国の言葉を習い始めたばかりで、よく分からないのですが、この国の言葉を教えて下さった先生から、腹が立ったら「こう言え」と言われましたの。「Bangsat!」私、お腹が空きました。今晩は私達の歓迎会では?ここに居る全員、Bangsatですわ。使い方合ってます?」


 その場はシーンとなり、その後、リリベルは無事にご飯が食べられた。

Bangsatの意味は次話で。

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