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翌日、日が暮れてから火山の国の検問所に向かうと、また検問所の偉い人が出迎えて下さった。
朝の内に王配殿下に向け、ハヤブサを飛ばして下さったそうで、私達がどの時間に王都に着いても大丈夫だと仰って下さった。それに今夜は大きなキャラバンの移動も無いそうで道もそんなに混まないだろうと言う事だった。
だが火山の国は全くの初心者なので、地図でしっかり道を教えてもらう。
王都への道は広くて大きいので、分かれ道があっても大きい道を選べばいいと言われた。それに行き先の看板もちゃんとあると言われたけど馬達はそもそも看板を見ない。
そして道は舗装していないそうだ。
なぜなら真夏の日中は気温が40度を超える日もあるので、石畳にすると石が焼けるように熱くなって、人も動物も歩けなくなるのだそうだ。
雨もずっと降っていないから馬での移動ならマントをしっかり被って土埃も吸わないようにとアドバイスもされた。
そして少し重くても大きな水筒を携行しろと言われたが、これはザック殿下もいるし水の魔石もあるので大丈夫そうだった。
王都に入って中心部分に向かうと宮殿が見えてくるそうだ。
火山の国では王族の住まいは城ではなく宮殿と呼ぶのだそうだ。
宮殿の建物を目指して進み、入口の門番に見せれば入れてもらえると、王配殿下の印が押された通行証をもらった。
ちなみに説明下さった検問所の所長は南の国の言葉が堪能な方だったが、全て火山の国の言葉で説明してもらった。
私達がどれぐらい理解できるか試したかったので依頼したのだ。
私もザック殿下もゆっくりで、時々意味を確認しながらの会話なら何とかなりそうなレベルだった。
本当に1ヶ月間、頑張って良かったよ〜!
私はサオリに地図を見せて道をしっかり説明する。
そして検問所の所長にお礼を言って、ついに火山の国に入国した。
検問所を出ると道沿いの建物には沢山のラクダが繋がれていて、私もザック殿下も初めて見るラクダに目が釘付けになった。
サオリとセノビックはラクダを見ても全く興味無さそうで、むしろ面倒臭そうに「行くぞ!」って先を急かしてきた。
確かにここではラクダよりも白馬が目立つ。
そしてザック殿下の赤い髪。
所長の反応からしても、マントは土埃対策よりも赤い髪を隠す方が重要だと感じるくらいだった。
それからしばらく道を進み始めて直ぐに気付いた。
サオリがあまりスピードを出さないのだ。
駆け足の速度くらい?
だからセノビックもすぐ後ろに着けている。
調子が悪いのだろうか?
魔石のお陰で気温の高さも気にならないはずだけど。
「サオリ、大丈夫?」
リリベルはサオリの背から声を掛ける。
サオリの様子から体調に問題はなさそうだけど…でも走り方。
そうか!この土の道だ!
サオリは土埃が立たないように走っている。
なるべく地面の土を巻き上げないように!
何て器用なの?!
自分も土埃を吸うから?
「サオリ、気付かなくてゴメンね。サオリにも風魔法をかけるね?そうしたら土埃を吸わずに済むよね?」
少し止まってザック殿下にも伝えると「リリ、これまでスネイプニル達は真っ暗な夜の道でも、灯りが無くとも走ることができた。きっと夜目が利いているんだ。だけど土埃で視界が遮られたらどうだろう?」
「もしかして土埃を吸い込む事よりも視界の問題?」
乾いた道では風が吹いただけで砂塵が舞う。
「両方かもな。だから馬達の顔に土埃がかからないように風魔法を調節しないといけないのかも」
「それってスネイプニルの全力疾走の中、風圧を抑える魔法と同時に馬の視界も確保するってこと?!ちなみに殿下はできそう?」
「無理だな。属性でもない二種類の魔法の同時展開は魔石を使っても多分できない」
「じゃあ普通のスピードで走ってもらえれば、視界の土埃を払う風魔法だけだからそれは可能かな?」
「ああ。それなら出来るよ」
「サオリに聞いてみるね」
「サオリ、私が風魔法で土埃を払って視界も呼吸も困らないようにするから、普通のスピードで走ってもらえない?」
本来のスネイプニルのスピードで走るなら王都には夜中に着く予定だったが、普通の馬の速度くらいなら早くて午前中だろう。
サオリもセノビックも理解したようで、直ぐに走る気満々だ。
「よし!じゃあ風魔法をかけるよ」
私はサオリの後頭部から前に向かって強い風が吹くように風魔法を発動する。
サオリは最初は駆け足くらいで様子を見るが、土埃が大丈夫そうだと判断するとスピードを上げる。私もそれに合わせて風魔法を調節する。向きと威力。なかなか前を見て集中しないと難しい。
でもサオリの土埃を防げば自分の顔にもかからない。
少しずつ要領が分かってきて風魔法で自分達を包めるようになって来た。後ろから前に向かって風を吹かせるので魔力は食う。
魔石の魔力だから問題ないけど。
サオリがスピードを上げ出した。
もしかして、いつものスピード近く出ている?
だけど風魔法逆噴射のお陰で風圧も感じない。
二種類の魔法を発動しなくてもいけるじゃん!
私はちょっと嬉しくなってザック殿下の事なんてすっかり忘れてサオリと爆走し、また一人で明け方の王都に着いちゃった。
ねぇサオリ、少し待ったら直ぐ追い付いて来るかなぁ…。




