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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 翌日、お墓の管理者から、こちらの問い合わせに対する返信が来て、やはりスネイプニル達はお墓のお供え物を食べていたと判明した。


 だけど私達が白馬に乗って訪れた事があったので、管理人も墓の前の売店の店員達も神獣だと知っていたそうだ。

 だから逆に馬達の好物のお菓子や食べられる野菜を多めにお供えしてくれていたのだと報告された。

 本当にごめんなさいだ。


 私達は双方にお詫びと代金を支払うと言ったのだが、殿下方が対応するから良いと言われてしまった。

 だけどサオリはやはり時折り龍康の石像をずっと眺めていたそうだ。だから盗み食いの目的だけに行った訳でもなさそうだけど、本当に馬の躾けがなってなくて済みませんだ。


 スネイプニル達を忙しさのあまり放っておいてしまったのは自分達だ。

 だから責める事もできない。

 むしろ馬達に申し訳なさを感じてしまう。


「サオリ、サオリは龍康を知ってるの?それともただ気になるだけ?」

 スネイプニル達の気持ちも、言いたい事も何となくリリベルには分かる。

 だけど詳細は、やはり会話ができないから分からない。

 神様方はスネイプニル達とも会話をしていたっけ。

 ちょっと羨ましいなとリリベルは思った。



「リリちゃん。とうとう火山の国に向かうのね」

「王女殿下、火山の国からも沢山お祝いを頂きましたし、招待したいとのお手紙も頂いたんです」

「そう。気を付けて行ってね。それより今朝の新聞を持って来たよ。どの新聞もリリちゃんとザック君の踊りを称賛するものばかりだったよ。良かったねぇ」

「本当ですか?安心しました」


 盆ダンス大会も終わって、私達は数ヶ所の酒蔵の見学もでき、いよいよ火山の国に向かう。

 夜通し走れば、恐らく南側の火山の国との国境付近には1日で着ける。

 王太子殿下が南の国境の砦に一泊して、火山の国にもスムーズに入れるようにハトを飛ばして下さったそうだ。


 火山の国は赤道直下なので、もっと気温は高いそうだが王都の方は湿度は低く空気が乾燥しているそうだ。

 国土は広いがジャングルと火山帯、砂漠地帯が国土の大半で、広い割には人口は南の国よりも少ないのだと言う。しかし資源が豊かなお陰で貧困も少なく治安も安定しているとガイドブックにはあった。


 出発の前日の朝、リリベルは西の王太子殿下に向け伝令鳥を送る。

「盆ダンス大会は無事に終了しました。明日、火山の国に向かいます」


 今日が南の国で過ごす最後の日だ。

 お土産や増えた荷物などは、ザックさんの商団にお願いしてある。

 リリベルとザック殿下が厩舎の掃除をしていると、王太子殿下と王太子妃様がアンドリュー王子の手を引いて厩舎までやって来た。

「君らが去ると寂しいなぁ。美しい馬達ともまたお別れか」

 アンドリュー王子は馬場にいる白馬達を見て目をキラキラさせて「あっちへ行こう!」と王太子妃様の手を引っ張っている。


「おお我が息子もスネイプニルの美しさが分かるようだな。ハハハハ」

 ハハハじゃないぞ王太子殿下!

 二歳のアンドリュー王子の力に王太子妃様が負けそうだぞ!と思った瞬間、アンドリュー王子が母親の手を振り切って柵の下からセノビック目掛けて走って行く。


『ああっ!』誰の叫び声か分からないが、もしかしたら全員が叫んだのかもしれない声が馬場に響き渡る。

 セノビックは転がるように走って来る子どもに気付くと、警戒しながら距離を取っているが、サオリは逆に子どもに向かって行く。


「サオリッ!」

 リリベルが叫ぶ。


 王太子殿下が柵を飛び越えようとしたが、ザック殿下が抑え、代わりに柵を飛び越え走って行く。

「アンドリュー!ザック!」

 王太子妃様の悲痛な叫び声を聞いて、護衛の武士達も柵の中に入ろうとするのを急いで止める。


「スネイプニルを興奮させないで!」

 ザック殿下が子どもにたどり着く前に、サオリが先にたどり着いて子どもの首根っこを咥えた。

「サオリ!そのままこっちに」

 とリリベルが言うとサオリはアンドリュー王子を口にぶら下げて持って来てくれた。

 アンドリュー王子は、何が起こったのか分からずキョトンとしている。


 リリベルはアンドリュー王子をサオリからもらって、そのまま王太子殿下に渡す。

「王太子殿下、サオリはこれでチャラだって言ってます」

「何を?」

「お墓のお供え物を荒らした事を」

「おっおぉ…そうか。一応、罪悪感があったのか?」


「ちゃんと叱ったんですよ。お外の食べ物は“ご自由に”じゃないって。特にお墓の食べ物はドラゴン様のだよって」

「そうか賢いな。だけどサオリ、かたじけないな。明日、この国を出る時にオヤツにモナカを持たせてやるぞ。そうだ栗入りにしてやろう!抹茶もあるぞ」

 それを聞いてサオリは嬉しそうにシッポを振っていた。

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