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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 宴会が盛り上がる中、ザック殿下がソッと私に伝えてくる。


「リリ、夕方からサオリ達がまた抜け出したみたいだ。見張の武士が、さっき報告をくれた」

「もしかして?」

「うん。王家の墓か、ご霊山の方じゃないかって」

「そう。もう夜になったから戻って来るかな?」

「多分な。行くか?」

「うん。でもザック殿下まで抜けると悪いから私だけ行ってくる」


「リリが主役の宴だろう?」

「サオリが無事に戻るか心配だから」

「分かった。何かあったら直ぐ呼んで」

「ありがとう」


 私は王家専用の厩舎に向かう。

 毎回、ちゃんと戻って来るから大丈夫なんだろうけど、私達がもっと世話をしてあげられたら脱走しなくても良かったはずだ。ラント様と来た時は大人しくしていたし。

 でもサオリがいつも出かける場所も気になる。

 

 リリベルが厩舎に着くとサオリもセノビックも、まだ戻ってきていなかった。

 広い馬場にもいない。

 リリベルは馬場の柵にもたれて2頭を待つ。

 2頭は真夏の炎天下を避け日暮れ頃出掛けたのだ。

 暗い方が目立たないしね。


 少し考え事をしながら待っていると王女殿下に声を掛けられる。

「リリちゃん、心配しなくても大丈夫だよ。サオリはきっとリリちゃんが忙しくて面倒みれなかったから脱走した訳じゃないよ」

「王女殿下、ありがとうございます。でもちょっと心配で」


「リリちゃんは盆ダンスの盆の意味を知っている?」

「盆?考えた事ありませんでした。そう言えば何でしょう?」


「盆とは先祖の霊が国に帰ってくる事を言うんだよ。だから龍をまつる神社やお墓にはお供物をして先祖の帰りをお迎えするんだ」

「それは龍神様が戻って来るのですか?」

「そう。主に龍神や家族、仲間が戻って来るっていう言い伝え。だから盆ダンスはお迎えして、お送りする踊りなの」


「なるほど。神事なんですね。そう聞くと余計に私達が踊って良かったのかと思います」

「ふふっ関係ないよ。今では、ほぼただのお祭りだし。だけどご先祖様の霊は帰って来ているのかもしれないね」


「もしかしてサオリの脱走と関係があるのですか?」

「さあ。でもサオリは“龍憑き”のサオリの名前をもらったんでしょう?だったらサオリの霊に会いに行っているのかもね?」

「待って!サオリは龍康の像をすごく見てた。もしかして龍康のほうなんじゃ?!」


「そうか。ダンナ様の方かもね。だったらサオリはサオリの生まれ変わりだ!凄いね」

 そんな事ってあるの?!

 生まれ変わりだとしても、神様が間違ってるよ!サオリ。

 今は北の女神様の馬だ。


 タロウとジロウの像に突進しかかったのも、敵じゃなくてジェラシーだった?

 石像に反応したのはサオリだけで、セノビックはタロウ、ジロウの像はどうでも良さそうだった。

 まさかねぇ…。


「あっリリちゃん、サオリが戻って来たよ!良かったねぇ。私、また宴会場で待ってるからサオリ達を迎えたら戻って来てね」

「はい。王女殿下、ありがとうございます」

 

 リリベルは、柵を乗り越え馬場に戻ってきたサオリとセノビックに声を掛ける。

「お帰り二頭とも。お出掛け楽しかった?ごめんね。私達があまり構ってあげられなかったからニ頭だけで行かせて」

 

 サオリもセノビックも気にした様子もなく、リリベルに近寄って来て頭を擦り付けて甘えて来る。

 だけど気付いてしまった。

「ちょっと!ニ頭とも何か付いてるよ?」

 よく見るとセノビックの顔とサオリの鼻の頭…これモナカの皮のカスだ!


 もしかしてニ頭ともお供え物のお菓子を食べに行っていたの?


 ニ頭が誰かからお菓子をもらって食べる事はあり得ない。

 だったら先祖を迎える為のお供え物を食べた可能性が高い!

 衝撃的過ぎる!

「ちょっと!ニ頭ともっ、それって盗み食いだからね!」

 リリベルは逃げようとするニ頭をしっかり注意してから宴会場に戻った。


「えっ?スネイプニル達が墓のお供え物のお菓子を食い荒らしたかもしれないって?ご霊山のお供え物もか?」

「マジか〜。墓と山の管理人に聞いてみるか。そうか脱走の理由はお菓子か、笑えるな〜」

 宴会場に戻ってからリリベルは、王太子殿下と第二王子殿下に馬達がお墓やご霊山のお供え物を食べたかもしれない事を報告しお詫びした。


「もしかしてモナカか?あれお代わりするぐらい気に入っていたもんな」

「そう。2頭の顔や鼻にモナカのカスが付いていたの」

「スネイプニルが人からお菓子や食べ物をもらう事は無いもんな。それに野外に食べ物を置く習慣も東西の国には無いし、北はもっと無いだろ?」


「そうか。だったら『良いもん落ちてた』って感覚なのか?だが拾い食いは危険だな。毒を盛られるぞ」

 何でも食べる訳じゃないと思うし、毒や危険な物は見分けそうな気はするけど、確かに今後は気を付けないといけないかもな。


「兄様達、スネイプニルも神獣だからお供え物だったら食べたって良いんじゃない?」

「そうか、そうだな。それに供えた物は、昔と違って今は廃棄する事が多いからな」

「昔は違ったんですか?」

「昔は供えた物は、盆が過ぎれば貧しい者に分け与えていた。施し用としてもお供えしてたんだ。今は飢える者も貧しい者もほとんどいないからな」

 そうか神殿への寄付や施しみたいな意味もあったんだ。

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