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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 盆ダンス大会当日を迎えた。

 リリベル達の盆ダンスのお披露目は全ての踊りが披露された後、なんと最後だ。

 何で、それを当日知らされるんだよ!

 

 1ヶ月前に踊りを習い始めたばかりの素人をなぜ最後に?

 しかも第一会場だ。南の国民の皆さんの心中は大丈夫なのだろうか?

 前回のような大会の合間の余興とは違う。

 王族とは言え、外国人がトリの盆ダンスなんて許されるのか?!


「ちゃんとパンフレットにも載せてるし、説明もしてあるから大丈夫だよ」

 王太子!そう言う問題ではないと思うけど。

「そうだ大丈夫だ!我々、南の国民は広い心を持っている」

 第二王子!国民の広い心頼りになってるぞ!

「リリちゃんなら大丈夫だよ」

 王女殿下の身内贔屓も信用ならない。


「諦めろ!もう踊るしかないだろ」

 誰のせいだよ!

「リリちゃん、殿下、ご不安かもしれませんが、お二人なら大丈夫だと私達が太鼓判を押しますわ!自分達を信じて」

 先生方が主犯なんですよね?

 ご自身達の教師人生も大丈夫なんですか?!


「リリ、落ち着いてくれ。大会のスケジュールをよく見ると、俺たちの踊りは全ての踊りが披露された後だろう?一旦終了する流れだ。という事は我々の踊りの前に帰ってしまう観客もきっといる。つまり「お暇な人は残って見て行って」って事に俺は感じるんだけど」


「なんだ、アイザック気づいたのか〜?つまらんな」

「チェッ、せっかく最後にして「大トリなんて!」と動揺させてやろうと思ったのに」

 まだ…殴られ足りなかったのか?と睨んでやるる。


「もう十分だろう?私達は君にちゃんと殴られてやっただろう。悪いが我々も保険はかける。国の伝統芸能だし目の肥えた国民相手に王族だからと失敗は許されない」

「という訳で気楽に踊ってこい!」

 プレッシャーは薄れたが、気持ちのモヤモヤは直ぐに晴れるものではない。

 だが、もう止めた。本番に向けて心を無にしないと疲れるばかりだ。

 南の王族達の相手もだ。


「君達の衣装はちゃんと特注しといてやったぞ!他の出演者と同じ藍染めのユカタだが、それだけじゃつまらんだろ?」

 ほらっ直ぐにこんなのばっかだ。


 午前中の女踊りと男踊りは最前列に設けられた王族席で観覧させてもらう。

 その後、昼食の休憩で本番用のユカタに着替える。

 私のは藍染めに空色の菖蒲が描かれたユカタに赤色の帯、ザック殿下は同じく藍染めに緑の笹が描かれ、黄色の帯のユカタだった。

 

 確かに他の出場者と同じ藍染めのユカタだけど、我々のユカタはより特別感がある。

 どんなに私達が大会終了後のオマケ扱いだったとしても、第一会場で藍染めのユカタを着て踊るのだ。

 今まで練習を重ねた渾身の踊りを見せないと先生だけじゃない、南の国の皆様に失礼に当たるだろう。


 着替えた後も、また王族席で見学させてもらう。

 男女混合はまず男性側の片思いの踊りから始まり、告白して女性と両思いとなった踊りで締めくくる。

 次は女性の片思いからで今度は失恋の踊りで終わる。

 どうして女性側が失恋なのかというと、女性の失恋の踊りは、胸を打つ美しい踊りだと評判が高い。

 盆ダンスの中で唯一悲しみを誘う踊りなのだ。


 男性の失恋の踊りはヤケ酒とか馬鹿騒ぎ的な踊りで、女性側の失恋の踊りのほうを見たいと言うのが国民の総意なのだそうだ。

 その後、両思いの恋人もしくは夫婦の踊りだ。

 本当は私達もこの中で踊るはずだったんだけどな〜。


 二年前の王女殿下とザウルス様もこの踊りを踊ってらっしゃった。

 私達はどこで間違ったのか?と思う。

 だけど気持ちを直ぐに切り替える。


 男性側の恋と告白の踊りは、自分達も学んでいないので興味深い。

 それに二年前に見た時と今回とではやはり見方も違う。

 学んでから見ると、全てではなくとも何となく意味が分かるからだ。

 

 それに女性がフラれてしまった踊り。

 首を振りながら小さくなり袖で顔を隠して涙を流す。

 そそと泣く、その仕草が手先が動きが全て美しい。

 悲しいのに、どうしてこの踊りが見たいのかよく分かる。

 もちろん女性がヤケになる失恋の踊りもあるそうだが、競技では採用されないそうだ。

 それはそうだ。誰が他人のヤサグレた姿を見たいか?!


 両思いの踊りが始まる前に自分達も出演の為、席を移動する。

 これが終わったら、皆、帰ってしまうのだろうか?

 王太子妃様の弟とは言え外国人が踊る盆ダンスなんて見たいと思うのか?


 だけどワルツの時と同じだ。

 余興と思えば緊張しない。

 ザック殿下の表情にも余裕がありそうだ。

 残ってくれた人はきっと物好きだ。

 その人達の胸を借りよう。

 そう思ってリリベルは、呼ばれてステージに上がったのだった。

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