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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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また頭を空っぽにして頂く時間です。

「リリちゃんがザック君と踊りを合わせるんですって」

「大会で披露する踊り?」

「それもだけど何でも一連の恋愛の踊りを全てマスターしたらしいの」

「へえ〜。まだ踊りを始めて10日だろ?それなのにか?」

「でも先生が言うには振り付けをマスターしただけだから、本番に向けてはこれからだって」


「そうだろうな。だったらアイザックと合わせるのも、そう早い訳でもないな」

「でも楽しみね」

「遠慮なく意見してやろうな」

「そうだな。我々の伝統芸能だしな」

「私のリリちゃんは大丈夫!いつも完璧だよ」

「王女は本当にリリちゃんが好きねぇ」


「お前、息子よりその人形を抱っこしてる方が多いよな?」

「抱き心地良い〜」

「あ、ザック君が来たわよ。始まるわよ!」

「皆、静かにな!緊張させると悪いからな」 


 しっかり全部聞こえてるし…また王族全員集合してるし…

 それ以外のギャラリーも…一体何なのか?!


「リリちゃん!雑念を払うのよっ。大丈夫、あなたまだ女踊りを習って10日よ。ザック君もなんだから。王族の皆様も踊りは上級だから胸を借りて見てもらうのよ!」

 おぉ前向きの激励ありがとです。

 でも私も心がお出掛けする事も多いから大丈夫。

「リリ、待たせたな」

 ザック殿下もいらしたし、さあ心よさらば〜!


 音楽が流れ始める。

 最初は恋をするところからだから、しばらくは私の一人踊りだ。

 先生の言われた通りに踊るだけだが、先生発案の乙女シチュはシャーロットもきっと大絶賛だろう学園物に近い。


 美しい花ビラが舞い散る春の学園。

 入学式、あなたに出会って胸がときめいて〜何度か接して言葉を交わして、フトした仕草にあなたを好きだと自覚する。

 今、はっちゃけてるところだ。


 私はここよ!私に気付いて〜あなたの為に何でもするわ。

 着替えのパンツはここよっママが居ないと何も出来ないでしょ?

 

 ほら“お節介ウザくね?踊り”発射だ〜っ!

 とっても素敵なあなたですもの。

 やっぱりライバルはいるわよね。


 女の影がチラつくわ〜疑ってぇ嫉妬してぇ、そんな女がいいの?

 私の方が良い女なのにぃ〜はいっ地団駄ぁっ!


「マジか…凄いなリリちゃん」

「入り込んでるな」

「シッ静かに!」

 音楽とリリベルが踊る衣擦れの音以外、その場はシーンと静まり返り皆が踊りに注目している。

 ここから告白の踊りで男性登場だ。


 音楽と共にザック殿下が踊りながら加わる。

 ドキドキバクバク寝不足です!でもあなたに想いを伝えたい。

 あなたの気持ちを知るのは怖いけど、ここまで来たらヤルしかありません!


「好きだぁ好きだぁ好きだぁ」の三連発。

 “ついに告っちゃいましたぜぇ”の踊り。

 ザック殿下がそれに応える。


 男性側の応え方にもいくつかパターンがあると聞いた。

 ジゴロ風、純情風、ツンデレ風、分かっているのは両思いになる事だけ。

 さあ何で返してくる?!


「仕方ねぇなぁ、そんなにオイラが好きなのかい?」

 ジゴロ風だー!


「オイラは女にモテるけど、そんなに好きなら付き合おう。だけど束縛はダメだぜぃ。オイラは自由な渡り鳥」

「あぁ気持ちが伝わったのね!あなたの恋人になれるならそれだけで嬉しいの」

「そうかいそうかい可愛いヤツだぜぃ」

 と二人でしばらく盛り上がって“キャッキャウフフ”をやってから三味線のジャカジャン!でフィニッシュだ。


 終わった途端に皆から大声援と拍手が送られる。

 二種類の踊りを踊り続けたリリベルは肩で息をしている。

「とても素晴らしかったよ。だけど恋人の踊りは踊らないのかい?」

 国王陛下が先生方にお尋ねになる。


「今日はここまでですわ。いかがです?なかなかでございましょう?」

「ああ10日で仕上げたとは思えない踊りだった。恋人踊りも見たいな」

 王太子殿下も絶賛くださる。

「この後の踊りは本番までお楽しみに!という事で」

「えぇっ!この後の踊りは見れないの?」

「本番用の踊りは、まだこれから仕上げて参りますので」

「そうか、それは仕方がない。でも楽しみだな」


「リリちゃん、殿下、お疲れ様でした。私どもはこれから王太子殿下方とお話がありますので、今日はこれで終了です」

「ありがとうございました」

 と二人で礼をすると先生方も挨拶を返され、その後「ご相談がありますの〜」と言いながら王太子殿下と第二王子殿下と一緒に去って行かれた。


 なんかちょっと嫌な予感がするよねぇと思って見送っていると「リリちゃんお疲れ様!凄い感動したよ」と王女殿下が駆け寄って来てくれた。

「本当にあんなに悩んでいたのに。私も心配して損した気分よ」

「王女殿下ありがとうございます。第二王子妃様もご心配お掛けしました」


「リリ、本当に踊り良かったわ。それに殿下もジゴロ風、可愛かったわ」

「え?可愛い?」

「ええ。若い子が粋がっている感じが可愛かったわよ」

「まだジゴロは貫禄が足りないか〜」

「そんな事はないわよ。これはこれでねぇ」

「そうねぇ。ザック君ならツンデレでもキュンてなりそうだし、純情風ならきっと皆、萌え死にするわ」

「萌え死に…」

 やはりザック殿下はマダムキラーだった。

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