53
「とうとう、ここまで来たわね!ここからはライバル登場よ。あなたの夫はかなりのイケメンよ。これから強敵がたんまり出て来るわよ〜さあっ心していきましょう!」
ん?何だか現実的な問題か?
「他の女の影が見えるわよ〜っ!疑って〜ウラを取ってぇ」
ウラを取るって言ってましたか?
「さあ女がいたわよっ!嫉妬よ嫉妬っ!私の方が良い女なのに悔しいわ!地団駄を踏んでぇっ!」
おぉ忙しい。
でも女いた…えっ?女いたのぉっ?
そこ悔しがらずに夫をシバくとこじゃない?!
「ちょっと!先にシバいたわね?」
「だって腹立つじゃないですかぁ!」
「女がいたからって、直ぐに夫を懲らしめるのは違うわよ」
「裏を取ったのでは?」
「そうよ。でもやはり女と会ってても浮気と断定してないわ。浮気かそうじゃないか判明する前に嫉妬するのよ。そして私という者がありながら〜って悔しがるの!」
それ…無駄じゃない?
いっいやそうじゃない!
「分かりました!」
「そうよっ!悔しがるのよぉぉぉ〜そのままクライマックスよ!あなたが好きぃ〜」
好きぃ〜!
「はい!良くできました。そこまで一連の踊りをスムーズに踊れるようになったら感情を盛り付けていきましょう。じゃあ今日はここまで」
「あっありがとうございましたぁ」
私はこの時、肩で息をしていたと思う。
後半、すでに感情モリモリだったと思ったんだけど、まだ足りないのね。
それに途中、自分の考えを優先させるところだったわ!
そうじゃない。競技の為の踊りなのだから決められた踊りを踊るべきだ。
リリベルはお昼ご飯まで、一連の踊りを復習していった。
◇◆◇◆
「爺様…また変なの連れて来たな?」
「ベルモント!北の王子殿下よ」
「マキシマ…マキシミ?…マックスだがや」
「…分かったマックス王子殿下。それで…北から逃げて来たのか?」
「あなた、お夕飯を先にしましょう。マックス殿下もご一緒にどうぞ」
「わっまたエメラルドグリーンの瞳だ!もしかすて、こごさ子爵領か?」
「知らないで来たのか?」
「まあ夕飯食べながらでいいだろ、ベルモント」
「そうよ。お疲れでしょう?大したおもてなしはできませんが、どうぞ王子殿下」
「感謝するす。あのっコレっ!えがったらどうぞっ」
「まあ、ビーバーちゃん?」
「それはビーバーちゃんじゃねぐで、リリちゃんだ」
「リリちゃん?」
「んだ。リリちゃん人形だびょん」
「‥‥‥」
「違いがよく分からん」
「瞳の石がエメラルドだ!あど、ちょっと…ちょっと…」
「ちょっと?」
「…何でもね」
「ちょっと抱き心地が良いわ。ビーバーちゃんよりフカフカしてる気がするわ」
「太らせたのか?正解だなリリはよく食べる」
「ちょっと!ベルモント!ここに居なくても王子妃様なのよ!」
「最近まで二人の新婚旅行さ道案内兼ねで同行してただ」
「は?あ〜そう言えばサオリとセノビックが来てたなぁ」
「二人は今、どこに?」
その夜、マックス殿下は子爵家で皆の質問攻めにあった。
「ようマックス殿下おはよう。鍛錬か?早いな」
「子爵、よぐ見だら東の神様さ似でら」
「もう少し若かったらだろ?」
「爺様もわの爺っちゃに似でる。でも爺っちゃは、もっと爺っちゃだ」
「ふ〜ん。わっ!何だそれ?剣の柄から光が出てる」
「光の剣だ」
「え〜光で剣が出せるの?そうか!聖騎士の光の刃の剣バージョンか?凄いな!」
「やってみるが?」
「え?いいの?よっしゃ!」
ベルモントは柄を握って魔法を込める。
「おっ!見て見て!あ〜もう消えた。ダメだ3秒くらいが限界だなぁ」
「あだ達、しったげ似てんな」
マキシミリオンは笑いが込み上げてきた。
「神様じゃなくてか?」
「んだ。リリちゃんは、あだにそっくりだ」
「それは…あいつが気の毒だな。きっとリリも嫌がるだろうしな」
「なあ子爵家の肖像画見せてけねべが?」
「ああ良いよ。これから婆様の礼拝に行って来るから帰ったらな」
「どうも。あっ爺っちゃ!じゃねがった爺様か、これから農作業か?手伝うが?」
突然、現れた北の国の王子は爺様と畑に消えて行った。
何だかすでに馴染んでるな。
王子なのに畑仕事?
それに初めて会ったのに、そんな気がしないのも不思議だなとベルモントは思った。




