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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 この農園では常時100種類近くの果物を育てているそうだが、外国に輸出しているのは、主にバナナとパイナップルだけで、残りは国内消費やここで食べてもらう貴重な食体験にしているそうだ。


 リリベルは普段、見た事のないような珍しい果物を植えている畑に案内してもらう。

 農園に着くと、もう初っ端から興奮しまくりだ。

「あれっ!あれは何ですか?」

 職員にも質問攻めだ。

 スターフルーツ、マンゴスチン、ドラゴンフルーツ、ジャックフルーツ、etc、もう心のメモにも書ききれないほどだ。


 そういえばマックス殿下は、北には生息していない動物の図鑑を書店でお求めだったのに、自分は何で南国植物の図鑑を手に入れなかったのか!今頃、後悔するなんて。

 今度、ぜひ伯父様に頼もう!司書の伯父ならきっとお勧めの図鑑を紹介して下さるに違いない。

 

 あとは王城の温室でどれぐらい植える事ができるのか…

 普通に畑にイケるものもあるか…?

 リリベルはすでに西の王城に戻った時の庭師としての算段で頭がいっぱいだった。


 楽しい時間はあっという間で、直ぐにお昼になり昼食を農園のレストランで頂こうと思ったのだが…そういえば殿下方はいつ帰ってくるのだろうか?

 そもそも何キロコースのトレッキングに参加したのだろう?

 2キロとか5キロならそろそろ戻って来ても良さそうだが…。


「あの…殿下方はどのトレッキングコースに参加されているのでしょうか?」

 リリベルが職員に質問すると「殿下方は『ワクワク!トレッキング10キロコース。運が良ければジャングルの珍しいサルや鳥にも出会えるかもね』コースを行かれましたので、お戻りは夕方くらいかと思います」


 そんな本気コースを選んでたんだ。

 でもマックス殿下の興奮ぶりなら納得か。

 むしろ10キロで満足できるのか…?

 あの人、めっちゃ体力あるし。


 リリベルは迷わずランチは一人でとることに決めた。

 レストランのシェフのお勧めで、果物と野菜をふんだんに使ったビーガンカレーとタロ芋団子にタピオカ、マンゴーミルクティをいただくことにした。

 何て幸せなんだろう。


 ずっとここに住めるかもしれない。

 リリベルにとっての楽園に幸せを噛み締めて、午後も農園を見学させてもらう。何なら農作業だってさせてもらった。

 すっかり農園の皆様と打ち解けて、夕飯に何を食べるか新たなお勧めを聞きながら和気あいあいとしているところに、外から騒ぎの声が聞こえてきた。


 何事か?と農園から表に出てみると、ザック殿下とマックス殿下、10キロトレッキングコースの皆さんが戻って来たところだった。

 しかし騒ぎの理由はそれではなかった。


「マックス殿下!何を抱えてるんですか!」

「ああ、ちょっと川さ足入れでみだら噛みづいでぎだ魚がいだはんで、そいづをエサに捕まえでみだ」

「はあぁっ?!」

 マックス殿下が抱えていたのは、体長150センチ近くあるオオナマズだった。


「危ないって止めたんだけど…」

 ザック殿下も彼の前には無力だったらしい。

 だけどトレッキングに参加していた皆さんも、ガイドも農園の職員達も、もの凄く盛り上がっている。


「凄い!凄い!こんな大きなオオナマズが獲れたのは久しぶりですよ」

「これはっ川のヌシに近いですね!素晴らしい」

 あまり褒めないで。

 彼は元々、ノースポールの凶暴な獣と戦う戦士ですからね。


「ノースポールヒョウアザラシに比べたら大した事ね」

 一体、何と比べてんだ!似てるのは大きさだけだ。

「これは10年くらいのオオナマズですね。15年を越えると2メートル近くなる」

 マックス殿下の目が「何っ?!」と光った。

 やめて!この人また行こうとするから!


「マックス殿下!もうジャングルは行かないぞ!」

「アイザック!次はマラサダを連れて行くじゃ!そったら大物イケるじゃ!」

 リリベルはザック殿下の肩に手を置き、無表情で顔を左右に振る。

 苦肉の策ではあるが「任せとけ私に案がある」と見つめると、ザック殿下は正しくリリベルの意を汲み取って下さった。 


「マックス殿下、今日はこのナマズを頂きましょう!」

 リリベルがマックス殿下に言うと「そうですよ!オオナマズは白身で美味しいんですよ。レストランのシェフに頼んで料理してもらいましょう」とガイドさんも嬉しそうにそう仰った。


 その日の夕飯は、マックス殿下が捕獲したオオナマズを唐揚げにして農園の職員や皆さんとパーティになった。

 そして私とザック殿下は、せっせとマックス殿下に酒を飲ませて翌日、ジャングルにリベンジに行けないようにした。


 オオナマズの弾力ある歯応えに、酔っ払ったマックス殿下が、またポーラペンギンを持ち出して、農園の皆様を青ざめさせたが仕方のない犠牲だと諦めた。

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