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またそれから少し経って陛下が譲位され、王太子殿下がいよいよ国王に即位された。それにより第一王女殿下が王太子になり、その同じ年に二人の結婚も予定されていた。
第一王女殿下はマレシアナ様の若い頃を彷彿とさせるようなキレと賢さと思考力をお持ちだそうで、すでに議会でも一目置かれている。次期女王としてもかなり期待されているようだ。
火山の国の王子殿下は我が国の学院に入学された。
第二王女殿下は再来年の入学だが、学院を卒業と同時に火山の国に嫁ぐことが決まった。
陛下の息子の王子殿下も順調にお育ちだし、私達はもう解放されて良くない?って思うのだけど、まだザック殿下の臣籍降下は許されなかった。でも理由もある。
北の女神様からアルキスが婿候補のご指名を受けてしまったのだ。
北からの報せを受けてリリベルは「自国で探せよ!」とつい叫んでしまった。
だけど北には、今でもまだエメラルドグリーンの瞳の王族がいないのだそうだ。つまり唯一のエメラルドグリーンの瞳の王族がアルキスだけなのだ。
そもそも神様達は伯爵領で姉弟楽しく“キャッキャウフフ”をしているんじゃなかったのか?
「まだ候補だよ。選ばれた訳じゃないよ、リリ」
ザック殿下はそう言うけど…それはそうなんだけど…。
「それに王族は国益の為に他国の王族との婚姻だってあり得るよ。しかも相手は女神様だ。光栄な事だよ」
それは分かる。だけど、だから早く私は王族を抜けたかったのに!アルキスを王子として北に送る為に、私達は王族を抜けれ無いなんて!
王妃様が「私達の養子にしてもいいけど?」と言ってきたけど、そんな事できるはずがない。私達は四人で家族だ。
「私の第二王女も火山の国に行くんだぞ、リリベル妃」
って陛下に言われたら、私は何も言い返せない。
アルキスは15歳になったら北の国に行く事が決まった。
早過ぎない?!だけど、この未だに人見知りの少年は、意外にも北行きに素直に頷いた。まだ先のことだから想像がつかないのだろうか?
人見知りでも本心を隠すような子ではない。まさかこの歳で王子としての自覚とか?親孝行?王族孝行ではあるのだけど…リリベルは心のモヤモヤがなかなか晴れなかった。
リリベルに出来ることは、少しでも息子と一緒に過ごすことと、家族四人での思い出をたくさん作ってやる事だけだ。
リリベルは次男が15歳になるまでに家族で色んな所に旅をした。王領地の海の別荘も行ったし東の国も南の国にも訪問した。それにまたバニヤンの船で火山の国にも訪れた。
息子達はどこに行っても大人気だった。
だって二人共、私達にソックリだったからだ。
そして、いつしかザック殿下は宰相補佐官になっていた。
フィリップ補佐官は前宰相がお亡くなりになった後、公爵家の維持の為、補佐官を降りられた。お二人の息子さんも立派に成長され、今は財務省で王城勤めをしている。
ルベライトは学院を卒業後「父親の助けになるのだ」と言って外務省に入り、エリオット外務大臣を喜ばせた。たくさんの外国経験をさせたのも影響があったようだ。
エリオット大臣は自分の娘とも結婚させる気満々であるのだが…それはさておき。アルキスはとうとう14歳になった。
夫も長男も次男と過ごす最後の年に頑張って休みをもぎ取った。
アルキスは家族四人で過ごす最後の旅行に、王領地の別荘を希望した。
「北に行ったら、もうしばらくはこの青い海を見れないからね〜」って。
私は涙が込み上げた。
ザック殿下もルベライトも目を赤くして涙を堪えていた。
息子を他国に婿に出すってこんなに辛いんだ。
まさに身を切られるような気持ちになった。
年が明けるとアルキスはとうとう15歳だ。彼の最後の新年の挨拶には、また国民がたくさん集まってくれた。
息子は春には北の国に旅立つ。もうこの景色ともお別れなのだ。彼は最後の国民との挨拶には鼻の頭を赤くして、ずっと笑顔で手を振っていた。
次回
143話+エピローグで完結となります。




