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また春が来た。
子爵家はマリィ姉ちゃんが継ぐことになったそうで、なんとラント様は聖騎士を退職して、マリィ姉ちゃんと共に子爵領に行く事になったそうだ。
そのニュースはまた号外となって世間を騒がせた。
まだまだ二人の人気の高さが伺えた。
しかし元王子のラント様が子爵家?元聖女と現王子妃の実家が子爵家?と議会でも議題に上がって、とうとう我が実家は伯爵家に陞爵される事になった。
今回、伯父は黙認し、連絡を受けた父は、辞退したが却下されていた。
「大体、爵位が上がって領地が増えるのに何で辞退するんだ?」
って王太子殿下は仰っていたけど、王太子妃様は「もう逃さないわよ」って言っていて凄く怖かった。
伯爵位を得る事は、ただ爵位が上がるだけではない。
国に払う税金も増えるし、王城に職がなくても議会の議決権が自動で与えられ、国の行事には必ず出向かないといけない。義務はわりとある。
だけど爵位が上がる事は、自分達を守る事にも繋がることだ。
目立たなければ子爵家のままで良かった。
だけど、もう子爵家の全員が目立ち過ぎたのだ。
このまま爵位が子爵位では、万が一、高位貴族が爵位を笠に蛮行に及んできても、我が家だけでは太刀打ちできない。
今なら親戚の高位貴族に守られてはいる。でも今後、長い目で考えれば伯爵位は自衛できる爵位だろうと思う。
爵位の授与には当主が王都に出向く必要がある。
そのせいで父は秒で当主を引退し、マリィ姉ちゃんに爵位を丸投げした。どこまで面倒くさがりなんだ!
ところで今のラント様は、すでに王家とは全く関係の無い身分でらっしゃる。
しかし陛下にとってはやはり息子だ。しかも母親の伯爵位を彼が継ぐと思いきや爵位は異父弟が継ぐのだと言う。それを聞いて陛下は、ずっと他に何か息子にしてやりたいと思ってらっしゃったそうだ。
それで今回の陞爵を機に、陛下はラント様に父親として“結婚と陞爵祝い”という名目で王都に屋敷をプレゼントされた。
お陰で我が子爵家にも、とうとう王都に家ができたのだ。
マリィ姉ちゃんは伯爵位を戴いた後、ラント様と一旦、領地に戻ったが、その直後に妊娠したと連絡が来た。
せっかく王都に屋敷ができたばかりだったが、悪阻が重く出産まで領地で過ごすらしい。
しかも自分がやり始めた慈善活動も、中途半端になってしまって残念がっていた。でも屋敷はやり手の執事が管理してくれているし、姉の活動も前聖女様や元聖女候補達が引き継いでやってくれている。
何も心配要らないから、安心して出産に臨んで欲しいと伝えておいた。
だけどマリィ姉ちゃんは翌年の新春に無事、長女を産んだ後、また直ぐに妊娠してしまった。
ちょっとラント様!私達の母と同じ道を歩ませる気なの?!
産まれたご長女は、姉によく似たプラチナブロンドに水色の瞳の容姿を持っていた。そのせいか伯父は二度と王都には戻らない勢いで、伯爵領の別荘に本格移住をした。
伯母は劇団を侯爵婦人や後任に任せつつ、王都と伯爵領を行ったり来たりしている。
姉の二人目が産まれた頃、私も二人目を妊娠した。
そして私達は当然まだ王族を抜けられていない。
ザック殿下は宰相府でもお仕事を頑張っているが、王族としての公務も多くて…私もそれを手伝っているけど、ちっとも抜けられる雰囲気じゃない。
だけどきっと第一王女殿下が立太子すれば!とその日を強く待ち続けている。
火山の国の王弟殿下は、結婚後も外交官として我が国の大使館にお住まいだ。
時々、海路で火山の国の王子殿下が第二王女殿下に会いにやって来る。お二人は良い関係をお続けで、王子殿下はもう西の言葉も流暢だ。しかも早くこちらに留学したいと仰っている。
第二王女殿下の専属の護衛はマリアンヌ嬢の弟の公爵令息だ。
第二王女殿下が火山の国に嫁がれるなら、恐らく彼が侍女と共に着いて行くことになるそうだ。それで彼は今、王弟殿下に王女殿下と共に火山の国の言葉を習っている。
リリベルの二人目の子供はまた王子だった。
しかも次は金髪にエメラルドグリーンの瞳だった。
お陰で、今度こそ赤ちゃんを取り上げる事ができたザック殿下だが、赤ちゃんを持ったまま固まっていた。
マリィ姉ちゃんに脅されていたからな〜…。
でも私はマリィ姉ちゃんには、一年以上会えていない。それを思い出したザック殿下は、直ぐに立ち直って次男の誕生を喜んでくれた。
そして名前は陛下と王太子殿下と三人で考えられ“アルキス”と名付けられた。
名前の由来を色々、説明されたけど、私としては“ベル”じゃなければ何でもいい。




