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子爵家の庭園で子供達が遊んでいる。
面倒を見てくれているのは、いつの間にかお兄さんの顔になったララ姉ちゃんのとこのご長男だ。
私の息子の手を引き、自分の妹とマックス殿下の息子を立派に見ている。ちなみにアイリーン様や聖女候補だったご婦人達とお子さん達は伯父の別荘に集まっている。
マックス殿下は私達兄妹が全員揃ったのを見て、すごく驚いていた。
「エメラルドグリーンの瞳さ、いっぺぇだ!」と。
ナル兄ちゃんは「王子がここで護衛している方がビックリだわ」って言っていたけど、私もそちらに一票だ。
「マックス殿下、あんなにスネイプニルが好きだったのに、いいの?」
「ああ、今は子爵領の馬達と仲良ぐなりて」
どうやら子爵領の馬達に、北にはない未知の魅力を感じてしまっているようだ。
それと北の陛下の父君の死因もミカンじゃなくて老衰だったと、ちゃんとそっちも確認して安心した。
マックス殿下の奥様も、北の女神様の侍女をしてらっしゃった方だ。そんな方がこんな田舎に!とも思ったが、奥様は「もう引退の時期だったの。それに北は寒くって。こっちは過ごしやすいわ」と笑ってらっしゃった。
ちなみに奥様は見た目は20代に見えるが、恐らく随分年上だ。
時がゆっくり流れる神殿にお勤めだったのだ。
本当の年は怖くて聞けなかった。
マリィ姉ちゃんは、子爵家の肖像画のある建物が新しくなった事に驚いていたが、父達の肖像画にも驚いていた。
「目が変な所にあるヤツだ!」って。
マリィ姉ちゃん!マティアス氏の絵をそんな風に言うなんて!
だけど私も気付いた。
「この所々に貼ってある付箋は何?」
肖像画の絵の何枚かの額縁に目印のように付箋が貼ってある。
「あぁ…付箋が貼ってあるのは北の王子だってさ。マックス君が貼ったんだよ」
父の言葉に伯父までビックリしていたが、それ要るか?
王子の目印要らなくない?
結婚後、マリィ姉ちゃんは王都でラント様のお仕事を支えつつ、元聖女と聖女候補だった皆様と妊産婦の支援に動き出した。
元聖女候補は10年置きに5人いるのだ。
すでに子育てを終えたご婦人方は「自分の力が役に立つのは嬉しい、それに同窓会のように皆が集まれるのはもっと嬉しい」と支援の輪が広がっている。
私も王家の慈善活動の一環として一緒に手伝っている。
また冬が来て新年の国民へのご挨拶の日、今年は第一王女殿下と一緒にアイオット様のご長男も婚約者として加わった。
ご長男は春から学院に通われる傍ら、王配教育も続けるそうで本当にご苦労様だ。
でも年の差はあっても王女殿下との仲は良さそうだ。
なんせ第一王女殿下は王太子と妃殿下の娘なのだ。とても年相応のお子様ではない。
同年齢の令嬢令息では、友人としても側近としても相手が務まらないそうだ。だからご長男か!納得だ。
あれからも定期的にバニヤンの船団も来ている。
バニヤンのご長男も一人で船長を務めるまでになった。
キャシーは相変わらずなので、もしかしたらご長男の方が結婚が早いかもと思ったら、やはり彼が先に侯爵家の赤い髪の末の令嬢と婚約した。
きっかけは王弟殿下の紹介だが、令嬢は元々、お祖父様の影響で船に興味があり、その事も影響してご長男と意気投合したのだそうだ。
令嬢はその後、学院には進学せず領地に留まり、火山の国に嫁ぐ事になった。
そして驚きは王弟殿下だ。
彼は伯母の舞台の“美しい妖精に囚われた王子”の主演女優を務めた北の国出身の舞台女優と婚約されたのだ。
女優はなんとリズベット王女のすぐ上のお姉様で、金髪に黄緑の瞳の女性だった。
王族なのに女優さんやってたの?
まあマックス殿下も自由だったけど、北の王族は本当に自由だった。だけど王族だったお陰で王弟殿下との婚約も直ぐに進んだ。
「私が観劇した時に彼女のファンになって、何度も通ったんです」
って王弟殿下は仰っていたけど、ザック殿下は「きっと彼はフェニックスよりも火の粉の妖精に憧れたんだな」って仰っていた。
本当に?!
それより今の流行りの小説と舞台は“聖女と聖騎士”に替わっていて、また北の俳優さん達が大活躍だ。
次はナル兄ちゃんか…。




