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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 春になり、とうとうマリィ姉ちゃんが聖女を引退した。

 “10年間のお勤め本当にご苦労様だ”


 マリィ姉ちゃんとラント様は、この秋に子爵領で結婚式を挙げる事になった。

 誰もが王都の大神殿で式を挙げるのだと思っていたが、マリィ姉ちゃんは、ずっと帰りたいと望んでいた子爵領で式を挙げたかったそうだ。きっと婆様に参列して欲しいのもあったのだろう。

 それをラント様が叶える形になった。


 ラント様も子爵領には何度も赴任され、馴染みがあるから余計に抵抗が無かったそうだ。

 だけど結婚後はまた王都に戻って来るらしい。

 ラント様の聖騎士のお仕事の都合もあるからだ。


 二人の結婚式は私の時と同様に、また伯父が張り切って準備をしている。

 伯父様は兄妹最後になる、マリィ姉ちゃんの結婚を誰よりも待ち侘びていた。もしかしたらオリベル王女の面影も姉ちゃんに重ねているのかもしれない。

 きっとオリベル王女のダンナ様同様、ラント様もマリィ姉ちゃんのことを大事にしてくれるだろう。


 火山の国の王弟殿下は学院の二学年を首席で迎えられ、学院の生徒会長になられた。言葉の壁と文化や国籍の違いを乗り越えて、相当の苦労と努力をされたのだろう。

 彼は今ではマレシオン小公爵に次ぐ、婿候補と言われるまでに社交界でも人気になった。

 気になるのは赤い髪の令嬢方との仲だが、侯爵家が後見をされていた影響で良い交友関係を築けているようだが、友人以上の関係にはなっていないようだった。


 夏になり、ダイアナ様とミカエル様が結婚式の招待状を持って、わざわざ私に直接、届けに来て下さった。

 以前、お二人で仲良く婚約報告に来て下さった時は、リリベルはかなり驚いた。まさかここがくっ付くとは!?

 でもダイアナ様ともご親戚になれるのは、とても嬉しい。

 彼女は学院でリリアン様と共に、一番最初に私のお友達になって下さった方だからだ。


 ミカエル様は、新たに誕生された聖女様の護衛を担当されているそうで、今までは子爵領も彼には度々お世話になったが、今後は長く王都にお勤めだそうだ。


 私達の息子は一歳を過ぎ、早いものでもう走っている。

 お陰で乳母も侍女も彼を捕まえるのは至難のワザだ。

 抱っこももう重い。


 ある日、マティアス氏が「スネイプニルを描きたい」とリリベルに願い出て来られたので、私はサオリを描いてもらうついでに自分達の家族の絵も描いてもらった。

 もちろん息子はジッとしてないから時間はかかったけど、私達親子三人とサオリの絵だ。今から完成がとっても楽しみだ。


 秋に子爵領で挙げられる姉とラント様の結婚式への参列は、王太子殿下から許可をもらう事ができた。

 王太子殿下も行きたがったが流石に無理だった。

 でもルト兄ちゃんとライ兄には休みの許可を出していて、王太子、寛大だな!と少し彼のことを見直す事にした。


 夏の終わりにサオリの姿が消えた。

 とうとう帰国を決めたのか!「今までありがとうね」とザック殿下と感謝をしていたら、なんと子爵領で出会った。

 北には帰らないの?

 しかも伯父の別荘で、マックス殿下にも会って驚いた。


「何でここに居るの?!」

 仰天していたら伯父が「お前に知らせただろう?」って。

 確かに新たに騎士を雇ったとは聞いていたが、マックス殿下とは聞いてないだろ!と一瞬、憤ったが、すでに彼は子爵領にすっかり馴染んでいて「もう殿下でねじゃ」って言いながら、護衛騎士のクセに爺様の畑仕事を手伝っていた。

 北の女神様の侍女だった奥様も、今は別荘の侍女として働いていた。


 姉ちゃんの結婚式の前日、ララ姉ちゃんも駆け付け、ナル兄ちゃんも間に合って、また兄妹五人揃うことができた。


 マリィ姉ちゃんの結婚式は、色とりどりのコスモスが咲き乱れる中行われた。

 晴天にも恵まれ、新郎新婦の二人は私達親族とラント様のお母様ご一家、そして沢山の領民に祝われて、とても幸せそうだった。

 

 婆様も涙して嬉しそうだったけど、ライ兄だけじゃなく伯父まで大泣きしていて、伯母が「夫の号泣を見たのは人生初だわ」と呟いていた。

「私は何度も見たよ」とは言えなかった。


 ララ姉ちゃんは、このまま帰国が決まったそうで、春からは東の国への派遣が内定しているそうだ。

 ちょっと王女殿下の事が心配だったけど「プテラとリリちゃん人形で乗り切るから!」と笑って見送ってくれたそうだ。

 リリちゃん人形、色々、役に立ってるな。


 父とララ姉ちゃん、ナル兄ちゃんは私達の息子の容姿を見て苦笑いをしていた。更に父が「お前、王族抜けられない気がする…」とボソッと言った。

 冗談でもヤメてっ!って思った事は秘密ではない。


「大丈夫だよ。息子が王配教育を受けているから、次の王太子は第一王女殿下だよ」

 アイオット様がそう言って下さって、本気で動揺した私は少し安心したのだった。

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