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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 秋になり、ガブリエラ様が産休から戻ってきて一年後、宰相様は宰相職を辞され、ガブリエラ様が新宰相に就任された。そのタイミングでフィリップ様が正式に宰相補佐官となり、オシドリ宰相夫婦としてご活躍される事になる。

 宰相様は今後は忙しいご夫婦に代わり、公爵家の維持とお孫さんの世話に専念するのだと嬉しそうに王城を去って行かれた。


 ザック殿下は引き続き火山の国との外交と交易に携わる一方、王子としても重要な局面に駆り出されたりして、忙しくお仕事をされている。

 私は東の国の王族が、出産祝いで送ってくれたベビーカーを押しながら温室を根城に畑や庭園を回っている。そして時々、王子妃としてザック殿下を手伝ったり、王妃様や王太子妃様の色んな用事で遠慮なく駆り出されている。


 何だか“王家の便利屋”みたいに使われている気もしないでもない。

 だが基本は土いじりだけなので、有り難いと感謝しながら他所を手伝っている。


 息子は三ヶ月になり、おっぱいも毎日グイグイ飲んで首もしっかり座った。

 なんだか南の国のプテラちゃんを思い出すな〜。

 今は北の国王陛下が送ってくれた、ルベライトが散りばめられた高級ガラガラとおしゃぶりがお気に入りだ。

 そして寝る時は必ずリリちゃん人形が横にいる。

 どうやら本物の母よりそっちが好きみたいだ…リリちゃんはオッパイ出ないぞっ!


 そして次に好きな人は火山の国の王弟殿下だ。

 王弟殿下は下に兄妹がいないせいか、もしくは息子が赤い髪だからなのか、とても可愛がってくれている。

 だが残念な事に王都に立派な火山の国の大使館が完成した為、彼は新居に引越して行ってしまった。


 今は彼もまだ一学年なので学業にも余裕があるが、実は二学年には首席を狙うべく頑張ってらっしゃるのを私は知っている。だから、お引越しは勉強に集中する為に、ちょうど良いタイミングだったのだと思う。


 シャーロット嬢とユノゴー氏も結婚した。

 “美しい侍従”の舞台は続編も含め再度、東に遠征公演をした後、西に戻り、三年間のロングランを終え好評の内に幕を下ろした。

 今は“美しい妖精に囚われた王子”の舞台稽古に入っていると、伯父と一緒に出産祝いに駆け付けた伯母が嬉しそうに報告をくれた。


 おいっ!全部、事後報告じゃん!?

 また王妃様のお兄様方の劇団の協力を得たと聞いて、怒る気も失せた。しかも今回の大型スポンサーは王妃様だそうだ。

 むしろ文句も言えなくなってしまった。


 来年はマリィ姉ちゃんも聖女を引退する。

 ぜひ次は聖女と聖騎士の恋物語の方に、速やかに移行して欲しいものだと伯母に話を振ったら、すでに水面下で侯爵夫人が動いているそうで、リリベルは自分で話題を振っておきながら鳥肌が立ってしまった。


 ナル兄ちゃん以外の全ての兄妹が、侯爵家の夫人達の食い物にされている…。

「最後はナルだろうなぁ…」

 と別れ際に、伯父が容赦のない呟きをボソッと言って去って行った事は今でも忘れられない。


 それからあっという間に冬が来て、また新年の挨拶を国民の皆様にする為に王城広場のバルコニーに立った。

 私は今年で三回目だ。私とザック殿下は生後半年を迎えた息子を抱えてバルコニーに立った。


 広場には新しい王子を見ようと史上最高の人々が集まった。

 恐らく例の小説や舞台の影響も大きかったはずだ。

 ホント、余計な事をしてくれたぜと思う。

 でも息子のお陰で、リリベルは今年も王女殿下達と最初の顔出しだけで許された。乳母任せにせず、ママっ子にしておいて本当に良かったぜ!


 周囲もどんどん結婚していく中で、一向に進展がないのはリリアン様とマレシオン様だ。

 リリアン様はマレシオン様の下で秘書として働いてらっしゃったが、姉との下着販売の方が軌道に乗り始めて忙しくなった事と、リリアン様ご自身も下着のデザインに目覚められた為、秘書の仕事を退職されてしまったのだ。

「しばらくは仕事が楽しいから。恋愛はいいわ」

 と出産の祝いに温室まで来て下さった時にそう仰っていた。

 それはそれでカッコいいから良いのだけど。


 反対にマレシオン様は色んな令嬢との恋愛を噂された。

 すでに小公爵の地位を固められ、社交界では婿候補人気No.1をずっと不動のものとされている。

 私の出産祝いにも直ぐに駆け付けて下さったが、その時「王女殿下だったらな〜妻の座を空けてお待ちしていたのにな」と仰った。


 冗談だろうと思ったが「息子で良かった」と思った事は秘密なのだ。

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