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私達の子供の名前は、ザック殿下だけじゃなく王太子殿下や国王陛下も考えて下さっていたみたいだったけど、結局、早い者勝ちみたいな形で“ルベライト”になってしまった。
王妃様が青薔薇に「今日、リリちゃんの赤ちゃんが産まれるかもしれないの。楽しみね。でも安産だと良いわね〜」と話し掛けていたら、青薔薇が名前を伝えてきたらしい。なので急いで私の元に駆け付けたら、ちょうど産まれたタイミングだったということだ。
ルベライトとは宝石のトルマリンの赤い石の事で、やはり北の国が産出国だ。
ちなみに北の国ではルビーは出ない。
まるで産まれる子供が赤い髪だと予知されたような状況に、誰も他の名前を言い出せなかったそうなのだ。
赤い髪の息子は、サオリにまでドン引きされていた。
私の出産を心配してくれてたんじゃないの?赤い髪はやっぱりダメだった?もう北に帰っちゃうかも?
学院時代の友人も沢山の人がお祝いに駆け付けて来てくれた。
私は出産後の経過も順調だったので、直ぐに床上げをして一日の大半を温室で過ごしている。お陰でサオリも毎日、温室に出勤してくれている。
乳母も来てくれるが、私はなるべく自分の母乳でも頑張っていて、お世話も乳母には私が見れない時にお願いする感じだ。
南の国で王女殿下が受けていたような“おっぱいマッサージ”をしなくても、ちゃんと息子が満足するぐらいの量は出ている。
母乳とは母親の血液のようなものだと医師から聞いて、ちょっと乳腺の開きと血の巡りを治癒魔法で良くしてみたのだ。
あの時、もしこれを知っていれば王女殿下が痛みに叫ばずに済んだのになぁと思うと同時に「このワザは使えるな!」と姉やアイリーン様に伝授しておいた。
マリィ姉ちゃんは自分が聖女を降りたら、元聖女や聖女候補だった人達に呼び掛けて、神官様の代わりに妊産婦を助ける支援団体を作りたいなと言っていて、公爵夫人の前聖女様が特に賛同して下さっているそうだ。
元聖女候補も高位貴族出身が多いにもかかわらず、協力を申し出て下さる方が多いみたいで、いずれ国の地方にも支援が行き渡るようにしたいと言っていた。
夏になったが、サオリは相変わらずリリベルと息子の側にいて、一緒に温室で過ごしている。お陰で私と王子の護衛の出番は、屋内と夜から朝にかけてのみで済んでいる。
サオリへの護衛のお仕事に対する報酬はほぼ南国フルーツだ。
これのせいで北の国に帰らないのだろうか?まさかね。本当の理由は今でも全く分からないから、きっと好きでやっているんだろうと思う事にした。
そして夏の納涼舞踏会の時期に兄夫婦が王都にやって来た。
やっとナル兄ちゃんの結婚を祝う事ができた。
南の姉夫婦もドラゴン達に息子の出産祝いを託されて帰国してきたので、侯爵家で兄妹全員集合することができた。
全員集まるのは、私の結婚式以来だ。
「次はマリィ姉ちゃんの結婚式で集まれるといいね」
と話していたら、マリィ姉ちゃんが急に挙動不審になってちょっと笑えた。
婚約をしてもマリィ姉ちゃんは、まだ恋愛初心者なんだ…でもラント様は、ちゃんと姉ちゃんをリードしていたから安心した。
あの時、サオリと頑張った甲斐があったね。
サオリはいつまで私の側に居てくれるのか分からないけど、セノビックは西の国から北に帰る前に、ひょっこりナル兄ちゃんの元に顔を出したそうだ。
ナル兄ちゃんが嬉しそうに語ってくれた。
そして夏が終わりに近付く頃、北の国王陛下が王太子殿下に王位を譲られ引退されたと一報が入った。
実はちょうど一年前のこの時期に陛下の父君も亡くなられ、今まで北の王族の皆様は喪に服してらっしゃったそうだ。
爺様に似た…爺様の叔父。
お亡くなりになる前に北でお会いできて良かったけど、死因はまさかミカンじゃないだろうな?
マックス殿下はちょうど北に戻っている途中だったのではないだろうか?東の青ルートで帰れたのだろうか?
お祖父様の死は、きっと彼にもショックだっただろうな〜と思っていると、後日、筆頭侯爵家の伯父から手紙が来た。子爵領の別荘に新しく護衛騎士を雇ったのだという。
何でそんな事で私に連絡を?と思っていたのだが、その護衛騎士がマックス殿下だとリリベルとザック殿下が知るのは、まだ来年の事だ。
残り10話とエピローグになりました。エピローグは最終話に続けて投稿予定です。




