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「えっ?!リリベル妃殿下、今、お知りになったのですか?」
リリベルは王妃様と一緒に温室に来たシャーロットを取っ捕まえると小説の件を問い詰めた。
だけど返ってきた返事に、私は更に仰天する事になった。
「シャーロット嬢、どういう事ですか?」
「まあ、リリちゃんが知らないのは仕方がないわ。新婚旅行で出発した後に出たんですもの」
「でも多少、意図的に隠されてはいたと思いますよ。出版を妨害されるかもしれないから」
「妨害されると分かってて出したんですね?」
「大丈夫ですよ。ほぼ真実に近い内容で美しく脚色しときましたから!」
「そうよ〜。私も二人のやり取りをドキドキしながら読んじゃったわ。恋愛って素晴らしいわって夢中になれる良い作品だったわよ」
「‥‥‥」
「妃殿下!怒ると胎教に悪いですよっ」
「‥‥今後、シャーロットは温室出禁で」
「えぇっ!酷いっ」
「私の胎教に悪いしね」
「仕方ないわよね〜シャーロット!」
「王妃様…味方してくれない…」
「あらっ私はリリちゃんの味方だもの。それにお腹の子はもっと大事だわ。私の孫よ」
その後、シャーロットは泣いて私に土下座したが、私の怒りは収まらなかった。自分の事は棚上げしているクセにだ。
だけどシャーロットの次の言葉で許す事になってしまった。
「私、来年、結婚するんです!」
「あなた婚約者がいたの?!」
「妃殿下もご存知の方です。私、この方の文才に惚れて猛アタックしたんです!」
なんとシャーロット嬢とユノゴー氏は私達が国を離れている間に、私達の小説をキッカケにお付き合いを始めていたのだ。しかもつい最近、婚約までしてしまっていた。
それは祝うしかない。
これまでよく私にバレる事がなく隠し通していたなと思ったが、国を離れていては知る術もないしな。仕方がない上、二人の婚約を聞いたら、もう…どうでも良く感じてしまった。
その後も私の妊娠は順調だったけど、まだお腹はほとんど目立たない。でも新年の国民へのご挨拶は、妊婦だったので王女殿下達と15分で退出する事を許された。ありがとー!
結局、サオリは今も私の側に居てくれている。
そんなに北を離れていて大丈夫なのかな?でもサオリもすっかり温室を気に入っていて、私と一日の大半を温室で過ごしている。
来客中は少し離れた所にいるけど、すっかり私の護衛の位置に定着している感じだ。
年が明けて私は19歳になった。
そして大神殿では春に向けて新たな聖女候補と侍女を選考しているという話が舞い込んだ。
そうだ!マリィ姉ちゃんは、あと二年で任期が終わるんだ!
新年を迎えた後、もう一つ分かった事実がある。
それは火山の国の王弟殿下が王城にご滞在の間、再度、火山の国の王女が我が国に嫁がれた時の記録がないか、王城内の書庫などを全て捜索したのだ。
その捜索範囲は王族の肖像画にまで及んで、400年前まで王妃の肖像画を遡った時に、ついに見つけたのだ。
保護魔法はかけられていても、すでに色彩も退化していたが明らかに一人、赤い髪と思われる赤髪初代の王妃の肖像画が見つかった。
だが彼女の瞳は黄金色ではなかった。恐らく茶色、暗色で塗られていた。
王弟殿下の話によると400年前なら、火山の国の神獣フェニックスもいた時代で、赤い髪に黄金の瞳でなければ王族で、しかもフェニックスの子孫とは見なされなかった可能性が高いそうだ。
その後、赤い髪が途絶えた事で、赤い髪、もしくは黄金の瞳のどちらかを持つことが王族の証しに変わったそうだ。つまり当時はこの赤い髪の女性は王女とは見なされなかった人なのではないかと言うのだ。
だから火山の国にも我が国にも、火山の国の王女が嫁いだ記録が無かったのではないか?という事だ。
「そもそも、その女性は本当に火山の国の王女だったのか?」
と一緒に捜索にあたった王城の記録係や肖像画を管理する者、我が国の歴史家も疑問を呈したが、きっとそれは間違いないのだ。
なぜなら北の国王陛下が火山の国の王女が嫁いだと言ったからだ。
恐らく彼はその歴史を知っているのだ。
彼は女神の息子なのだから何も不思議な事ではないし、間違いのない事実なのだろう。
「この女性は王女と認められていなかっただけで、王族の娘ではあったのでしょうね。だから国から出て外国を旅することが許されたのでしょう」
王弟殿下はそう仰った。
「お陰で西の国で赤い髪が残っていた。その事実は我々にとって、とても有り難い事です」
「王弟殿下、黄金の瞳の人間は大事にされているのでしょう?だったら…」
「はい。分かっています。赤い髪の人も大事にされるべきです。だから我が国の都合で、強引に婚姻を進めない事をお約束します」
それを聞いて安心した。
だが火山の国の人が頑張るのは自由だ。
頑張る理由が、赤い髪だけじゃないなら尚良いけど。




