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宰相府に行って改めて知った事もある。
まず北の辺境伯は弟が領主になっていた。兄夫婦は領主としての職務怠慢で10年間の強制労働に送られたそうだ。
経済大臣も戻って来てから無事ではなかった。
外務省側から無能の証拠を三年分提出され、私達も王太子にチクった事から引退という名の更迭処分になった。新しい大臣は優秀で評判の良い若手の侯爵が選ばれたそうで、それを聞いて安心した。
そしてリコピンが私の護衛を離れてから、直ぐに別の者が決まるだろうと言われていたが、まだ新たな護衛は決まっていない。なぜなら私にはサオリがくっ付いているからだ。
屋内も入れる所は一緒にいる。
本当にサオリは一体どうしたんだろう?
まあ私は魔石のネックレスをなるべく下げているし、今は遠出の予定もないから、そこまで護衛が必要になっている訳でもない。
王太子殿下もザック殿下もサオリが居なくなれば、その内決めればいいか?というスタンスなのでリリベルも、まあいいかと思っている。
「ザック殿下、これ全部訳し終わりました。南の言語とも照らし合わせたので内容は合っていると思います」
「リリ、ありがとう助かったよ。お陰で私は会議の方に専念できる。補佐官殿、準備できたので行きましょう」
「アイザック殿下、あちらに連絡は?」
「予定通りと伝えています。今行けば少し早いくらいです」
「分かったわ。では閣下、参りましょう」
バタバタと慌ただしく宰相閣下、ガブリエラ補佐官、ザック殿下が宰相府を出て行った。これから外務省、経済省、王太子殿下、妃殿下を交えた会議らしい。かなりギリギリだったじゃん。資料の翻訳が間に合って良かったよ。
「お疲れ様でした。リリベル妃」
フィリップ補佐官代理がお茶を出してくれた。
「ありがとうございます。代理じゃなくて秘書官に戻ったんでしたね?」
「ええ。妻も補佐官に戻った途端、火山の国との大仕事が舞い込んで来たからヤル気満々みたいです」
「お母さんになっても凄いな〜」
「そうですね。早く義父を引退させてあげたいから、余計に張り切っているのでしょう」
そっか。宰相閣下は宰相を務められて、すでに二十年は経つのではないだろうか?
「私は何も手伝えなくて歯痒いですね。出産もこの仕事も女性である妻任せです」
「そんな事はないですよ。それに出産は代われませんし、フィリップ秘書官がいるから、ガブリエラ補佐官は頑張れるんですよ。結婚も出産もキャリアも諦めなくてイイんだって思える、女性の手本になると思うんです。それには夫の内助の功が必要不可欠じゃないですか。フィリップ秘書官の方こそ日陰役ですね?」
「ハハハッ良いんですよ、私は。何度も諦めたものが結局、全部手に入りましたから。とても幸せです」
謙虚だな〜。
「そうですか?秘書官がそう仰るなら。それより茶葉の種類を変えましたか?なんかいつもより苦いような…」
「本当ですか?いつものお茶なんですけどね」
「外国生活のせいで味覚が変わったのかなぁ」
「もうお戻りになって一ヶ月以上、経ちますよね?まだ感覚が戻りませんか?」
「そんな事はないんですけど…。でも最近、朝起きて直ぐにお腹空いた!ってならないんです。おかしいなぁ」
「あなたが食欲を失くされるのは心配ですねぇ。医者か神官にかかられては?」
「夕飯の食べ過ぎかもしれません」
「だったら安心だ」
「それもどうかと…」
「ハハハそうですね〜」
だけど、リリベルはその晩の夕飯をいつも通りに食べたら夜中に吐いた。
急に気持ち悪くなって起きたのだ。
ザック殿下も心配してお水を渡してくれる。
「同じ物を食べたのにおかしいな?」
って、明日も朝早いのに起こして申し訳ない。
そして翌日、サオリと菜園で冬野菜の育成状況を見ている時に、畑の真ん中で急に血の気が引いて立ちくらみを起こした。
サオリが頭で支えてくれたから倒れずに済んだけど、リリベルは初めて貧血を起こして他の庭師達に支えられて医務室に連れて行かれた。




