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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 翌日、侯爵家を去る際に二人の令嬢から謎の本にサインを求められた。本の内容を尋ねようとしたけど誤魔化されて、結局、何の本なのか分からなかった。なんか怪しい…。


 しかし気を取り直して次はリコピンの公爵家がある領地に向かう。その場所は侯爵領から馬車で1日の距離のお隣りさんらしい。

 まだ王都から距離も離れているし、道も混まないからきっと半日もかからないだろう。

 

 スネイプニル達もお元気だ。

 だが南国フルーツが途切れたせいか、気持ちテンションが低い気がする。すっかり贅沢になったもんだ。

 とりあえずバナナやパイナップルで誤魔化す予定だったが、途中でブルーベリーの農園があり、スネイプニルのご機嫌の為に一角を貸切にさせてもらった。


 サオリもセノビックも途端にテンション爆上げさせて、ブルーベリー狩りを楽しんでいる。少し小高いブルーベリーの丘を縦横無尽に走り回って食べていて、2頭とも口周りが紫だ。

 聞けば公爵領にはナシの農園もあるそうだ。次はそこか…。


 寄り道をしても順調に公爵家に辿り着いた。

 公爵家には、なんと子供を連れて里帰りされていたミネルバ様ご夫妻がいた!

「ミネルバ様!」

「まあっリリベルちゃん!あなたっコレ持ってて」

 お母様になったミネルバ様は、息子を夫にサッと渡して私をギュッと抱き締めてくれた。


「…もうリリベル妃だよ」

 ダンナ様、そんな野暮な突っ込みは今は要らないのだよ。

 だけど母親になると息子の事は“コレ”になるんだな。姉と一緒だと思った。


 ミネルバ様とダンナ様は夏休み休暇中なんだそうだ。

 リコピンに爵位を押し付けられた兄君の公爵様は、王都で騎士団に専念されていて、リコピンの奥様が公爵家を主に管理なさっているらしい。

 

 夫が息子に爵位を押し付けた原因の一端であるリリベルは、公爵夫人に会うのが少し怖かったが、夫人は驚くほど気にしておらず、美人でお優しい方で安心した。

 それにリコピンより歳上らしいというから、また驚きだ。


 リコピンの公爵家も赤い髪を受け継いでいる家だ。

 ミネルバ様のダンナ様は違うが、公爵になられたご長男は赤い髪だ。そしてご長男のところの二人の息子さんがまた赤い髪なのだ。

 だが二人ともまだ5歳と3歳だ。ちなみにミネルバ様の息子さんは赤い髪ではない。


 赤い髪の遺伝も本当に不思議だそうだ。

 他にも王族の某系でちょいちょい赤い髪の人はいるが、目立って赤い髪を受け継ぐ家系は前聖女様とご結婚された王弟殿下の公爵家だ。

 ここの公爵家の息子が二人とも赤い髪だ。

 そして、もう一つ言えるのは赤い髪はなぜか青い瞳とセットだという事だ。しかも今のところ100%で水属性だ。


 まあ…そこも気にしてもしょうがない。

 私達は公爵家に一泊お世話になって、途中、公爵領のナシ農園にも寄って王都を目指した。


 私達も馬達と過ごす時間がもう最後だと思うと、本当にスネイプニルを甘やかしていると思う。その自覚はありありだ。だけど5ヶ月も私達の旅に付き合わせたのだから、これぐらいは許されるだろう。


 王太子に出す伝令鳥も、もう一日もせず帰って来る。

 私達が帰城する日は、また王子宮の厩舎を空けてもらわないといけないので、こまめに連絡を入れているが、内容は伝言を飛ばしている私ではなくほぼザック殿下宛だ。


「アイザック、やっと帰って来るんだな」とか「また成長したんだろうな?」とか王太子の兄弟愛が相変わらず重い。

 伝令鳥が重みで途中、墜落しないか?とどうでもいい心配をついしてしまった。それにザック殿下も最初は「兄上!」ってしんみりしていたけど、二度三度となると苦笑いをし始めた。


 そんなこんなで私達は自国に入って、農園などに寄り道しつつ一週間ほどで無事に王都に辿り着いた。


 夕方頃に到着したけど王城の皆が集まって出迎えてくれた。

 王太子はやっぱり泣きながらザック殿下に抱き付いた。そして私には、王太子のように泣きながら駆け寄って来たライ兄を押し退けて、王妃様が抱き付いてきて私を動揺させた。


 たった5ヶ月だったけど、もう何年も離れていたかのような懐かしさを王城に感じてしまった。王城に懐かしさを感じるなんて意外過ぎて自分でも驚きだ。

 私もいつの間にか、すっかりここに慣れていたんだなと思い知ったのだった。

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