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翌朝、スネイプニル達の世話に行くとセノビックが“松ぼっくり”をくれた。南の国の海岸線は松の林がある。
海がしけた時の防風林となっているのだそうだ。
火山の国からたった3日しか北上していないのに、こんなにも気候が違うものなんだと感じた。だけど、それよりもサオリもセノビックもまた抜け出したんだな!この辺りには白馬の注意喚起をしていないのに…。
白馬よりも興味を持って近寄る人々が気の毒だ。
お尻に『近寄るな危険!』の張り紙でも貼ってやりたいな。
馬達の世話の後は、わざわざ港まで来てくれた姉にお礼を言いに領事館に行ってみたが、姉は夫と子供達を連れてバニヤンの船に向かったのだと言う。
ララ姉ちゃん、二日酔いになってなかったんだ…凄い。
ザック殿下と船に向かうと甲板で子供達がキャシーと楽しそうに遊んでいた。キャシーも元気そうだ。あんなに飲んでいたのにな。
ちなみに王弟殿下は旅館で、ご長男は船室でまだ寝ている。
「リリ〜、殿下、おはよう」
「姉ちゃん、あんなに飲んでたのに元気そう」
「フフッそうねぇ。リリ、ちょうど良かったわ。これからキャシーちゃんに下着を着せてくるから子供達をヨロシクね〜」
姉はそう言うとキャシーを呼んで船室に消えて行った。本当にどこまでもたくましい。
「やあ殿下方おはよう」
「お義兄様も体調大丈夫?」
「私は昨日は控えめにしたからね。アイザック殿下は結構、飲んでただろう?」
「俺は途中からコッソリお茶にした。そろそろ肝臓がヤバいからな。結婚式からずっと飲まされ続けているんだ」
「それはそれは」
リーナベルちゃんがトコトコ歩いて来てパパに抱っこを求めている。可愛いな。息子は私に手を伸ばしてくるが…おいっお前は無理だ!もう6歳だろ!
「子爵…娘も息子同様、ちゃんと教育しろよ」
「アイザック殿下、その言葉…身に染みるな。でも娘は真剣に守るわ。金髪じゃなくてもこの瞳はヤバいだろ?」
「紫眼にエメラルドグリーンかぁ…」
「タラシしか居ないみたいに言わないでくれ…」
「二人で終わりか?」
「今のところ」
「まだ妻は23だろ?」
「私は30になったからな。それより殿下でしょう?」
「何の事だよ…」
「南の連中…賭けてますよ?」
「‥‥‥」
「お義兄サマッ?ちょっと何それ?聞き捨てならない。アイツら何を賭けてんの?」
「ハハハ。君がいつ妊娠するか?」
「!」
「アイツら〜人をあんなに激しく踊らせておいて…もし妊娠してたらどうするつもりだったの!」
「君は南の国に着いた途端に月のモノが来たんだろう?」
リリベルは移動中は月のモノが来ないように、薬でいつも調整しているから薬を止めると直ぐに月のモノが来る。
「何で!お義兄様が知ってんの?!」
「そりゃあ賭けの情報として‥‥「義兄上、もうこれ以上言わない方がいい…リリの怒りしか買わないぞ」
「そうだな…クラーケンを一撃で殺ったんだもんな。本当にゴメン。私も妻も加担してないから許して!」
次回、南の国の王都に行くことがあれば、どうしてやろうかと報復を考えるリリベルだった。
「おう!遊びに来てたのか」
「バニヤン、おはよう」
「ちょうど良かったな。君らを呼びにやろうと思ってたんだ。今日は寿司を食うんだろう?職人をここに呼んでやったぞ」
「はい?職人?」
「ああ。船に来て握れってこの街の寿司職人に声を掛けといた。今朝、伝令を出したからな〜昼食にはまだ間に合わんかもな?いいか?」
「じゃあ昼食はソーメンにしましょう。子供達も大好きだから大量に持って来ました。西の小麦で作っている王室特製なので美味しいですよ」
「お義兄様、グッジョブ!」
「そうかじゃあ船の大鍋を用意させるわ」
急遽、昼食は船上ソーメンパーティになった。
そして私達はわざわざ食べに行かなくても、バニヤンのお陰で寿司まで食べる事ができた。ちなみにイカとタコのネタは事前にお断りをしておいてくれていた。
バニヤン、本当に気の利く男前だな。ザック殿下もホレたって言ってたから、やっぱりバニヤンは男から見てもイイ男なんだな〜。
翌日はスネイプニル達のストレス発散の為のお散歩に出た。
キャシーの船も順調に修理が進んでいて、明後日には問題なく出港できるそうだ。
姉達はしばらく夏休みで、近くの海水浴場に少し滞在してから王都に戻るそうだ。しかし姉はキャシーだけじゃなく、バニヤンのご奥様方用のお土産もしっかり渡したらしく満足していた。
姉達は私達よりも先に移動する。
「ララ姉ちゃん、わざわざ来てくれてありがとう」
「イイのよ。子供達も海に来れて喜んでいるわ。大きな船も見せてもらえたし。本当は王女殿下も来たがってらしたのよ」
「まだ産後2ヶ月だもんね?」
「そうねぇ。プテラちゃんもまだ長旅は無理ね。ここまで結構かかったし」
「帰りも気を付けてね」
「ありがとう。ここから西の国の港まではどれぐらいかしら?」
「最南の軍港を選んだから5日くらいだって」
「5日!随分、速いのね!?私達が南の国の王都に帰るのと変わらないわ」
「火山の国の船は蒸気船だから他の国の船よりスピードが速いんだって」
「なるほどね〜。だったら貿易も外交も案外、可能なのね。これまで陸路しか考えられてなかったから、もの凄い遠い国のイメージだったけど意外と近いわ」
「それは外交官の姉ちゃんだから、そう思えるんだよ。まあ私達もスネイプニル達のお陰で随分、短時間で移動させてもらったけど」
「そっか、そうかもね。次はいつ会えるかしら?家族にも会えたら宜しく伝えて頂戴」
そう言って姉達は家族で南の国の、海水浴場のあるリゾート地に旅立って行った。




