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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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「君は西の大陸の王族なのか?」

「全く違います。しかし本家の公爵家の昔の当主に西の大陸の王女が嫁いだそうで、それが本家の紫眼の始まりだとされています」


「つまりザック殿下の赤い髪と同じレベルの遺伝が、まだ公爵家に残っているって事ですよ」

 とリリベルが言うとバニヤン一家だけでなく、王弟殿下も目を見開いて驚いている。


「バニヤン、子爵や俺だけじゃない。そこの姉妹も北の王家の容姿とエメラルドグリーンの瞳を受け継いでいる」

 チッ!バラしやがったなザック殿下!

「そうか。だから君は北の神獣に乗ることが出来るのか」

「あ、それは私は無理ですわ。馬は人を選びますの。第三王子殿下がお乗りになれる理由もそれですわ」


 姉よ!それらしい理由で白馬が苦手な理由を回避したな?

 昔、父に「お前はバカだから白馬には絶対近寄るな」って言われてたもんね…。私もそれを信じていた時があったよ。ごめんねお姉ちゃん。


「西の国の民とは不思議な民族なのだな…」

 改めて言われると、そうかもしれない。北の国王陛下にも言われたし。


「ちょっと!どうして私達のテーブルの方にイカやタコを集めるのよ!」

 とうとう姉が気が付いた。

「バニヤン、メニューの端からは素晴らしい案だったけどイカとタコは外すべきだった」

 リリベルが後悔の面持ちで言うと「そうだな。ここも海沿いだからイカとタコのメニューは豊富だったな」とバニヤンが認めた。


「父上、潔く一人一品は食べましょう!」

「そうしよう…じゃあ俺はゲソ天を食うぞ!」

「おぉさすが男前だなバニヤン!散々、船で食べた天ぷらなのになっ。じゃあ俺もタコのアヒージョだ!」

「アイザック王子!そんな油メニューを?じゃあ僕は…「ちょっと待てぇ!何の話をしているの?何で皆、イカタコが罰ゲームのようになっているの?リリ、あんたはイカタコ大好物でしょう?!」


 チッ、どこまでも勘のいい姉だな。

 だがその話をすると、かなり脱線してしまうが良いのか?とバニヤンを見ると「妖精のお姉ちゃん、実はここに来る時に私達、海でデッカいタコに襲われたのよ」キャシーがあっさり話しやがった。


「デッカいタコ??」

 姉は想像がつかないのか目をパチクリさせている。

「クラーケンか!」

 義兄は知っているのかそう言った。

「ララ、北の港から西の大陸に渡る海域には生息しないからクラーケンを知らなくても仕方がない。でも学院の授業で航海術を取ると学ぶんだよ」


 義兄よ!学院中退の姉にケンカを売ったな?

「令嬢の誰が航海術なんて授業を取るのよっ!」

 姉よ!上手くかわしたつもりかもしれないが今度はキャシーにケンカを売ったぞ!

「子爵夫人!姉は父に次ぐ船乗りなんです!」

 おっと!先に長男が反応したのか。姉思いの優しい弟だもんな。


 さあ、またピンチですよララ姉ちゃん。

「船乗りは男女問わず立派な仕事だわ!で?そのデッカいイカタコが何だって?」

 さすが外交官の妻。さらりと褒めて話題を替えたわね?これは王子妃として学ぶべき話術だな〜。


「リリも何か食べてよ」

 さりげなくザック殿下からタコワサの皿が回って来た。

 ワサビ好きだし頑張るよ!


「それがねぇ凄かったのよ。火柱の妖精ちゃんが白馬に乗ってタコを一刀両断!」

 キャシー!ただ“皆で退治した”だけで良かったのに!

「リリベルッ!あんた…王子妃になっても呆れるわ…」

 姉ちゃんは呆れながらも、残ったイカタコの料理の皿を自分達の方に引き寄せてくれた。

 姉ちゃん!王子妃になってもご迷惑をお掛けするね。そして姉ちゃんは相変わらずカッコいい。


「なるほど恐怖体験か。それでしばらくイカタコを見たくないのだな」

 義兄よ!ちょっとニュアンスが違う。襲われてトラウマになった訳ではないが、まあいいかと思っていたら「いや違う。やっつけたタコ食べ過ぎて、もう無理」キャシーは素直だった。


 話は脱線したがメニューのイカタコを乗り越えて、エビと貝類に移った。我々のテーブルもホッとする瞬間だった。

 いや〜こんな所でタコの逆襲に遭うとはね…。


「それで第八王子は何がしつこかったの?」

「正確には王子じゃなくて妹ね」

「そう紫眼の第六王女がエリオット兄様に粘着してたのよ」

「彼女は婚約者がいたのだが紫眼の末っ子で甘やかされててね〜」

「兄様が帰国した後は荒れたわ。まあお陰で結婚も早まって、さっさと嫁に出されたから、それは良かったのよ。でもその後ね」


「お義兄様が外交官になった後のこと?」

「そうそう。今までエリオット兄様の影に上手いこと隠れられていたのに見つかってしまった感じよね」

「まあ…この紫の瞳が特にね…」

「紫眼を持たない準王族に大人気になってしまったのよ、この人。しかも私達の息子も紫眼でしょ?あちこちから愛人やら息子の婚約の申し込みが殺到したわ」


「それで第八王子はどんな人?」

「‥‥リリベル、あんたのその本筋から外れないとこっ!やっぱり王子妃に向いてるのね」

 いや…話を先に進めたいだけなんだけど。

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