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無事に夜の内に屋敷に着いてお風呂に入ってから就寝する。
出発は早朝だったけど船では当然、お風呂には入れないので寝る時間を割いてでもお風呂には絶対入りたかった。
少し寝不足だが、きっと船で寝れるはずだとスネイプニル達の元に行く。スネイプニル達は最後だからと、たくさん果物をもらったみたいでご機嫌だった。
私達の外出中に厩舎の使用人が掃除の後、バナナやパパイヤを置いておいてくれたらしい。
門の方まで行くと早朝にもかかわらず第一夫人と次女さん、第二夫人とお子さん方がお見送りに来て下さった。
使用人の皆さんにもお世話になった挨拶をして港に出発する。
バニヤン達とは、また港の船の前で待ち合わせする事になっている。
港に着くと「ブモ〜」っと牛よりも低めの鳴き声が聞こえてきた。
「何?!」と思って振り向くとベンジャミンがリリベルを遠くから見つけて鳴いていた。
「ベンジャミン!」
「…リリ、サオリは見ておくよ」
「殿下、ありがとう!サオリ、ラクダのベンジャミンにお別れを言って来るね」
リリベルはベンジャミンの所に向かう。
「ベンジャミン、一日しか一緒しなかったのに覚えてくれててありがとうね。乗せてくれてありがとう。今日はニンジンは無いの。ゴメンね」
リリベルがベンジャミンの首を撫でるとベンジャミンは「イイってコトよ!」と言わんばかりに、また「ブモ〜」と鳴いた。
ラクダ!律義な良いヤツじゃん。
「妖精ってラクダにも好かれるんだ!」
「外見だけでも良いんですね?いや、むしろ中身を見抜いて本能で従っている?!」
「王子妃でもいいけど、ラクダの調教の才能もあるんじゃないのか?」
リリ…なんか好き放題言われているぞ。
ベンジャミンともお別れを済ませて早速船に乗り込む。
まずはスネイプニル達を船室に入れて説明しておく。
「これから出発の準備で外は人が一杯なの。だから船が順調に巡航に入ったらお外に出られるからね」
「サオリもセノビックも小さいけど窓から外は見えるよ。しばらくこれで我慢してくれ」
ザック殿下も2頭をなだめてくれる。
私達は少ない荷物を船室に置いたら甲板に出る。
今日は良い追い風が吹いているそうで帆を早めに広げるらしい。
既に帆を張る船員達が準備の為に甲板にたくさん出ていた。
蒸気船は動力に風も加わると更にスピードが出るそうだ。そうすれば3日もかからずに南の国に着けるかもしれないそうだ。
ララ姉ちゃんは既に出発したらしいけど、南の国の王都からは私達が寄港予定の港まで5日はかかるらしい。
ちょっと姉ちゃんを現地で待つ事になるのかな〜なんて考えていると「ボー」っと船の汽笛が鳴ってビクッとする。
船の上で汽笛を聞くと想像以上に大きな音だ。護衛船も出港するから出発の合図の汽笛が港にしばらく鳴り響く。
いよいよ出発するんだな。
陸地では船の見送りの人達が手を振ってくれている。船員の家族やスタッフ達、船を見に来た人達が結構集まっている。
リリベルもザック殿下と一緒に陸地の人達にたくさん手を振り返した。
しばらくして沖に出ると船員達が帆を広げ始めた。
真っ白な帆が張られると船はとても圧巻だった。周囲の護衛船も帆を張っている。直ぐ前を行くのがキャシーが船長の船らしい。キャシーは私達と同じ18歳なのに、もう船長なのだ。とても凄い。
天気も良く追い風も吹いて順調だ!そう思って甲板で風を受けているとザック殿下が「風が強いと雲の流れも速いんだ」と空を見上げている。確かに遠くの方に入道雲は出ているけどねとリリベルも空を見回す。
「リリ、船団に水属性の船員がいるか聞いてくる」
とザック殿下はバニヤン達がいる操縦室に向かって行ったのでリリベルは馬達の様子を見に行くことにした。
「サオリ、セノビック狭い所でゴメンね。退屈していない?」
リリベルがスネイプニル達の船室に入ると2頭はそろって窓に釘付けだった。窓は小さくてもしっかり外は見える。やっぱり2頭にとっても珍しい経験なのだ。
「フフフッ自分は動いていないのに進んでいるって不思議でしょう、サオリ?」
サオリは一瞬、リリベルの方を見たが、また窓の外を見ている。
「早く外に出れるといいね〜帆も張られて、とてもカッコいいんだよ」
リリベルは2頭にお尻を向けれた状態だったけど、気にせず会話を続けた。
それぐらい自分もワクワクだったのだ。




