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翌日、ララ姉ちゃんの所から伝令鳥が戻って来た。
南の国の港に寄港してくれるなら、姉が情報を直接話しに港まで来てくれるらしい。どうやら伝令鳥だけでは伝えきれないほど、随分と西の大陸の王族の情報を持っているようだ。
バニヤン的には第八王子の情報だけで良いのではないかと思って聞いてみたのだけど、日程をロスしてでも是非話を聞きたいと言われてしまった。
しかも王弟殿下も知りたいのだそうだ。恐らく今後の外交の為なんだろうけど、火山の国は西の大陸に外交官を置いてはいないのだろうか?
「あちらの港の街に我が国の窓口は置いているのですが、外交というよりは、あくまで交易の為という意味が強いですね」
王弟殿下はそう仰った。
「あまり外交の重要性を感じていないからな。あの国の旨味は鉄鉱石という資源だけだ。恐らくどの国も鉄は西の大陸からの鉄鉱石がほとんどのはずだ」
「南の国も我が国から小麦が入る前は西の大陸から輸入していたらしいよ」
なるほどメインの輸入は鉄鉱石で小麦はついでなのね。
そういう訳で我々は南の国の港にも2、3日寄る事になった。
出港の準備が進められる中、私達は乗船するだけなのでやる事がない。
ザック殿下と日帰りで、この街から南下したリゾート地に行ってみようかという話しになってバニヤンに相談してみた。
「リゾート地はここから馬車だと半日だが、スネイプニルならどれぐらいで行けるか?」
「馬車で半日か…だったら今夜、夜中に出れば明け方には着くかと」
「砂浜だけ、見て帰ってくるのか?」
「他にも何かありますか?」
「リゾート地だから高級ブティックや宝飾品、黄金の食器などを扱う店がたくさんあるぞ」
「そういうのはあまり…だからビーチを満喫したら夕方には戻るので、こちらには夜中に戻るかと」
「バタバタだな?」
「そうですけどスネイプニル達も乗船前に、しっかり運動させておきたいので」
馬達は多少、疲れさせて船に乗せておきたい。そうすれば南の国までの3日間は船で大人しくしてそうだ。
「そうか。もう少し時間があれば我々の別荘を使わせてやれたのだがな」
それはっ!本当に残念だが仕方がない。
「だが砂浜は綺麗だぞ。砂は荒いが珊瑚が砕けてできた砂浜で真っ白だ。見るだけでも楽しめるだろう。ここからは道を南に一直線だから迷う事もないはずだ。気を付けて行って来い」
私達はその日の夜中にお弁当を持ってスネイプニル達とリゾート地に向かったのだった。
初めて見る砂浜は言われた通り、砂漠よりも砂が荒かったが雪のように白くて綺麗だった。それに海もエメラルドグリーンに輝いて遠浅で透き通っているのが分かった。
「これだ。これが想像していた海だ!」
「そうか。良かったな。ちゃんと期待した海が見れて。だけど王家の別荘もここの海のように綺麗だぞ。でも夏場は北から寒流が流れて来るから案外、水が冷たいんだ。いつかきっと君を連れて行くよ。まだ王族のうちに」
そうか王家の別荘なら王族じゃないと使えないのか。せっかくなら抜ける前にそういう特権も使っておかないとね。
スネイプニル達も大喜びで波打ち際を走っている。
美しい砂浜に透き通る海、美しい白馬。まるで楽園じゃない?!
何気に人も少なくて有難い。実はここのリゾート地も冬場の方が賑わうらしい。
確かに夏は砂漠の移動が大変だ。
バニヤンの船団も他国相手は夏場が最盛期だが、船で輸送された荷物は秋まで保管しているらしい。秋になると王都からどんどんキャラバンがやって来て春には倉庫も空っぽになるのだと言っていた。
バニヤンのいる港の街やこのビーチ沿いのリゾート地は国の中央と違って海からの雨雲もやって来るから雨は割と降るそうだ。
ジャングルのように短時間のスコールがあるそうだ。なので農作物は自給できるらしい。
「王都より住みやすいんだぞ」と言っていた。確かにそんな気がする。
「だけどジャングルや火山帯の物資も運ぶなら中央じゃないとな。だから母も弟もキャラバンの本拠地は王都に置いてる」
リリベルがバニヤンとの会話を思い出していると「そろそろ戻ろうか?」とザック殿下が言ってきた。
もうそんな時間か?!サオリも戻ってきてヤシの実に顔を突っ込んでいる。帰りに備えて燃料補給か?
セノビックは海水を舐めている。こちらもミネラル補給か?でも嫌な顔をしているから誤って舐めたな…。
明日はとうとう乗船だ。
何事も無いといいな〜…その前に無事に屋敷に戻らないとな。




