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海路による帰国が決まったら次はどこの港に向かうかだ。
「兄からはどの港にするのか?って尋ねる返答だったから多分、どこでも良いんだと思う」
「なら南の軍港か王都に近い中央の港かな?」
「でも帰りに西の大陸に寄るなら北の港もありなんじゃない?」
リリベルがそれを言った瞬間、周りがシーンとなった。
そう言えばキャシーの結婚の話はどうなったのだろうか?
「リリベル妃、それは一旦、保留だ」
ゴホンと咳払いしてバニヤンがそう言った。
「リリベル妃ちゃん、王子にはたくさん奥さんがいるみたいなの。私は海を捨てられないから。だから王子にはムコに来て欲しいんだよね。それで今、手紙を出しているのところなの」
「もし奥様方を全員連れて来たら…それごと受け入れるってこと?!」
「彼には子供はいないのか?」
「王弟殿下はどこまで情報をご存知なの?」
「彼は我が国との貿易の窓口を主に担当している王子なんですよ。確か第八王子とかだったと。彼の母親は西の大陸の奥地の部族の族長の娘で黒髪が美しい部族だという話です」
さすが王弟殿下だな。しっかり教育を受けているんだな。
「その王子が我が国の貿易の窓口なのか?私はこれまで一度も会った事がなかったな。もしかして最近、担当になったのか?」
「いいえ、もう5年目になると思います。だけど…もしかしたら今回の船団は船団主の娘が来るって聞いたから姿を見せた可能性も…」
「‥‥‥」
‥‥なるほどね。
「5年目って、その第八王子の年齢は一体いくつなんだ?」
妻が3人はいるなら10代ではないよね〜。
「30代のはずです。確か担当になったばかりの年に「フェニックスの29歳です」って言って挨拶していたそうですから」
34歳じゃん。
心なしかバニヤンの額がヒクヒクしている。
「あなたと3つ程しか変わらないわ」
第一夫人が仰る。
「えっ?!すっごく若く見えたのに」
「バニヤン、火山の国は西の大陸から小麦を輸入しているのか?だったら今後、減らすと良い。我が国の方が質も良いし北と南に輸出しても、まだ余裕がある。女神の恩恵を受ける土地だ。だから農作物や食料品は東の国よりも定評がある」
「それは国交が樹立する時に、追々話さないといけない内容ですね。姉にも連絡を入れておきますが私も念頭に置いておきます」
そうか西の大陸との貿易はバニヤン個人と言うより国同士の取り引きなのね。だけどバニヤンの顔色を見るに、西の大陸と縁を切りたそうだ。きっと貿易品は小麦の取り引きだけではないのだろうけれど。
「ザック殿下、もしかしたらララ姉ちゃん夫婦がその時、まだ西の大陸の外交官だったかも」
「そうか!ちょうどその王子が担当になったタイミングでまだ西の大陸にいたかもな?」
「そうじゃなくても王族の情報は知っていたはずだから姉の所に伝令鳥を飛ばしてみます。姉は南の国にいるからきっと2日以内に返事が来ると思います」
とりあえず西の大陸の王子の話は一旦、お預けで、我々の帰国の話に戻った。
船の出港準備の方は燃料も積荷なども、ほとんど完了しているそうで、あとは生鮮食料品や水などを積むだけになっているそうだ。
驚きなのは航海スピードだ。航海予定を見せられて驚いた。なんと火山の国を出たら3日で南の国だった。スネイプニルとあまり変わらない。
そして我が国には5日で到着だ。
真ん中の港でも6日で着くと言われた。しかも今は海流が北から南に向かって流れているから逆ならもう1日短縮できると言われて更に驚いた。
そう言えば王配様は2週間くらいで王都に来たとか言ってなかったっけ?1ヶ月以上かけての旅って仰っていたのは往復でって事だったのか?!
「船って凄いんだね?」
思わずザック殿下に言うと「どこの国の王都も港までが遠いんだよ」とそう返ってきた。
なるほどね〜。確かにどこの国も内陸よりに王都がある。だけどこれまで何も疑問に思ってこなかった。
バニヤンに「出港は3日後を予定したい」と言われたが、私達は問題ない。スネイプニル達も問題無さそうだけど、恐らく私達は船でほとんどをスネイプニル達と過ごす事になるだろう。
彼らの世話だけじゃなく、ストレス発散にも付き合わないといけないもんね。
そういう意味では陸路の方が楽だったのかもしれないけど、だけどスネイプニル達も船を選んだのだ。何を思って船にしたのかは分からない。ただの好奇心だけなのかもしれないけど。
私もザック殿下だって初めての船旅なのだ。
だから絶対楽しみたいな!




