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ザック殿下と王弟殿下、三人で夕日が沈むのを屋上で眺めたあと夕飯を食べに行く。
海側だからと言ってこの国の食文化が大きく変わる訳でもなく、夕飯はチキンのビリヤニ、ほうれん草とチーズのカレーにサラダだ。サラダのドレッシングもスパイスが効いて酸味のある物が多く、料理の付け合わせに紫玉ねぎのマリネがよく出てくる。
爺様…紫玉ねぎはマリネなんだよ。スープでもソースでもないんだよ。確かにマリネにすると彩りがイイ。
チャパティやトルティーヤにもスパイシーなお肉と一緒によく挟まれていた。
「リリベル妃は玉ねぎのマリネが気に入ったのか?さっきからよく食べているな」
「バニヤン、船での旅で嵐などの天災以外に危険なモノってあるのですか?北の海なら肉食の海洋生物がけっこういるみたいだけど」
「海賊はどうだ?交易する船団の増える夏場が多いのでは?」
そうか海賊か〜あの時、全てを討伐できた訳ではないものね。
「南の海は大型のサメが出るよ。あとは大型のイカだ」
『イカ!!』
意外過ぎてザック殿下や王弟殿下とハモった。
「クラーケンって言うんだよ。体長もデカいが手足の長さを入れたら相当長い。それを使って海に引きずり込んでくるんだ。小さな船なら船ごと沈める力がある」
「乾燥に弱いし夜行性だから夜間や雨の日に出ることが多い。しかも嵐に乗じて襲ってくる事もあるから出会ったら厄介だ」
「でも弱点は乾燥以外に火でもあるから火属性の我々は有利に戦えるから心配ないぞ」
「海賊は多いのですか?」
「うちの船を狙ってくる事はないよ。バンヤンツリー船団に手を出す輩はまずいない」
「それに西の国でだいぶ成敗してくれたんだろう?」
‥‥そう言えばお前達が西に送ってくれたんだったな!礼を言うべきか?
「もしかしたら火山の国の戦艦に追い立てられて西に集まったのか?」
ザック殿下、それは違う。ほらっバニヤンも長男も無言だ。まあ、それは過ぎたことだからもういい。それに理由はすでに公然となっている。
「ザック殿下、西の海には聖女の守りがないって言うのが理由だったでしょ?」
「あ〜そうだった!それで我が国も今後は海軍に、もっと力を入れないとって話になったんだ」
「我々が西の国に航路を拡大させれば、合わせて海賊を追い払う事ができるぞ?」
「それは有難いが、それと自衛は別問題だろう?でも火山の国からの助言や協力はきっと助かるよ!」
「…アイザック王子は本当に可愛いな。目をキラキラさせて」
大人達がウンウンと頷いている。
今、その話題に触れるところなの?!
「リリベル妃よりも可愛い」
今度は子供達も頷いている。そこも同意か?!
「リリベル妃が可愛いのは外見だけだ」
私はここでも火加減強めだったか?覚えがないが…。
「君はフェニックスを守る火柱の妖精なんだな」
もうここまで来たら同意も否定も面倒臭くてしたくないと思っていると
「ご主人様、ご長女様がお戻りになりました」
こっちでは家来という名の執事のような役割の男性が伝えてきた。
それと同時に急に部屋の外も騒がしくなる。
ご長女がこちらに向かって来ているのだろうか?
「そうかやっと戻ったか。二人共、王弟も!今、上の娘が戻って来たようだ。慌ただしくて申し訳ないが長女を紹介させてもらっても良いだろうか?」
私達には異存はないので頷く。王弟殿下も同様のようだ。
扉がノックされ若い女性が入ってくる。
船旅で戻って来たばかりだろうに疲れを感じさせないパワフルな雰囲気は船団主とよく似ている。それに黄金の瞳と日焼けした肌や髪が灯りを受けて黄金色に輝いている。
凄いインパクトのある美女だ!
「長女のカサブランカだ」
長女は紹介を受けて礼をする。
「西の国の第三王子夫妻、王弟殿下、初めまして」
少し低めの声も彼女に似合っている。
マジでカサブランカだ!!
リリベルが感動の眼差しで彼女を見ていると「まあ!可愛い。妖精?」と長女はリリベルを見て仰った。
ザック殿下よりも先に私に反応する人、この国では初めてじゃない?!
「おい、今、妖精は外見だけだって言っていたところだ。だがフェニックスは可愛いぞ!」
速攻で私は否定された…スンッ。




