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3姉妹令嬢の婚約  作者: 白石 透


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港町

 クリストフとユリウスはこの場所がかなり気に入ったようだ。漁港や市場を見に行くという。特にユリウスは口にした食材を見たい様子だ。それを聞いてエリアーヌは目を輝かせて、キャロラインを見てくる。エリアーヌも町に行ってみたいのだろう。エリアーヌに対して、あまり過保護になるのもよくない。フリージアは町をよく知っている。そう考えてキャロラインは許可を出した。エリアーヌは満面の笑みで「お姉様、ありがとう!」とお礼を言った。


 四人を送り出した後、キャロラインは一通の手紙を受け取った。差出人はジェラルドだ。ヴォンドル領で行われるパーティーに出席するから、自分にもぜひ会いたいという内容だった。

 ジェラルドはマメな男だと思う。高価な贈り物は欠かすことなく、時には自分に会いたいと伝えてくる。しかしながらキャロラインはジェラルドの心を掴めないと感じている。見えているようで見えない、はっきりしない輪郭。うまく隠されているのかもしれない。もしかしたらジェラルドは自分を持て余しているのではないかという不安もある。

 キャロラインは、はあ、とため息をついた。来訪を断る理由はないが、ここしばらく楽しく過ごしているせいか、水を差された気持ちになった。


 市場は買い物客と商売人や作業する者で賑わっている。ユリウスは一つ一つ水槽を覗き、フリージアや店主に説明を求めている。知識欲が刺激されているのだろうか。確かに足がたくさんある、ぐにゃりとした生き物があの料理だと説明されても、見た目と味が結び付かず奇妙な感覚になる。しかし今、クリストフはそれどころではない。エリアーヌがちょこちょこと動き回り、心配で仕方がない。人だかりがあると小柄なエリアーヌには見えないのだろう。人だかりの脇へ脇へと移動して離れてゆく。その度にクリストフは護衛のためエリアーヌの背後へと回る。今のところ移動する際にはフリージアがエリアーヌへ視線を送るので、離れ離れになることはないが、時間の問題のような気がしてしまう。キャロラインも同行の許可を躊躇したのだ。何かが起きてしまっては遅い。


 エリアーヌは感動していた。張り上げた声が行き交い、所々で大きな笑い声も起きている。荷車を引く者もいれば、顎に手をあて思案顔で水槽を覗き込む者もいる。人だかりがあれば何があるのだろうと気になってしまうし、水槽の中を泳いでいる魚を見ることもできた。何より驚いたのは女性も声を張り上げていることだ。これだけ賑やかだと声が届かないのかもしれない。フリージアとはまた違う元気のよさだ。

 ユリウスのペースでゆっくり見終わった頃、遠くから叫ぶが聞こえてきた。「帰ってきたわ!」とフリージアが言った。エリアーヌは何が?とは聞かなかった。フリージアの輝いている目を見れば、面白いものがあるに違いない。エリアーヌはフリージアから伸ばされた手を取った。


 辿り着いた堤防では既に大勢の人が集まり、手を振ったり歓声を上げたりしている。どうやら遠くの海で漁をしていた船が帰って来たらしい。フリージアの話では、近くの海と遠くの海では天気や波の高さが違うらしい。海が荒れると静まるまで耐えるしかない。魚が獲れるまで何日も海の上に留まることもある。だから陸で待つ者は帰還を祝うのだという。フリージアは周りと同じように声を上げた。釣られてクリストフも大きな声を上げた。気づくとエリアーヌも嬉しそうに声を上げていた。周りの歓喜に促されるようにユリウスも声を上げた。

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