Feel run away
祭に限らず、間違えて見るべきではないところ……特に裏方的な場所に、ふらっと現れてしまうのだけど、知らない人の視線が…痛いです (自業自得)
祭りで特別に設営されたテントのある広場、その広場の中でも一番大きなテントに私たちはお邪魔した。
テントの中には幾つか仕切りがあり、そのうちの一つにベラが案内してくれた。
「お姉さん、私の友達を連れてきたよ!」
ベラが声をかけると、椅子に座って男性と談笑していた女性が振り返った。
「あら、もう来たの? そちらの子たちがお友達?」
その姿を言葉で表すには、私の語彙ではあまりにも足りない。ベラの一挙一動に、口元に手を当てて笑う女性は上品で、まるで寒天の下で生まれた氷の結晶のような……透明で煌めく鮮やかな光。
その彼女が私たちを見て、微笑をたたえた口を開く。
「あなたたちのことは、既にベラから聞いていたわ。フィーネちゃんに、アリアちゃん。ほんと、あの人の子とは思えないほど、利発そうな子たちじゃない。逆に、あの人はいつも頭を悩ませてるに違いないわね」
昔を思い出したのか、堪え切れず笑う彼女に、私は少し困惑しながら尋ねた。
「……父さんの知り合いなんですか?」
「ええ、そうよ。あなたの父さんはこの村だと知らない人はいないほど有名人だったからね。当時の村長も大層手を焼かれて……良くも悪くもガキ大将って感じだったわ」
よくその手の話を聞くのだが、子供の頃の父は余程やんちゃしてたらしい。お婆さんにも、村のおば……お姉さんたちにも聞かされた。
「へー、お父さんもそんな時期があったんだ。お姉さん、もっと教えて?」
「アリア、それは……」
このまま話が続くのは悪いだろうと思って、彼女を見ると先程までと異なり、今にも口に出したいと目を燦然と輝かせ、興奮のあまり頬が赤く染まっていた。
「いいわよ! 例えば、姉さん……ベラのお母さんの初恋はあなた達のお父さんなのよ!」
「へっ?!」
「なんで、なんで?」
いきなり飛び火してきた話題に、ベラが初耳だと悲鳴を上げる。私も状況が分からず、ただ呆然としている。
「小さい頃からモテてたのよ、彼。決して、女性に靡くことはなかったし、成人して村に帰ってきた時には奥さんを連れていたからすぐに下火になったけど……小さいころは私も遠目に見てかっこいいと思ったわ」
「それで、それで?」
アリアにおだてられて、彼女は朗々と、楽しそうに話している。もはや、私たちのことは眼中にないようだ。
「……俺、外の空気吸ってくる」
「私も……」
この場から逃れるようとするロデルに同調して、私も居心地の悪い空間から退席していく。
「あっ、ロデルっ」
脱出する機会を逃したベラの手が虚しく空を切って、天幕は再び下ろされた。
作者、恋愛系の話はよく分からぬ故、神妙な面持ちで精査したで候。ふむ、ふぇーどあうと、にござる。
甘い夢が溶けてしまっても
指で掬うことすら決してない
喉が渇き 飢えることになっても




