Found the cat sleeping under the bed
夜更かしは……作者苦手だから、早く寝て起きるのがベスト。と言いつつ、ついつい寝る時間は過ぎてゆく。
……いざとなれば、イルカする覚悟でまいる!
暗く静まり返った廊下を、足音を立てずこっそり僕の部屋まで渡っていく。
「……なんで、さっきから僕たちこそこそしてるんだろ」
「夜更かしは悪い子がするものだからよ。でも、少し楽しくなってきたわね」
「ふわぁ、……ねむいね」
いつもより興奮した様子のフィーネお姉ちゃんと、欠伸をして眠そうに頭を揺らしているアリアお姉ちゃん。二人が部屋に入ったのを確認して、ゆっくり扉を閉めた。
「それで、何を見せてくれるの?」
眠たげな目をこすり、アリアお姉ちゃんは辺りを見回した。僕は机の上にあるものを取って、二人の前に置いた。
「これが錬金術に使う材料……その辺に落ちてる石じゃなくて?」
フィーネお姉ちゃんが二つの拳大の石を持って、見比べている。
「うん、錬金術自体はその辺のものでも出来るから」
錬金術と聞くと、殆どの人は路傍の石を金に変える絵を思い浮かべるだろう。でも、錬金術はそれだけのものではない。形を整形したり、金属を合金にしたりと幅の利いた使い方ができる。
「勿論、石を金へと簡単に変える事は出来ないよ。器材もないし、例えあったとしても設備を維持出来る以上の量は見込めないだろうからね。変換は効率がとにかく悪いから、眩しい光を放ってしまうんだ」
とある錬金術師が山を金に変えて裕福な暮らしをする物語もあるが、実際にそんな事をしても採算が合わないし、生まれる金は手の平にも満たないかもしれない。
今重要な事は、そんなことではないが。
「その光を花火にしたいと……打ち上げはどうするの?」
「それは……僕たちが真上に投げるしかないね、変化する速度を調整すれば上手くできると思うから」
絵面は良くないけど、みんなで投げる形なら祭りみたいではあると思う。
「でも、それは少し地味ね……光るだけじゃなくて、何かに見立てるとか。流石に投げたものを綺麗に並べる事は出来ないけれど、カプセルにして中に花弁を詰めれば良い感じじゃない?」
「すごい! それなら、確かにみんなが投げようと思えるね」
熱中している僕らは気づかなかった、いつの間にか声が大きくなっていたことに。
足音がこちらに近づいていたことに。
「まあ、随分と楽しそうね。こんな夜に騒ぐ小悪魔ちゃんたちには、私もイタズラしちゃうわよ」
「えっ、お母さっ——あはははっ、やめて、やめてぇ?!」
脇をくすぐられて、笑いが堪えられない。散々弄ばれて、解放された後も息切れをしていた。
「フィーネちゃん、あなたもよ?」
突然現れたお母さんに驚いたからか、フィーネお姉ちゃんは後ろに倒れるように後退っていた。必死に胸元に腕を組み、目の端には涙まで見えた。
少しずつ近寄る魔の手に、お姉ちゃんは顔を引き攣らせながら首を振って、
「いやっ、やぁっ、いやぁぁぁぁぁぁっ?!?!」
その夜、絶叫が森にこだました。
その頃、
「……くー、ふにゃぁ…………」
アリアお姉ちゃんは涎を垂らしながら、床に横たわっていた。
ガチ絶叫なフィーネ、彼女はこちょこちょにめっぽう弱いので。誰だって、慣れてないものは苦手だから。
錬金術……プラモデルを作るには十分に便利な気がする。素材がやたらごついけど、変形だけだったらそこまで面倒ではないから。ただ弄る時にも、術者の技量によって完成度が変わる気がする。……つまり、不器用な人にはあまり向いてないかもしれない。この村では流行ってないけど、外では趣味にする男が一定数いるとか……ちまちました作業だから。
価値は何処から生じるものか
値札された価値は本当に正しいのだろうか
その価値は世界が決める?
その価値は我々が決める?
本来価値のない代替品で満足する必要が何処にある
其方がそれの名前を知覚した瞬間、過去に裏打ちされた感動こそが、それを証明してくれる
忘れてはならない、それは個人の認識だと
取引とは、相手の価値と自身の価値の折り合いだと
相手の許容できる範囲で、最高の価値を得る
手に持っているものを、より価値の高いものと交換する術こそ本当の錬金術だ




