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~後日談① 三竜の解放


 俺たちが魔神を倒し、世界が救われてから数日が経った。


 魔神は完全に消滅したが、世界には今まで通りダンジョンがあり、魔物も引き続き生息している。


 遥か大昔、神話の時代に誕生した魔神。

 魔神が誕生する以前は、この世界には魔物やダンジョンは存在しなかったと言われている。

 魔神が誕生したことで、多くの生物が魔物に変わり、深遠の迷宮という魔物の命の循環が、魔神により創造された。

 魔物は死ぬと、その深遠の迷宮に入り、やがて再びそこから転生してダンジョンに現れて来るというこの世界のもう一つの "(ことわり)" が生まれた。


 その "(ことわり)" を生み出した魔神は消滅したが、"理" 自体はそのまま残ったのだった。


 冒険者たちは今日もダンジョンに入り、魔物と戦ってはドロップアイテムを入手している。

 危険は伴うが、ダンジョンと魔物は、ある意味、人類に恩恵を与えてくれる存在でもあるのだ。



 その後、ラビィは、島国ニホンに行き、そこでラビたちと一緒に暮らしている。

 そして、ラビたちの村を再び再建するために尽力している。

 ちなみに、鍛冶師のバッカスさんとその仲間の鍛冶師たちも一緒にニホンに行き、建物の再建を手伝っている。



 さて、先日、俺たちは世界樹の子供から祝福を受け、素晴らしいアイテムの贈り物をいただいた。


 今も俺の頭にはその祝福のアイテムが飾られている。


―――鑑定―――

ミルレリアの祝福

(神級アイテム:アクセサリー) 

・世界樹の冠

・ユニークスキル上限解放

・ユニークスキルLv+1

・全能力値+2000

・経験値効率向上

・付与スキル

 時魔法Lv1

 錬金術Lv1

 呪返神術(使用回数3回)

 世界樹の洗礼(使用回数3回)

 大陸創造(使用回数1回)

・勇者トールに与えらえた祝福の冠。

 本人以外は触れることも出来ない。

 透明化・幻体化・紛失防止機能付き。

――――――――  


 神級アイテム(アクセサリー)――ミルレリアの祝福。


 この素晴らしいアイテムの付与スキルの内容を見たとき、俺は真っ先に思い浮かんだのは、(いにしえ)の三竜のことだった。


 古の三竜。かつて魔王と戦い敗れた、三体の古代竜、アルタイン、デネル、ベーガ。


 俺たちは深遠の迷宮内で彼らに会った。


 アルタインは、魔王の呪いにより、A級ダンジョンの迷宮主として、迷宮内の牢獄に囚われている。

 デネルとベーガもまた、魔王の呪い「転生封呪」により、転生が封じられ、深遠の迷宮内に永遠に囚われている。


『ミルレリアの祝福』の付与スキル。

 呪返神術(使用回数3回)


 俺はこれを見たとき、彼ら三竜を救ってあげたい、との女神様の想いを感じた。


 スキル「呪返神術」は、鑑定によると、呪いを掛けた本人にその呪いを返す術とのことだった。要するに "呪い返し" の術のようだ。このスキルを使用することで、彼ら三竜にかけられた呪いは解かれ、逆に魔王にその呪いが返っていくらしい。……なかなか恐ろしい神術だな……。しかし、これもある意味、この世の(ことわり)、神の摂理なのかもしれないな……。

 

 やはり、女神様はずっと三竜のことについて、胸を痛めていたのだろう。彼ら三竜の魂の救済を、俺に託してくれたのだと確信している。


 そして、俺たちは、彼らを呪いから解放するために、深遠の迷宮へ再び行くことになったのだった。



 今日はそのために、皆集まっている。


「にゃー! アルタインたちを解放するにゃー!」

「彼らを呪いから解放するのじゃー!」

「アルタインさんたちを救うのですぅー!」

「三竜の呪いは、全部魔王に跳ね返すのだ!」

「デネルさん、ベーガさん、アルタインさん、待っていてくださいね!」

「トール、行くわよ!」

「「おお!」」


 皆で、深遠の迷宮に行く為に、俺はゴダの大森林に転移門を開こうとする。

 転移スキルは、深遠の迷宮やゴダの大森林の奥の場所では発動しない。まずは、ゴダの大森林の前に移動して、以前のように歩いて迷宮の扉に行くことになる。


 だが――モフがなにやら心の声で話しかけてくる。


「ん? なにっ! 直接行ける……だと! す……すごいぞ! モフ!」


 どうやらモフは、聖獣になって能力が上がったらしい。特に今まで得意だった空間魔法のレベルがかなり上がったようだ。


 モフが踊り出し、転移門が現れる。


「にゃー! 奇麗な転移門にゃー!」

「ほ、ほんとね……虹色に輝いてるわ!」

「いつもより強力な転移門なのじゃー!」

「モフすごい!」

「「おおお!!」」


 皆でその虹色に輝く転移門をくぐる。

 すると、そこはすでに深遠の迷宮内だった。しかも迷宮内のかなり奥のようだ。


「にゃー! もう深遠の迷宮内にゃー!」

「あっという間に来たのじゃー!」

「あっ! あれは……デネルとベーガの霊体じゃないかしら!」

「ほ、ほんとだ! デネルとベーガだよ!」


「よ、よし! 皆! これから彼らの呪いを解くぞ!」


「「おおお!!」」


 俺は古代竜デネルとベーガの霊体に近づく。


 カラン カラン


 彼らの霊体には今も魔王によってかけられた呪いの模様が刻まれている。そして、おもりのついた鎖が巻き付けられ、引きずるようにゆっくりと地面を這うように進んでいる。


 デネルとベーガは眠っているようだったが……やがて、俺たちの気配に気づいたのか、ゆっくり目を開ける。


「……む……!? そなたたちは……いつぞやの、勇者トールとその仲間たちか……」

「……ん……!? お主らか……。またここにやってきたのだな……しかし、なぜまた……」


 俺はデネルとベーガに、魔王と魔神を倒したことを告げる。


「なっ! なんと……! それはまことか! ああ……ついに魔王を倒してくれたのだな! 感謝するぞ!」

「魔王と……しかも魔神まで……ああ……我らの悲願を叶えてくれたのだな! 勇者トールとその仲間たちよ!」


 俺は、彼らに向かって言う。


「デネルさん、ベーガさん……。今、あなた方にかかっている『転生封呪』を解いてみましょう」


「――なっ! そ、そんなことが出来るというのか!」

「ま、魔王の呪いは、例え魔王が死のうとも、未来永劫解けないはず……! それを……解いてくれると言うのか……!」


「はい。では、今からその呪いを解除しますね。……――呪返神術!」


 デネルとベーガにそれぞれ術をかける。


 眩く輝く光に包まれる彼ら。そして、その光はやがて、大きな光る玉となり、迷宮の入り口の方に飛んで行った。


 と同時に――


 パリン


 デネルとベーガに繋がれていた鎖が切れ、徐々にその鎖とおもりが霧のように消えていく。

 更に、彼らの体に刻まれていた呪いの紋様も、霧のように消えて行った。


「よし! やったぞ! 呪いは消えたぞ!」

「「おおお!!」」

「「やったー!」」


「なっ! 我の体の鎖が消えて行った……。……おお! 体が……軽い!!」

「我の体も、軽くなったぞ! しかも、呪いの模様も消えてる……。なんだか、今までの息苦しさが取れて、清々しい気分だぞ!」


「トール殿よ……我らにかかった呪いを解いてくれて……本当にありがとう……」

「我も感謝するぞ……勇者トールとそのお仲間たち……ありがとう……」


 こうして、デネルとベーガの転生封呪の呪いは解けた。


「さて、次に、アルタインさんの呪いを解くことにしましよう」


「な、なんと! 我らの長兄の呪いも解いてくれると言うのか! ああ……有難い! トール殿、重ね重ね感謝するぞ!」

「おおお! ……アルタイン兄の "迷宮主の呪い" も解いてくれるのか……ああ……なんと……ありがたいことだ……」


 こうして俺たちは、デネルとベーガの霊体と一緒に、アルタインの囚われている、牢獄のような迷宮主待機部屋に行く。



 アルタインの牢獄に着くと、牢獄のなかでアルタインの霊体は眠りについていた。


「「アルタイン兄……!!」」 


 デネルとベーガは、彼らの兄に向かって呼びかける。悠久とも言える長い時間、離れ離れになっていた兄を見て、涙をこぼす。


 やがて、眠りから覚める古代竜アルタイン――。


「……む……。我を呼ぶのは誰――なっ、なんと……! デネルか! そして……ベーガも!」


「アルタイン兄! 我らの呪いは勇者トール殿が解いてくれたのだ! これから、アルタイン兄の "迷宮主の呪い" もトール殿が解いてくれるそうだ!」


「なっ! なんと……! ……そ、そんなことが――」


「アルタインさん、早速いきますね。……――呪返神術!」


 俺は、アルタインに、呪い解除の術をかける。


 パァアアアアアアア――


 牢獄の中にいるアルタインの体に光が包まれる。


「お……おおお……!」


 気が付くと――


 アルタインは、牢獄の中から出ていた。


 そして――代わりに……


 牢獄の中には、魔王の霊体が入っていた。


「おおおっ! ま、魔王の霊体が……!」

「な、な、なんと……!」


「魔王の霊体が牢獄に入ったにゃー!」

「魔王の霊体に……鎖が巻き付いているわ!」

「しかも……2つのおもりがついてるのですぅー!」

「呪いが跳ね返ったのじゃー!」

「「おおお……!」」


 なんと、デネルとベーガにかけられていた「転生封呪」の呪いは、2つとも魔王にはね返り、魔王の霊体には2つの鎖とおもりががんじがらめに縛られていた。そして、アルタインにかけられた呪いも、魔王自身にはね返り、魔王は、牢獄―― "迷宮主の待機部屋" に囚われたのだった。


「なっ! なんだ! この鎖はっ! お、重い……! ……なっ! な、なぜ……我が! 牢獄に入っているのだ! うわああああああああああああああああああああああ!!」


 自身の置かれた境遇に気づき、悲鳴を上げる魔王。


「魔王グランムーベ……これで立場が逆転したな。お前はこれで、二度と転生出来ない。しかも、永遠に迷宮主として、その牢獄に囚われの身となったのだ。女神の加護の力を思い知るがいい」


 俺は魔王を見つめて、最後の言葉を告げる。


「なっ! 勇者! き、きさまのせいかぁああああああああああ! わ、我が! 囚われの身に! くっ! くそぉおおおおおおおおおおおおおお! うわぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 深遠の迷宮内に、魔王の絶望の悲鳴が響き渡る。



 魔王は、自らが三竜にかけた呪いの報いとして、転生を封じられ、A級ダンジョンの迷宮主として、未来永劫囚われの身となった。


 世界はもう魔王の再来に怯えることは無い。


 真の平和が訪れたのだった。


 そして、かつて魔王と戦った誇り高き古の三竜は、救われたのだった。


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