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黒の人形使い〜女神に貰った神器で無双する。  作者: ボアの本棚


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96話 死霊の王



十三体の騎士は、すべて地面に倒れた。


ガシャ……。


ガシャン……。


静寂が戻る。


「……終わった?」


ユカリが息を切らしながら辺りを見渡す。


シオンも剣を下ろしかけた。


その時だった。


ガガガッ……。


「……?」


奥にある豪華な棺が、音を立てて震えた。


「ラスボスのお出ましか!」


シオンがすぐに剣を構える。


ガガガガガッ……。


棺の蓋がゆっくりと開いていく。


黒い瘴気が、隙間から溢れ出す。


シオンが身構える。


そして。


ガタンッ!


蓋が床へ落ちた。


棺の中から、一人の男がゆっくりと立ち上がった。


古びた王冠。


豪華な装飾が施された鎧。


その手には、鞘に収められた長剣。


「……王様?」


僕が呟く。


王は何も言わない。


ゆっくりと僕達へ身体を向ける。


そして。


剣を抜いた。


シャキィィン……。


「来るぞ!」


シオンが叫ぶ。


王が剣を高く掲げる。


すると。


ゴゴゴゴゴゴ……。


「え?」


壁が震え始めた。


壁の中から、何かが這い出してくる。


ズズズズズ……。


「うそ……」


壁をすり抜けて現れたのは、鎧を身につけた騎士。


その騎士が乗っているのは、半透明の馬だった。


「幽霊……?」


一騎。


二騎。


十騎。


次々と壁から現れてくる。


ドドドドドドドッ!!


「多すぎる!」


気がつけば、僕達の前には数十騎の幽霊騎馬が並んでいた。


さらに奥からも現れてくる。


「百……?」


僕は思わず呟いた。


幽霊騎士達が、一斉に槍や剣を構える。


そして。


王が剣を前へ向けた。


「……」


言葉はない。


だが、それだけで十分だった。


ドドドドドドドドッ!!


幽霊騎馬の大群が、一斉に走り出した。


「やべぇ!」


シオンが僕達の前へ出る。


「ユカリ!」


「分かってる!」


ユカリがおもちゃの剣を掲げる。


「凍れぇぇぇ!」


バキバキバキバキッ!!


石造りの床が一気に凍り付いていく。


先頭の幽霊騎馬が氷の上に足を乗せた。


ズルッ!


「ヒヒィィィン!」


馬が大きく体勢を崩す。


後続の騎馬も次々と巻き込まれていく。


ドドドドッ!


ガシャガシャガシャッ!


「今だ!」


シオンが駆け出した。


「《剣聖技・旋風》!」


ビュンッ!


シオンの身体が高速で回転する。


一騎。


二騎。


三騎。


幽霊騎士の武器を弾き、馬の足を斬り、次々と地面へ落としていく。


「すごい……」


僕が呟く。


しかし、倒れた幽霊騎士達の身体が、煙のように消えていく。


そして。


ズズズズ……。


壁の中へ戻っていく。


「……え?」


次の瞬間。


壁から再び現れた。


「復活した!?」


シオンが叫ぶ。


「何度倒しても戻ってくるぞ!」


「なんかヤバいかも!?」


ユカリが叫ぶ。


僕は王を見る。


王は、何もせずに立っている。


ただ剣を掲げているだけ。


その剣から黒い糸のような魔力が伸びている。


そして、その黒い魔力が幽霊騎士達へ繋がっていた。


「……あれだ!」


僕が叫ぶ。


「シオン!幽霊騎士じゃなくて!」


「何!?」


「王様の剣!」


シオンが王を見る。


「なるほど!」


王がこちらへ剣を向ける。


その瞬間。


「来るぞ!」


再び幽霊騎馬が突撃してくる。


「ユカリ!」


「うん!」


ユカリがおもちゃの剣を振る。


「風!」


ゴォォォォッ!!


強烈な風が吹き荒れる。


幽霊騎馬の進路が大きく逸れる。


「雷!」


バリィィィンッ!!


雷が騎士達を貫く。


「氷!」


バキバキバキッ!


足元が凍り付く。


「すごい……」


ユカリは一人で三種類の魔法を連続して使っていた。


「シオン!」


「任せろ!」


シオンが再び走る。


幽霊騎士の間をすり抜ける。


剣を避ける。


槍をかわす。


飛んできた矢を斬る。


そして。


「そこだ!」


王の前まで一気に距離を詰めた。


王が剣を振る。


ガキィィィン!!


シオンの剣と王の剣がぶつかる。


「ぐっ!」


シオンが押し返される。


「強い!」


王がさらに剣を振る。


シオンが受ける。


ガキン!


ガキィン!


「シオン!」


僕は浄化の力を集める。


「浄化の光!」


パァァァァッ!!


光が王へ向かって飛んでいく。


王が剣を振る。


ズガァァァン!!


浄化の光が弾き飛ばされた。


「僕の魔法が……!」


王の剣が黒い瘴気を纏う。


「危ない!」


ユカリが叫ぶ。


「シオン!」


「分かってる!」


シオンが後ろへ跳ぶ。


その瞬間。


ユカリが叫んだ。


「雷の槍!」


バチバチバチバチッ!!


巨大な雷槍がユカリの頭上に生まれる。


「えいっ!」


ズドォォォォン!!


雷槍が王の剣へ突き刺さる。


王の身体が大きく揺らぐ。


「今だ!」


シオンが踏み込む。


「《剣聖技・一閃》!」


ズバァァァン!!


王の剣が弾き飛ばされた。


カラン……。


床に剣が落ちる。


その瞬間。


幽霊騎馬達が一斉に動きを止めた。


「……」


そして。


サァァァ……。


一騎。


また一騎と、光の粒になって消えていく。


最後の一騎が消えた。


部屋が静まり返る。


王はゆっくりと僕達を見る。


「……終わった?」


ユカリが呟く。


王は剣を失った手を下ろした。


そして王の身体は、光に包まれた。


王の身体が崩れ落ちる。


鎧だけが床に残った。


そして、その中から小さな黄金色の魔石が転がり出てきた。


カラン……。


「……」


僕はそれを拾う。


その時だった。


ゴゴゴゴゴゴゴゴ……。


「え?」


地面が大きく揺れ始める。


「まだ何かいるのか!?」


シオンが剣を構える。


豪華な棺が置かれていた場所。


そこから、石の床がゆっくりと左右に開いていく。


ガガガガガ……。


その下から現れたのは。


さらに下へと続く階段だった。


「……まだ下があるの?」


ユカリが目を丸くする。


僕はスマホを確認する。


さっきまで真っ黒だったマップに、新しい道が表示されている。


そして、その先には。


見たことのない巨大な部屋が表示されていた。


「……いつまで続くのこれ」


シオンが剣を握り直す。


「行くしかないな」


ユカリが僕の隣に並ぶ。


「うん!」


僕達は顔を見合わせる。


そして、さらに下へ続く階段を降りていった。





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