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黒の人形使い〜女神に貰った神器で無双する。  作者: ボアの本棚


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93/95

93話 毒スライムキング



ドロップアイテムは、僕が二人分くらいの大きな盾と、立派なランスだった。


「……これ、誰が使うんだ?」


僕が盾を持ち上げようとする。


「無理だろ」


シオンが即答した。


「ですよね……」


僕は盾にバッグを近づけた。


盾はバッグに吸い込まれた。


そのまま僕達は地下へと進んでいく。


地下数階まで降りたところで、突然、道が途切れた。


「ん?」


その先にあったのは、幅三メートルほどの地下水路だった。


天井は低く、古い石造り。


壁には等間隔に松明を置くためのくぼみがあるものの、ほとんどは消えている。


水は、ゆっくりと流れていた。


ただし。


「……黒い」


僕は懐中電灯を向ける。


水面は真っ黒だった。


光を当てても、底がまったく見えない。


「普通の水じゃないよね」


「たぶんな」


シオンが水路を警戒する。


その瞬間。


バシャアアッ!


「ギシャアア!!」


「ギャアアア!」


突然、水路から何かが飛び出してきた。


「うわあああっ!」


「びっくりした!」


僕とユカリが悲鳴を上げる。


水面から飛び出してきたのは、骨だけになった魚。


「骸骨魚!?」


「来るぞ!」


シオンが剣を抜く。


だが。


ビシャアアアンッ!!


「え?」


次の瞬間、水路全体が青白く光った。


ユカリが、おもちゃの剣を水路へ向けていた。


「雷、落ちちゃえ!」


ゴロゴロゴロ……。


バリィィィンッ!!


轟音とともに雷が地下水路へ落ちる。


黒い水面が激しく波打った。


そして。


プカァ……。


プカ……プカ……。


骸骨魚だけではない。


アンデッド。


黒い毒スライム。


見たことのない水棲魔物まで。


水路にいた魔物達が、次々と浮かんできた。


「……全部倒したの?」


僕が呆然とする。


ユカリが振り返る。


「うん!」


そして、胸を張る。


「お兄ちゃんはユカリが守ってあげる!」


「あ、ありがとう……」


苦笑いしか出てこない。


僕よりも、よっぽど頼もしい。


「先に進むぞ」


シオンが先頭に立つ。


僕達は黒い水路に沿って進んでいった。


水路は迷路のように入り組んでいた。


分かれ道を見つけるたびにスマホのマップを確認する。


「こっちだな」


マップを頼りに進みながら、見つけた宝箱を開ける。


魔物を倒せばドロップアイテムを回収。


そうして何度も分かれ道を越え、さらに地下へと続く階段へたどり着いた。


「ここか」


シオンが階段を見る。


その瞬間。


「……あれ?」


僕が懐中電灯を向ける。


階段の前に、黒く蠢く巨大な何かがいる。


「なんだ、あれ?」


近づいてみる。


ぐにゅ……。


ぐにゅぐにゅ……。


黒い何かが、ゆっくりと動いている。


懐中電灯を当てると、その正体が分かった。


「スライム……?」


一匹ではない。


何十匹もの黒いスライムが、階段の前に集まっていた。


そして。


ぐにゅ。


ぐにゅぐにゅ。


「……くっついてる?」


黒いスライム達が、互いの身体を重ね始める。


一匹。


また一匹。


次々と融合していく。


「これは……」


シオンが剣を構える。


やがて、巨大な黒紫色のスライムが完成した。


「毒スライムキングだ!」


シオンが叫ぶ。


「気をつけろ!」


「ギシャアアアアッ!」


毒スライムキングが大きく身体を膨らませた。


そして。


ブシヤァアアアッ!


大量の毒液が、僕達へ向かって飛んでくる。


「ユカリ!」


僕が叫ぶより早く、ユカリが僕の前に立った。


「大丈夫!」


ユカリがおもちゃの剣を掲げる。


「魔法の壁!」


バシュンッ!


僕達の前に透明な壁が現れる。


毒液が障壁にぶつかった。


ジュウウウウ……。


毒液が障壁に触れた瞬間、白い煙を上げて溶けていく。


「うわ……」


僕は思わず後ずさる。


「これ、触ったら絶対ダメなやつだよね?」


「当たり前だ!」


シオンが叫ぶ。


毒スライムキングは、そんな僕達を見て身体を大きく揺らした。


ぐにゅううう……。


そして、床を這うようにして迫ってくる。


「なら……」


ユカリが少し考える。


「水の道を使う!」


「え?」


ユカリがおもちゃの剣を水路へ向ける。


「水、凍れ!」


バキバキバキバキッ!!


黒い水面が一気に凍り付いていく。


氷は水路を走り、毒スライムキングの足元まで広がった。


「今!」


シオンが駆け出す。


「《剣聖技・一閃》!」


ズバァッ!!


巨大なスライムの身体が真っ二つに斬れる。


「やった!」


しかし。


ドロリ……。


二つに分かれた身体が、ゆっくりと動き始める。


ぐにゅ……。


そして、再び一つに戻っていく。


「……倒れない」


シオンが舌打ちする。


「普通のスライムとは違うか」


毒スライムキングが再び身体を膨らませる。


「ギシャアアアアッ!」


ブシュウウウッ!!


今度はさっき以上の大量の毒液が飛んできた。


「魔法の壁、いっぱい!」


バシュン!


バシュン!


バシュン!


ユカリの前に、透明な障壁が次々と展開される。


毒液がぶつかるたびに、障壁が激しく揺れる。


ジュウウウウ……。


一枚。


パリンッ!


また一枚。


パリンッ!


「ユカリ!」


「まだ!」


ユカリは逃げなかった。


最後の障壁が。


パキィィンッ!


砕け散る。


その瞬間。


ユカリがおもちゃの剣を毒スライムキングへ向けた。


「凄い雷!」


ゴロゴロゴロゴロ……。


バリィィィィンッ!!


巨大な雷が、毒スライムキングの身体を貫いた。


「ギギギギギッ!!」


全身を震わせる毒スライムキング。


だが。


「まだ倒れない!」


僕が叫ぶ。


ユカリは毒スライムキングの身体をじっと見つめた。


「……あっ!」


「どうした?」


「見つけた!」


ユカリが指を差す。


「真ん中より右!」


僕も懐中電灯を向ける。


巨大な身体の奥。


黒紫色のスライムに埋もれるようにして、真っ黒な核が見えていた。


「魔石……?」


「うん!」


ユカリが笑う。


「あれを壊せばいいんだよ!」


ユカリがおもちゃの剣を掲げる。


「雷の槍!」


バチバチバチバチッ!!


ユカリの頭上に、巨大な雷の槍が生まれる。


「えいっ!」


ユカリが雷槍を投げた。


ズドォォォォンッ!!


雷の槍が毒スライムキングの身体を貫く。


そして。


ピシッ。


黒い核に亀裂が入った。


「ギ……」


ピシッ。


「ギギ……」


パキィィィンッ!!


黒い核が砕け散った。


その瞬間。


毒スライムキングの身体が、一気に崩れ落ちる。


ドシャアアア……。


黒紫色の液体が床へ広がっていく。


しばらく待つ。


動かない。


「……倒した?」


僕が恐る恐る聞く。


ユカリはおもちゃの剣を下ろした。


「うん!」


そして、僕の方を振り返る。


「お兄ちゃん、怪我してない?」


「うん。ユカリが守ってくれたから」


「えへへ」


ユカリが嬉しそうに笑う。


僕とシオンは顔を見合わせる。


「……完全にユカリが主役だったな」


「そうだね……」


僕も苦笑する。


毒スライムキングがいた場所には、黒い魔石が一つ残されていた。


「これも回収しておこう」


シオンが魔石を拾う。


そして、僕達はその先にある階段を見る。


階段は、まだ下へ続いている。


「……行く?」


ユカリが聞く。


僕はスマホを確認した。


マップには、ここから先の道が表示されている。


そして、その先には。


「うん。この先が最下層だね」


シオンが剣を構える。


「よし、行こう」


僕達は黒い水路を後にして、さらに地下へと続く階段を下りていった。





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