↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒の人形使い〜女神に貰った神器で無双する。  作者: ボアの本棚


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
86/96

86話 女神アローナの怒り



『臨時ニュースをお伝えします。


ライトアル聖教国のバルゴ猊下が、女神アローナから神託を受けたとの発表を行いました。


「聖者ワタル様を聖教国にて保護し、アザルディアの未来に有益となる人物の蘇生を行うこと」という神託を受けたとのことです』


『そんな神託してない!』


「ですよねー……」


思わず出たアローナさんの言葉に、僕はどっと疲れた。


『いっそのこと……』


「ん?」


『…………』


アローナさんが何やらブツブツ呟いている。


何か、とんでもないことを考えている気がする。


「アローナさん?」


『何でもないわ』


「…………」


絶対、何かある。


◇◇◇


それから数日。


先日の聖教国の発表によって、世界中で大騒ぎになっていた。


「聖者ワタル様を我が国へ!」


「アザルディアの未来のために、聖者を保護すべきだ!」


各国で、僕を自国へ迎え入れようとするデモまで起きているらしい。


それだけならまだいい。


問題は。


「ワタル様はどこだ!」


「聖者様を探せ!」


「捕まえれば死者を蘇らせてもらえる!」


僕を誘拐しようとする不審者まで、黒の街をうろつき始めた。


アレス公国内でも、僕を教会へ呼ぶよう求めるデモが起きているらしい。


「…………」


僕のせいで、世界中を混乱に巻き込んでしまった。


僕がアレクセイ王子を蘇らせなければ。


そんな後悔が、何度も頭をよぎる。


でも、あの時は。


面倒だから、普通の生活に戻りたかったから生き返らせた。


ただ、それだけだった。


まさか、こんなことになるなんて思わなかった。


◇◇◇


そんなある日の朝。


『臨時ニュースをお伝えします。


ライトアル聖教国のアローナ大教会が、突然発生した轟雷によって崩壊しました。


この影響で、バルゴ猊下が負傷。


聖教国では、今回の出来事が女神アローナの怒りによるものではないかとの噂が広がっています。


また、世界各地で起きていた聖者ワタル様を巡るデモ活動についても、今回の騒動を受け、収束する見込みです』


「…………」


僕はテレビの画面を見つめた。


しばらくして、隣から声がする。


『…………』


「アローナさん?」


『……何?』


「もしかして、やった?」


『…………』


沈黙。


「アローナさん?」


『ちょっとだけ』


「ちょっとだけって……」


僕は画面をもう一度見る。


大きな教会が、見事に崩壊している。


「これが、ちょっとだけ?」


『だって、私の名前を勝手に使ったのよ!?』


「まあ……」


『しかもワタルを勝手に聖教国へ連れて行こうとして!』


「それは確かに怒っていいと思うけど……」


『だから、ちょっと雷を落としただけ』


「…………」


女神の「ちょっと」は、信用しない方がいいらしい。


「女神アローナは相当頭に来てたらしいな」


シオンが目玉焼きトーストをかじりながら言った。


「これで黒の街の不審者もいなくなるだろ」


「そうだといいけど……」


僕はテレビを見ながら呟く。


「学校行ってくるぜ」


シオンがテーブルから立ち上がる。


「ユカリ、行くぞ」


「うん!」


ユカリは牛乳を一気に飲み干すと、慌てて立ち上がった。


「学校行ってくるぜ!」


「行ってらっしゃい」


二人が玄関へ向かう。


「いってきまーす!」


バタン。


二人を見送ると、今度はハルさんが立ち上がった。


「僕もサミュエルさんと話がありますので、もう出ますね」


「はい、ハルさん」


ハルさんはシンクへカップを置く。


「では、行ってきます」


「行ってらっしゃーい」


バタン。


家の中が静かになった。


僕は一人、リビングを見回す。


「…………」


ようやく、いつもの日常に戻れそうだ。


そう思いながら、僕は腕まくりをした。


「よし。掃除しよう」


まずは洗い物。


それから洗濯。


掃除機をかけて、床を拭いて……。


いつも通りの家事を始める。


外では、まだ世界中が大騒ぎしている。


でも、この家の中だけはいつも通り。


僕はそんな日常が、少しだけ嬉しかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。