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黒の人形使い〜女神に貰った神器で無双する。  作者: ボアの本棚


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64話 練習!練習!練習!



それからは、練習、練習、また練習の日々が始まった。


シオンは剣の国・フレナリア帝国へ。


僕はライトアル聖教国へ、それぞれ修行に出ることになった。


ユカリだけはハルさんが直接指導する。


二人は学校を休学し、僕たちは朝から晩まで修行漬けの毎日を送っていた。


僕の指導役は、十八歳の聖女・サーリャさん。


国で最も多くの魔力を持つ聖女だという。


「聖女に必要なのは魔力量ではありません。魔力を思い通りに操る技術です」


そう言って始まった修行は、どれも地味だった。


傷ついた花を枯らさずに癒やす。


羽を傷めた小鳥や小動物を治療する。


魔力を糸のように細く伸ばし、そのまま形を崩さず維持する。


そして病院では、軽傷の患者さんの治療を任されるようになった。


派手な魔法は一つもない。


けれど、そのどれもが難しかった。


一方、シオンの師匠になったのは、なんとフレナリア帝国第一王女・アロマさんだった。


シオンは魔法ではなく、剣と魔力を一体化させる修行を行う。


木剣へ魔力を流し続ける。


剣先だけに魔力を集中させる。


刃先一センチだけを凍らせる。


舞い落ちる木の葉を一枚だけ斬る。


時には滝に打たれながら、魔力を乱さず剣を構え続けることもあった。


「剣聖とは、魔力を無駄なく剣へ流せる者のことよ」


アロマさんは何度もそう言っていたそうだ。


そしてユカリ。


ハルさんは、いきなり強力な魔法を教えることはしなかった。


「まずは魔法で遊んでみましょう」


そんな一言から始まった。


手のひらに小さな光の玉を浮かべる。


その光を大きくしたり小さくしたりする。


火、水、風、土を親指ほどの大きさだけ生み出す。


魔法で積み木を積み上げたり、羽根を風だけでふわりと浮かせたり。


遊びのような修行だったが、魔力のコントロールは驚くほど上達していった。


もちろん、泣いても休ませてもらえない。


そんな日々が、数か月続いた。


◇◇◇


「次の方、どうぞ」


僕は治療所で、中軽傷の患者さんを治療していた。


冒険者学校の実践訓練はかなり厳しいらしく、毎日のように訓練で負傷した生徒たちが運ばれてくる。


最近ではライトアル聖教国とも提携し、新人聖女の研修施設としても利用されるようになった。


僕もその研修に参加し、サーリャさんの指導を受けながら治療にあたっている。


一方シオンは、アロマさん直属の新人兵士たちとパーティーを組み、実践研修として海底神殿ダンジョンへ挑んでいた。


出発して、もう三日。


まだ誰も帰ってきていない。


そしてユカリはというと。


以前けんかをした子とすっかり仲直りし、今では親友になっていた。


二人で楽しそうに魔法を教え合い、笑い合う姿を見ていると、思わずこちらまで笑顔になる。


みんな、それぞれの場所で少しずつ成長している。


そんな毎日だった。




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