↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒の人形使い〜女神に貰った神器で無双する。  作者: ボアの本棚


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/96

49話 世界の脅威



「お兄ちゃん!」


「おい、やめろ!」


「お兄ちゃああん!」


体が前後に大きく揺れる。


「ゆ、揺れ……」


ゆっくり目を開けると、目の前には心配そうな顔が並んでいた。


「起きたか、ワタル!」


シオンが安堵したように笑う。


「よかったぁ!」


ユカリが僕に抱きついてきた。


「……あれ?」


僕はゆっくりと体を起こした。


「せんしんシャールさんは?」


その一言で、その場の空気が凍りつく。


「……戦神シャールだと?」


国王レオルが目を見開いた。


「だから言っただろ」


シオンが肩をすくめる。


「俺たちは鍵のことなんて何も知らねぇって」


国王はしばらく黙っていたが、静かに口を開く。


「ワタル殿」


「目覚めたばかりで申し訳ない」


「だが、ダンジョンで何があったのか、詳しく聞かせてもらえないだろうか」


「あ、はい」


僕は頷き、ゆっくりと話し始めた。


暗闇で一人になったこと。


光を恐れ、逃げ続けたこと。


そして勇気を振り絞って光へ向かったこと。


せんしんシャールと名乗る男に出会ったこと。


地上の入口は偽物で、本当の神殿は地下に埋められていたこと。


攻略報酬として鍵を受け取ったこと。


さらに、『黒の人形使い』全員に加護を授けられたこと。


そして最後に。


『世界を守ってみせろ』


そう告げられたことも。


僕の話を、誰一人として口を挟まず聞いていた。


やがて国王が深く息を吐く。


「……そういうことだったか」


王妃エリザも難しい表情を浮かべる。


「あなた」


「シャール様は、何から世界を守れと仰ったのでしょう」


「お話を伺う限り、神は魔王ラファエルの復活を望んでいる様に思えます」


「彼以上の脅威が現れるということなのでしょうか……」


部屋に重い沈黙が流れる。


「お母様……」


ジャスミン王女が心配そうに王妃の手を握った。


僕は小声でシオンに尋ねる。


「何かあったの?」


シオンも小声で答える。


「お前が倒れた後、大騒ぎになった」


「お前が握っていたのが鍵だったからな」


「国王も、『やはり黒の人形使いは魔王復活を企んでいたのか』って勘違いしてさ」


「……あぁ」


それは疑われても仕方がない。


僕たちは何も知らずに鍵を手にしてしまったのだから。


その時、ハルが静かに口を開いた。


「ひとまず、場所を移しましょう」


「ワタルさんも休ませる必要があります」


国王は頷く。


「……そうだな」


そしてハルへ向き直る。


「ハル殿」


「先ほどは感情的になってしまった」


「申し訳なかった」


ハルは静かに一礼する。


「お気持ちは理解しております」


「私でも同じ立場なら、同じ判断をしたでしょう」


国王は小さく頷いた。


「会議室へ向かおう」


「シオンさん」


「ワタルさんたちを頼みます」


「おう」


国王たちは部屋を後にした。


◇◇◇


その日の夜。


長い会議を終えたハルが客室へ戻ってきた。


「お待たせしました」


「今からアレス公国へ戻ります」


「今回の件は、サミュエル公にも報告しなければなりません」


ジャスミン王女は少し寂しそうに微笑む。


「皆さん」


「また遊びにいらしてくださいね」


「ユカリさん」


「また魔物園に行きましょうね」


「うん!」


「また来る!」


二人は笑顔で握手を交わした。


国王もハルに声をかける。


「ハル殿」


「サミュエル殿への報告、よろしく頼む」


「承知しました」


まーくんが小さな杖を掲げる。


黒い魔法陣が静かに広がった。


「それでは、失礼いたします」


ハルさんが先に魔法陣へ入る。


僕たちも続いた。


◇◇◇


「っと」


気付けば、いつもの荒野だった。


見慣れた景色に、思わず肩の力が抜ける。


ドールハウスへ戻り、汗を流してからベッドへ潜り込んだ。


せんしんシャール。


神が託した鍵。


そして。


『世界を守れ』


魔王さんよりも恐ろしい存在が、この世界にはいるのだろうか。


そんなことを考えているうちに、疲れ切った僕の意識は、ゆっくりと眠りへ沈んでいった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。