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黒の人形使い〜女神に貰った神器で無双する。  作者: ボアの本棚


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45/100

45話 魔物園



「シオン、何で分かったの?」


僕は呆然と聞いた。


「ん?勘だよ、勘」


「……」


嘘だ。


絶対に何か気づいていた。


しかし、シオンはいつものようにニヤニヤ笑うだけだった。


その時。


古代神殿から眩い光が溢れた。


ゴゴゴゴゴ……。


地面が震える。


そして、神殿の奥から光でできた階段が一段、また一段と姿を現していく。


まるで、侵入者を待っていたかのように。


「……すげぇ」


シオンが目を輝かせる。


「行ってみようぜ!」


「ダメです!」


すぐにマリベルさんが声を上げた。


「姫様、王宮へ戻りますよ」


「ですが……」


ジャスミンさんも名残惜しそうに神殿を見る。


「新たなダンジョンが出現したとなれば、まずは調査隊を編成しなければなりません」


「ワタルさん、シオンさん」


マリベルさんは僕たちを見る。


「あなた方も、許可なく中へ入ることはお控えください」


そして。


視線はシオンへ向けられた。


「特にあなたです」


「俺?」


「はい」


即答だった。


シオンは苦笑する。


「信用ねぇなぁ」


「自覚がおありなら、少しは控えてくださいませ」


仕方なく、僕たちは王宮へ戻ることになった。


◇◇◇


「はぁー……」


「空の旅は本当に楽しかったですわ!」


王宮へ戻ると、ジャスミンさんは満面の笑顔だった。


「ありがとうございました!」


「ダンジョン……行かないの?」


ユカリが少し寂しそうに尋ねる。


「調査が必要だから、今回は駄目なんだって」


「また今度だね」


ユカリは少し落ち込んだ顔をした。


でも、大事なことだと分かっているのか、わがままは言わなかった。


そんなユカリを見て、ジャスミンさんが微笑む。


「諦めるのは、まだ早いですわ」


「え?」


「小さなお子様でも楽しめるダンジョンがあります」


「ダンジョンあるの!?」


ユカリの顔が一瞬で明るくなる。


「魔物園ですわ」


「魔物園?」


「はい」


ジャスミンさんが説明する。


「西の海沿いにあるダンジョンなのですが、そこには危険性の低い魔物しか出現しません」


「可愛らしい魔物も多く、Fランク冒険者や子供の冒険体験にも利用されています」


「どうでしょう?マリベル」


「……」


マリベルさんは少し考える。


「安全管理がされていますし……」


「そこなら問題ないでしょう」


「ただし、行くのは明後日です」


「準備がありますから」


「ありがとうございます!」


「ユカリ、ダンジョン行ってもいいって」


「本当!?」


ユカリは飛び上がる。


「やったあ!」


「俺は遠慮しとくぜ」


シオンが伸びをする。


「少し休ませてもらう」


「でしたら客室をご用意しますわ」


ジャスミンさんが笑う。


「今日は王宮へお泊まりください」


「いいんですか?」


「もちろんです!」


「ぜひ冒険のお話を聞かせてください!」


こうして昼の時間は穏やかに過ぎていった。


そして夜。


僕たちは遅くまで冒険の話をしていた。


翌日も。


……結果。


「明日のダンジョンに行けなくなりますよ」


マリベルさんに怒られることになった。


◇◇◇


魔物園ダンジョン。


今日は特別に貸し切りになっていた。


「ジャスミン様が訪れる時は、いつもこのようにしております」


兵士さんが小声で教えてくれる。


王女様が来る以上、安全確保のためだ。


この国の移動手段は、僕たちの世界の車とは違った。


大きなカバのような魔物の背中に、屋根付きの台座を乗せた乗り物。


周囲にはカーテンがあり、中には絨毯とクッションが敷かれている。


乗り心地は意外なほど快適だった。


「すごい……」


ユカリは周りを眺めながら目を輝かせる。


◇◇◇


僕たちはそれぞれ興味のある場所を見ることになった。


僕とユカリは魔物園。


シオンは市場。


ハルさんは砂時計塔。


もちろん、兵士さんの護衛付き。


……シオンいわく、


「護衛じゃなくて監視だろ」


らしい。


「ジャスミンさんもFランク冒険者なんですね」


僕が尋ねると、ジャスミンさんは少し照れたように笑った。


「はい」


「王女であっても、自分の身は自分で守れなくてはいけないと思いまして」


「それで剣を学ぶことにしたのです」


「すごいですね」


「僕たちは『まーくん』達のおかげでSランクになれましたが、本来ならDランク程度の実力しかないです」


「Dランク!?」


ジャスミンさんが驚く。


「それでも十分すごいですわ!」


「私なんて、冒険者登録して半年経ちますが……」


「未だにFランクですもの」


「それは……」


何とも言えなかった。


そんな話をしていると。


「まもなく到着します」


兵士さんが声をかける。


「海!」


ユカリが歓声を上げる。


目の前には青い海。


その先に、小さなアーチ状の岩山が見える。


「あれが入口です」


「左側に見える崖の下」


「そこに魔物園ダンジョンへの入口があります」


僕は海を眺める。


今回は、まーくんたちの力を借りる必要はなさそうだ。


ユカリ、楽しめるといいな。


そう思いながら、僕たちはダンジョンへ向かった。




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