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黒の人形使い〜女神に貰った神器で無双する。  作者: ボアの本棚


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22話 ルールは守って攻略しましょう



湖には大勢の冒険者が集まり、一面が人で埋め尽くされていた。


「何が起きたんだ!」


「昨日までは普通だったのに!」


「湖の水が全部消えたぞ!」


あちこちから驚きと困惑の声が上がる。


どうやら、昨日までは異常のなかった湖が、一夜にして干上がってしまったらしい。


底には大きな亀裂がいくつも走り、見下ろすだけで足がすくむほど深い。


落ちたら……助からないだろう。


「どうすんだよ、こりゃ」


シオンが腕を組んで呟く。


「海、空っぽ!」


「湖ですね」


ユカリは走り出そうとしたが、危ないのでハルさんに抱きかかえられている。


「今度こそ飛行機しかないね」


僕が言うと、


「いや、橋を使おう」


シオンがマジックバッグから『アーチ型の橋』を取り出した。


「ハルが作った魔道具ってことにすりゃいい」


「えっ、ちょっと待っ」


僕が止める間もなく、シオンは橋を空高く放り投げた。


橋は光を放ちながら空へ吸い込まれるように消えていく。


そして次の瞬間。


ドゴォォォォン!!


轟音とともに巨大な橋が空から降ってきた。


「うわぁぁぁ!」


「な、何だぁ!」


「橋だ!」


冒険者達は悲鳴を上げて逃げ惑う。


しかし、その橋は干上がった湖を一直線に横切り、遠くにある見えない何かへと繋がっていた。


「ダンジョンへ続いてるぞ!」


誰かが叫ぶ。


「行くぞ!」


その一言で、冒険者達は一斉に橋へ殺到した。


「危ないね」


「列がなくなってから行こう」


僕達は慌てず、人の波が落ち着くのを待ってから橋を渡ることにした。


◇◇◇


橋を渡り切ると、そこには巨大な氷の城が建っていた。


「ここがダンジョン?」


ユカリが目を輝かせる。


「どう見ても、お城だね」


透き通る青い氷で造られた城。


壁の向こうが見えるほど透明で、美しい。


まるで氷の芸術作品だった。


「入口、閉まってるな」


シオンが扉を見上げる。


「僕が開けます」


ハルさんはユカリをそっと地面に降ろすと、右手を扉へ向けた。


指輪が淡く光る。


「生命反応なし……冒険者はいません」


小さく呟くと、


「それでは」


ゴォォォォォッ!!


凄まじい業火が扉をすり抜け、城の中へと流れ込んでいく。


「ギャアアアア!」


「グオオオオ!」


中から魔物達の断末魔が響き渡った。


数秒後、炎は消え去る。


「終わりました」


ハルさんが静かに言う。


「おい、他の冒険者がいたらどうすんだ」


シオンが呆れ顔で尋ねる。


「大丈夫です」


ハルさんは右手の指輪を見せた。


「この指輪は探知機でもあります」


「人間の生命反応はありませんでした」


「中にいたのは魔物だけです」


「……マジかよ」


シオンが苦笑する。


「入っても大丈夫なんですか?」


僕は恐る恐る聞いた。


「残っていた魔物は全て倒しました」


ハルさんはにこりと笑う。


「フレナリア帝国の資料では、このダンジョンはAランク相当」


「ユカリさんの人形達なら問題ありません」


ダンジョンにもランクがあるんだ。


初めて知った。


◇◇◇


一階層。


二階層。


十階層。


二十階層。


僕達は魔物の姿をほとんど見ることがなかった。


ユカリの人形達が次々と敵を倒してしまうからだ。


僕達の仕事は、倒した魔物の魔石や宝箱を回収すること。


気が付けば五十階層へ到着していた。


階段の様子が今までと違う。


赤い絨毯。


豪華な装飾。


大きな両開きの扉。


「ボス部屋ですね」


ハルさんが静かに言う。


「みんな、準備はいいですか?」


「最後の戦いです」


「みんなっていうか、戦うのはユカリだけだけどな」


シオンは火属性の剣を抜いた。


元々持っていた氷の剣では、このダンジョンでは不利だからだ。


「最後のボス!」


「倒す!」


ユカリが元気よく飛び跳ねる。


……。


僕はというと。


本当は、このまま帰りたい。


でも、ここまで来たんだ。


覚悟を決めるしかない。


僕は深呼吸をして、最後の扉を見つめた。






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