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2話 二人だけの家

ズドオオオンッ!!


凄まじい爆音に、僕は目を覚ました。


「……っ!」


何が起きたのか分からない。


慌てて周囲を見る。


そして。


「ユカリ!」


僕は倒れている妹の姿を見つけ、慌てて駆け寄った。


「ユカリ! 大丈夫!?」


抱き起こすと、ユカリは静かに眠っているだけだった。


「……よかった」


胸を撫で下ろす。


『ここは……どこなんだ?』


辺りを見回す。


そこに広がっていたのは、見たこともない景色だった。


草も木もない。


どこまでも続く乾いた砂地。


まるで砂漠のような場所だった。


そんな荒野の中に一軒の小さな平屋が、ぽつんと建っていた。


「家……?」


呆然としていると、その時。


ヒラリ。


空から一枚の紙が舞い落ちてきた。


僕は慌てて受け取る。


そこには、可愛らしい文字が書かれていた。


『二人だけのお家をプレゼントするよ。


しまいたい時は「小さくなれ」って言えば大丈夫。


これからは二人で自由に生きてね。


女神アローナより』


「家を……プレゼント?」


信じられなかった。


僕たちは、あんな場所から逃げられたと思ったら、今度は見知らぬ世界にいた。


なのに、誰かが僕たちのために、家を用意してくれた。


どれくらいその紙を見つめていただろう。


「……お兄ちゃん」


「ん?」


「喉……乾いた」


ユカリの小さな声で我に返る。


「あ、そうだね」


「お水……飲もう」


僕は恐る恐る玄関のドアを開けた。


中は不思議なほど綺麗だった。


中央にはテーブル。


右側にはキッチン。


左側には浴室。


正面には二つの個室があり、クローゼットには僕たちの体に合った服や靴まで用意されていた。


「すごい……」


まるで最初から僕たちが住むことを知っていたみたいだ。


とりあえず冷蔵庫を開ける。


「え……」


中には、見覚えのある2リットルのペットボトルが入っていた。


烏龍茶。


「飲んでいいのかな……」


迷いながら蓋を開ける。


そして一口飲む。


「……!」


「かはぁ……!」


ユカリが目を大きく見開く。


「ウーロン茶、おいしい!」


「うん……美味しいね」


たった一杯のお茶なのに。


涙が出そうになった。


今までずっと喉が乾いていたんだ。


気がつけば、二人で一本飲み干していた。


この家にはさらに不思議なことがあった。


冷蔵庫の食べ物や飲み物はどれだけ食べても減らない。


お風呂にはいつでも綺麗なお湯が張られている。


服も靴も、必要になるといつの間にか増えていた。


そのおかげで、痩せ細っていた僕たちの体は少しずつ元に戻っていった。


数ヶ月後。


『ニュースをお伝えします。


アレス公国南部に存在するダンジョン塔ですが、冒険者パーティー「暁の塔」が攻略に成功したとの情報が入りました』


テレビのような画面から流れるニュース。


僕はその言葉に反応する。


「ダンジョン……」


胸が高鳴った。


『……ヤバい』


その瞬間。


「お兄ちゃん!」


「ユカリ、ダンジョン行きたい!」


「行きたい! 行きたい! 行きたい!」


妹の目が輝いている。


『こうなったユカリは止まらないんだよな……』


僕としては、このまま二人で静かに暮らしていきたかった。


でも、ずっと家の中だけで過ごしていたら退屈する気持ちも分かる。


「分かったよ」


「本当!?」


「でも、入り口を見るだけだからね」


「危ないことは絶対しない」


「うん!」


ユカリは満面の笑みを浮かべる。


「大丈夫!」


「みんながいるもん!」


そう言って取り出したのは、三体の小さな人形だった。


「剣士のけんくん!」


「魔法使いのまーくん!」


「聖女のせいちゃん!」


『……それ、スマホのアプリで買ったやつだよね?』


女神アローナがくれた荷物の中には、スマホが二台。


それとボディバッグやリュック。


スマホには、いくつものアプリが入っていた。


その中の一つが『おもちゃ箱』。


たぶん、それで買ったんだろう。


「ユカリ」


「欲しい物があったら、お兄ちゃんに言ってって言ったよね?」


「……ごめんなさい」


「次からはちゃんと言うんだよ」


「うん!」


ユカリは勢いよく頷いた。


「じゃあ……まずは冒険者ギルドってところに行こう」


「冒険者!」


ユカリの目がさらに輝く。


そして勢いよく玄関のドアを開けた。




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