14話 何か可哀想
ここは……?
真っ暗で何も見えない。
あれ? 声が出ない……?
車のライトを点けると、そこが洞窟のような場所だと分かった。
続けてスマホのライトで辺りを照らす。
良かった。ユカリは無事だ。
「っはぁ!声が出る!」
シオンの姿も見えた。
「おい!あ、俺も声が出るぞ!」
僕も声を出そうとしたが、何も聞こえない。
シオンがスマホのライトを僕へ向ける。
「こ、声が出た……」
「どうやら明るい場所にいると喋れるみてぇだな」
僕は『まーくん』へライトを向けた。
「まーくん、僕たちの周りを明るくできる?」
まーくんが杖を左右に振ると、大きな白い光球が現れ、車全体を優しく包み込んだ。
「これなら普通に喋れるね。ありがとう、まーくん」
「ああ。このままダンジョンも終わってくれりゃいいんだけどな」
「ユカリ、まだダンジョンで遊びたい!」
「これで最後だといいね!」
車を進めると、道が左右に分かれていた。
マップを確認する。
左はゴーレムの群れ。
右はオークの群れ。
「正解は……真っすぐ?」
よく見ると、二つの道の間に細い一本道が描かれていた。
「幻影か?ゆっくり進んでみろ」
「わかった」
恐る恐る車を前へ進める。
すると、岩壁が抵抗なく揺らぎ、車はその中へ吸い込まれていった。
「気をつけろよ。少しでも道を外れたら、魔物の巣に突っ込むかもしれねぇぞ」
「プレッシャーかけないで!」
慎重に進み続けると、やがて視界が開け、広大な空間へと出た。
「行き止まり……?」
その瞬間、目の前の地面から黒い煙が噴き出し、辺りは再び闇に包まれる。
煙は渦を巻きながら何体もの骸骨剣士を生み出した。
さらにその奥には、骸骨剣士の何倍もの巨体を持つ骸骨の王が立ち、不気味にケタケタと笑っている。
「せいちゃん。みんなジョウブツさせてあげて」
その一言と同時に、緑色の光球が一気に広がった。
光に触れた骸骨剣士たちは、抵抗する間もなく次々と浄化され、静かに消えていく。
逃げ場を失った骸骨の王も、悲鳴を上げる暇すらなく光に飲み込まれ、そのまま跡形もなく消滅した。
……何というか、色々な意味で少し可哀想だった。
ボンッ!ボンッ!
魔物たちが消えた場所へ、二つの宝箱が落ちてきた。
赤い宝箱には『兜』。
青い宝箱には『鍵』が入っている。
「これって、何の鍵なんだろうね?」
僕は何となく青い宝箱から鍵を手に取り、どこかにあるはずの何かへ思いを巡らせた。
「全部のダンジョンを攻略すりゃ分かるかもな」
シオンがニヤリと笑う。
その直後。
ブオンッ!
岩壁に白く輝くアーチ状の穴が開いた。
中を覗くと、その先は見覚えのある神殿の入り口だった。
ユカリの強い希望もあり、帰りは飛行機で荒野へ戻ることにした。
シオンは「絶対に嫌だ!」と最後まで猛烈に抵抗していたが、
「今日の晩ごはん、オムライスにするよ」
その一言で、渋々ながらも諦めた。
もう、しばらくダンジョンは勘弁してほしい。




