蒼穹の魔王
ダンジョンに入り、一気に50階層まで飛ぶ。
ここでギルマスのカーティスから貰った魔道具を使用する。見た目は二つのサイコロだが、鑑定し使用方法を確認する。
【天鈴の賽子】
効果…指定した場所と場所で空間移動をすることが出来る。
使用方法…魔力を込めて投げる。
最大登録数は六人で一人につき十人まで同行出来る。一人につき100の魔力が減る。
製造者 不明 古代魔道具
随分と便利な物をくれたものだ。
俺が魔力を込めると光り出し上に向けている所に俺の名前と【クロッセアダンジョン50階層】という名前が浮かび上がった。
それを確認するとセレナ、ブルース、ジン、カインさんに順番に渡し名前を登録した。
「主殿!もう一度貸していただけるでごさるか?」
ん?ブルースがもう一度サイコロが見たいと言うので手渡す。
するとそれをそのまま口へ運び食べた…え?!
それを飲み込むとふぅ…と溜め息を吐き何処かへ消えた。
と、思ったらゴブリンを連れて戻ってきた。
おかしいな、この辺にはゴブリンなんて居ないはずだが。
居るのは5階層くらいまでだ。
それを倒して俺の前に膝をつき口を開く。
「主殿、貴重な魔道具を駄目にしてしまい、申し訳ないでござる。だが拙者は新たな魔法を覚えたでござる。空間転移、この力、存分に使って下され!」
俺は呆けた…カーティスから貰った古代魔道具を飲み込んだブルースが転移魔法を覚えたという。ブルースが出したステータスを確認する。
名前 ブルース
種族 人粘魔女王
年齢 342歳
レベル 20
職業 初級魔王《覚醒状態》 魔王ソラトの配下
称号
【蒼穹の魔王】
【粘魔の覇者】
【魔王ソラトの腹心】
【大罪を覚醒せし者】
【十九番目の魔王】
能力
物理攻撃力 20000
物理防御力 30000
魔法攻撃力 35000
魔法防御力 20000
敏捷 40000
運 50000
魔法 水魔法 大海魔法 聖光魔法 空間魔法 次元魔法 隷属魔法 結界魔法
スキル 分身 増殖 巨大化 縮小化 補食 硬化 刺突 空間把握 空間転移 現場指揮 縮地 空翔 スカウト 大罪スキル《暴食》《正義》《??》
固有スキル 迷宮生成 迷宮操作 一騎当千
耐性 全魔法属性半減 物理耐性 刺突耐性 毒無効
配下 サクラ モミジ その他スライム104体
いつの間にかブルースさん、魔王になってた。
しかも俺より強い…
現在俺のレベルは21。しかも未覚醒…。
配下が得た経験値の一割が全て俺に入ってくるため魔王に必要な経験値がどんどん入ってくる。
今までの経験からして一レベル上げるのに十倍…
普通の人が十レベル上げる分がそのまま俺には必要って事だ。
つまり普通の人感覚ならレベル200辺りが妥当だろうか。
それでもブルースには勝てる気がしない…
もうブルースに仕えた方が良いんじゃないかな…俺は自信を無くした。
「これは…」
「同じ時代に魔王が二人も現れるだと…?!有り得ん!」
アンリエッタとセレナが横でブツブツ喋っている。
そりゃそうだわな。一時代に魔王が現れるのは一人だけ。
その常識が覆されたのだから。
「ブルース…良くやった。」
俺は良くわかんないけどとりあえずブルースを褒めた。
嬉しそうに「ははぁ!」とか言ってかしずくブルース可愛い。思わず頭を撫でてやった。
「それでダンジョン内ならどこでも飛べるのか?」
「拙者が訪れたことのある階層ならばどこにでも。ここにいる全員を連れ移動することが出来るでござる」
「そうか。この前合流したのは…71階層だったか。とりあえずそこまで飛べるか?」
ブルースは頷き声を上げる。
「皆のもの拙者にお触れ下され!ーーイヤン…!!カミツレ、胸には触らないで欲しいでござる」
どさくさに紛れてカミツレがブルースの胸を揉んでいた。
俺は視線を逸らす。
最近アンリエッタと行動してたからか付けなくていい悪知恵を付けたらしい。
ジト目で睨み付けられたカミツレはそそくさとブルースの腕に掴まった。
「行くでござるよ」
ブルースが宣言すると光り出し俺達は目を閉じた。
目を開くと見覚えのある71階層の階段前に到着する。
この前セレナが土魔法で作った椅子と机がまだ残っていた。
「おぉ…」
「俺、とんでもねえことに巻き込まれちゃったんじゃねえか?なぁ、坊主…帰らせてくれ」
皆が感嘆の声を上げる中、唯一俺の配下じゃないカインさんが俺にすがりつき弱気な事を言い出した。
「ダーメ」
俺は爽やかな笑顔をしてカインさんに告げる。
まるで死刑宣告されたような絶望の表情をしている。
「まぁまぁソラト。望まない者を無理矢理連れていっても仕方ない事だ。カインさんだけは帰してやらないか?」
「そうだそうだ!こっちゃ生きるために働いてるんだ!死んじまったら元も子もねえ!」
「カインさん、前払いだ。俺とこいつらで全力で守るしあんたの長い経験が役に立つ筈だ。もちろん帰ったらそれと同額渡そう」
俺は金貨が詰まった袋を取り出しカインさんの手に持たせる。
「喜んで着いて行かせて頂きます!なんなりと申し付け下さい!」
目の色が変わり勤勉さを前に出してきた。この豹変ぶり…勘弁してくれ。
俺は尊敬するあんたのそんな姿を見たくない
「んじゃ行くか。この辺で経験値稼いでも仕方ないしチトセに運んでもらうか。おーい、チトセー」
いつの間にか椅子に座って大量のクレープをテーブルに置き、頬張っていたチトセがきょとんとした表情でこっちを見ている。食い意地の張った駄龍が…!
「なんじゃソラト?わらわが恋しくなったのかの?ククッ愛いやつじゃの!」
ほれほれと俺の顎を浮遊して撫でるチトセに拳骨を食らわせた。
「何するのじゃいきなり!照れ隠しにしても酷すぎるのじゃ!」
まるで幼児虐待しているような周囲の視線が刺さるが、俺は無視し、チトセに命令した。
「龍化して皆を階段まで運べ。とりあえず86階層まででいいか」
「なんじゃと?!わらわはこれからティータイムなのじゃ!それが終わってからにするのじゃ!」
我儘というか何というか…ならば罰が必要か。
俺は深い溜め息を吐き、カミツレに命令した。
「おーいカミツレ!そこのクレープ全部食っていいぞ?」
「えー、オレ肉がいい…まぁ、良いか。いただきまー」
「ええい!待つのじゃワンころ!わらわが悪かったのじゃ…ソラトの言う通りにするから子供たちには手を出さないでほしいのじゃ」
カミツレを制止したチトセがしゅんとし始める。
子供たちってなんだよ?
必死すぎてドン引きした俺はカミツレを呼び、肉をあげた。
龍化したチトセの背に俺は飛び乗り他の皆は籠に乗った。
そのまま俺達は86階層まで空の旅を楽しんだ。




