レスキュー・ミッション二~ブルースの葛藤、セレナの焦り~
本腰を入れて主殿を捜索して三日。未だ明るい情報は拙者の耳には情報が入らなかった。
入口近くに設営した作戦本部にて拙者とセレナ殿で状況確認を行っていた。
「40層から50層までは主殿とモネを見かけたという情報ははいってないでござる。」
「そうか…更に下の階層なんだろうな…早くソラトの笑顔をみたいと思うのは私だけではないはずだ。ブルース…殿、もっと下の階層を探索することは出来ないか?」
「拙者の分体だけでは50層までが限界でござる。応援がたどり着くまでは待つしかないでござる。それとセレナ殿、拙者のことは呼び捨てで構わんでござるよ。」
「あぁ、それじゃあ私達も50階層に降りよう。私もセレナでいいぞ、ブルース。」
セレナ殿…セレナは長剣を腰に差しながら笑顔を漏らす。整った柳眉を寄せているから無理をして笑っているのが拙者でも分かった。
「拙者の分体を急ぎ50層に集めるでござる。ここからは速度が大切でござる!何としても共に主殿を探しだそうぞ!」
「あぁ!」
拙者達はダンジョンへと歩き始めた。
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主殿の記憶を共有している拙者からして主殿の元の世界での救助までの最終時間制限は三日だと言われている。
72時間の壁というものだ。一般的な人間が飲食せず過ごせるのが72時間であるらしい。
主殿とモネは特殊な訓練など受けていないのでその対象に当てはまるだろうが最低限の食料として干し肉と堅く焼き上げた黒パンを持っているはずである。
それに主殿も今では拙者とチーちゃんに近い実力を有しているのでそんじょそこらの魔物に不覚は取らないだろう。
50階層に到着した拙者は雇った銀級冒険者達やセレナと共に別行動中のカミツレ、チーちゃん、ティア、アンリエッタ殿を待っていた。サブギルドマスターのガイ殿も一緒だ。
「今分体から連絡を受け、もうすぐ到着するらしいでござる。」
「そうか、なるべく急ぐ様に伝えて貰えるか?事態は緊急を要している。」
「分かってるでござる。今伝え申した。」
セレナは焦りの表情を隠さずにカミツレ達を急がせる様伝えてきた。かなり精神的に辛い筈だ。だが、焦りは禁物。隊列の乱れや第二次三次災害へと繋がってしまう危険性がある。
「セレナ、気持ちは分かるがここは主殿たちが無事なのを願うしかないでござる。別動隊が着くまで休まれては如何か?」
「くっ…すまない…!そうさせて貰おう。」
「うむ。休めるときに休んだほうが良いでござる。」
拙者は目の下に隈を作りその美貌を損なってしまったセレナを見て助言した。あまり寝れてない様子なのは明白であるからな。
30分後カミツレ達が現れる。先行して51階層を確認しに行っていたのだ。
「ブルース、待たせた!」
「うむ、大事なく無事で帰還してくれて良かったでござる。アンリエッタ殿とティアが息を整えたら出発するでござるよ!」
「足を引っ張ってしまい申し訳ありません…。」
「…私も体力はない。アンリエッタだけのせいじゃないから私も謝る。」
息を切らした二人が頭を下げて謝罪してくるのを拙者は宥めその後ろで横に転がっているガイ殿を見やった。
「ぜぇぜぇ…クソォ…こんなことならもう少し痩せとくべきだったか…」
腹の肉を摘まみ不摂生な体を自嘲したガイ殿はそうぼやいた。忙しい立場ではあるからこうゆう事は仕方ないのかもしれない。側に駆け寄るアンリエッタ殿に体力回復ポーションを手渡されてるのを見て拙者はカミツレを呼び寄せた。
「皆を集めて欲しいでござる。10分ほど休憩したらすぐに進発する。それと作戦を伝えるから奥で休んでいるセレナを起こして主だった者を集めてきて欲しいでござる。」
「分かった!オレに任せろ~!」
カミツレは戦闘面だけではなくこうゆう場でも気遣いが出来るので重宝している。一度仲間だと認識したら分け隔てなく助けに入るのだ。素直な性格なので扱い易い。
皆が集まり整列する。約五十名ほどの荒くれ冒険者達ではあるがサブマスターのガイ殿と拙者達を抜くと一番強く経歴が長いカイン殿が睨みを効かせているので今は大人しくこちらに従っている様だ。
「まもなく50階層より下、深層へと進発する。一定の歩幅で進むのではぐれないように!今のうちに食事や厠は済ませておけ!5分後に出発でござる!」
「「「おう!」」」
過酷な行軍が始まろうとしている。皆の表情には士気の高さが見える。うむ、行けそうでござるな。
果たして無事に主殿を救うことが出来るのだろうか…?いや出来るのかじゃなくしなくてはいけないのだ。拙者は一人感情を殺しただただ階段のある方向を睨み付けた。
あまり進みませんでした。次回からかっ飛ばしていくのでご勘弁を…!果たして救助隊は無事ソラト達を助ける事が出来るのか?それは今後の展開にご期待ください。次回、あのキャラ視点で物語が語られる…?!お楽しみに!




