小さな白い魔石をカスタマイズ
戦闘シーンがあるます。
「いらっしゃいませ」
「ここに、虹色の魔石ストラップがあると聞いたのだけど、本当?」
「ありますよ。こちらです」
「本当にあるのね、これは、魔力補充できるのかしら?」
「色に合わせた、7種類の魔力補充はできますが、石が小さいので、わずかな量しか作用しません」
「そう、でも買うわ。いざって時に必要かもしれないもの。お守り替わりよ」
「毎度あり」
婦人は、家族の人数分、5個のストラップを買って行った。
私はその様子を、販売テントの奥の方で、息を白い魔石に吹きかけながら眺めている。
「は~。息を吹きかけすぎて息苦しい」
以前、偶然できあがったシマシマの魔石を販売したところ、好評だった為、家に帰ってから、売れ残っていたストラップの白い魔石にシマシマ模様を息を吹きかけ転写した。
色が一色だと寂しいので、いろんな色を転写してシマシマにした。調子に乗った私は、7色の虹色も転写。
これらを販売したところ、珍しさもあり、売れ行き好調。
これで、3日分の食費は浮いた、とほくそ笑んでいた所に、思いがけない、うわさ話が飛び込んできた。
◇◇◇
俺は、魔物討伐部隊隊員、ルシファー、今、俺は万事休すだ。
王都の近くの街道に、大型の昆虫型魔物が目撃されたとの一報が入り、急遽、魔物討伐部隊が出動することになった。
先駆隊として、その場に居た、部隊員8名ほどで急いで、街道に向かった。
街道には、カマキリのような見た目の、4輪馬車ほどの大きさの魔物が、鎌を振り回しながら威嚇している。その近くには、魔物に襲われたであろう荷馬車が真っ二つになっており、胴体を噛みちぎられた馬の死骸が転がっていた。
カマキリの魔物は、三角の目をぎょろぎょろ動かし、こちらの動きを観察している。
カマキリの魔物と対峙した先駆隊は、隊長の指示で、俺達3人がしんがりを務めることになった。
隊長の合図で俺達3人が動き出そうとした時、カマキリの鎌が横なぶりに振り下ろされた。
ガザガザ、スパスパスパ
攻撃態勢に入っていた俺達3人は、上に飛んだり、屈んだりして、横なぶりの鎌を回避。
だが、後ろに控えていた、隊員に鎌から繰り出された、風の魔力鎌が直撃。
隊員の衣服を貫き、皮膚を切り裂いた。
避ける事の出来なかった隊員達は、無事だった隊員達に引きずられて後方に退避していく。
「ルシファー、ヤバいぞ。相手は風魔法を使うB級の魔物だ。あの鎌に当たるだけじゃなく、鎌の軌道に入っても、お陀仏だ」
「ああ。俺達3人だけじゃ討伐できない。格上の魔物だ。だがここで俺達が引けば、後ろの隊員達が犠牲になる」
「後方支援隊が到着するまで、なんとか俺達だけで持ちこたえるしかない」
俺達3人は覚悟を決めた。
俺が赤の魔石(瞬発力)を取り込み、瞬発力上昇。
マルクが黒い魔石(底力)を取り込み、力を増強、盾を構えなおした。
カブが緑の魔石(持久力)を取り込み、火種を出して戦いに備えた。
俺達は、カマキリの魔物と対峙する。
カマキリの魔物は、小さな顔をコキコキ動かし、何かを探っている。
突如、カマキリの魔物が、羽を広げ、宙に飛び立つ動作を見せた。
「やばい、逃げられるぞ」
「被害が広がる、ここで押しとどめろ」
「どこにも、行かせるな」
俺達3人は、一斉にカマキリの魔物に攻撃を仕掛ける。
俺は、両手に短剣を持ち、加速をつけてカマキリの頭上へ飛躍。カマキリの魔物の目玉をめがけて、剣を突き立てる。
カマキリ魔物は、首を動かし、俺の剣を難なく回避。カマキリの魔物は三角の目玉で、俺に焦点をあて口を開く。
口が迫っているなか、俺は素早く体を回転させ、カマキリの魔物の目玉を蹴り上げた。
噛みつかれることは回避できたが、体勢を崩し、勢いよく背中から地面に落ちる。
「ぐは!」背中が痛い。
一瞬動けない俺に、カマキリの魔物の鎌が迫る。
ガキン!
盾を持ったマルクが、俺と鎌の間に滑り込み、攻撃を回避する。
「大丈夫か」
「ああ、大丈夫だ」
俺は、マルクの手を借りて立ち上がった。
その間、カブが懐から火種を出し、火魔法炎の矢で、カマキリの魔物を翻弄する。
炎の矢は何本かカマキリマの魔物に刺さっているが、致命傷にはなっていない。
カマキリの魔物はターゲットを俺から、カブに切り替え、カブに鎌を振り下ろした。
ガサ、スパ。
カブは至近距離からの鎌の攻撃を完全によけきれず、足を負傷。
それでも、体勢を崩しながら炎の矢を放っている。
すかさず、マルクがカブを担ぎあげ、盾で鎌の攻撃を防ぎながら後方へ退避。
俺とカマキリの魔物、1対1になった。
カマキリの魔物は、俺を見据え、鎌を繰り出す。
俺は、右に左に飛び跳ねながら、鎌を回避。カマキリの魔物の、両手から繰り出される鎌の軌道スレスレでかわしていく。
だが、次第に俺の魔力が尽きて来て、徐々に足が重くなる。
パサ。
カマキリの魔物の、鎌が俺の足をかすめた。服が破れる。
パサ。
カマキリの魔物の、鎌が背中をかすめる。薄皮を切り裂く。
パサ。ガリ
カマキリの魔物の、鎌が腕を切る。腕が深くえぐれ、血が滴る。
カマキリの魔物が、鎌を振りかぶった。
もう魔力が尽きた、回避できないと、死を覚悟した瞬間、恋人からもらった虹色のストラップが光った。虹色の魔力が俺の中に入ってくる。
その瞬間、カマキリ魔物が俺の首に向けて鎌を振り下ろした、俺は体を捻りなんとか回避。
その後、カブを後方に運んでいたマルクが駆け込んできて、盾で次の鎌を退けてくれる。
「無事か」
「何とか」
後方から、火魔法の矢や、水魔法の矢がカマキリの魔物に向けて飛んでくる。
後方支援部隊が到着したようだ。
フラフラの俺は、マルクに運ばれて、後方へ下がった。
その後、カマキリの魔物は討伐され、負傷者は出たものの、死亡者0名、町にも人にも被害なく無事に任務を終了できた。
任務終了後、町の居酒屋に来ている。今日この居酒屋は魔物討伐部隊の貸し切りだ。
討伐後、診療所で診てもらった俺達3人は、紫色の魔石(治癒力)を処方され、驚異的な回復力で治癒に向かっている。俺の腕は血が止まり傷は塞がりつつある、足が折れていたカブも、ギブスをしているが、1週間後には元通りになる予定だ。
「今回の任務、危なかったな」
「ああ、魔物が風魔法を使うとはな、魔法を使った時点で、B級の魔物だぞ。単独では倒せない」
「だが、無事にこうして酒が飲める、勝利の女神に乾杯だ」
俺達3人は、冷えたビールを高く上げ、ビールジョッキを打ち付け女神に感謝した。
ゴキュゴキュゴキュ。
「「「ああー染みる」」」
俺達が、ひとしきり飲んだり食べたりした後、マルクが話をきりだした。
「なあ、ルシファー、疑問なんだが。魔物がお前の首めがけて繰り出した最後の鎌。俺は、間に合わない、回避できないと思った。だが、お前は素早く体を捻って回避した。どうしたんだあれ、お前の魔力は尽きかけていただろ」
「そうだ、尽きかけていた。俺も回避できないと思ったが、恋人からもらった虹色の魔石から、7つの魔力が体に入り込んできたんだ。その魔力を使って回避したんだ」
「7つの魔力?色のついた魔石は1種類ずつだろ、7つ同時に補充される事はない。なんだその魔石」
「おれも、詳しくは知らないが、恋人の話では、元々は白い魔石らしい、その魔石に転写で色を付けて販売しているそうだ」
「高いのか、どこで売ってる」
「値段は知らないが、恋人が遠出をした時、どこかの朝市でお土産に買ったと聞いた。朝市で売ってるんだ、そんなに高くないだろう」
「どこの、朝市だ?俺もそのお守り欲しいな」
「どこの朝市で買ったか、恋人に聞いておくよ」
◇◇◇
「虹色の魔石があるらしい」「辺境の地でストラップとして売っているらしい」「わずかな量だが、いざという時に魔力補充されるらしい」そんな、うわさが王都に広まっていった。
ほとんどの人は、うわさを信じなかったが、危険な仕事についている旦那や恋人がいる女性達は、噂が嘘でもいいから、無事に帰ってきてほしいと願いを込めて、虹色のストラップをお守りとして購入していく。
「ほんとうに、何で色を転写しただけの白い魔石で、魔力が補充されるって噂になったんでしょ?」
従者のトンボが、虹色のストラップを見ながらつぶやく。
「ん~。わからないよ。なんで補充されるんだろ、本当に体に補充されているのかな?使用した人の勘違いかもよ」
「俺、販売する時、少ないけど補充されますって言っちゃってますよ、詐欺にならないですかね」
「ん~。詐欺になったらどうしよう。もう販売しない方がいいかな?」
「そうですね、俺、怖くなってきました。もう、追加は作らない。これまで通り白い魔石のストラップだけにしましょ」
私とトンボは、いそいそと虹色の魔石ストラップを、販売ブースから引き揚げた。
始めて、逃げる以外の戦闘シーンを書きました。難しい。




