小さい白い魔石は偽物!?
従者のトンボと、魔物討伐部隊員マルク視点です。
「いらっしゃいせ」
「ここに、虹色の魔石ストラップがあると聞いたんだのだけど、本当?」
「ありません。ここにはありませんよ」
「知り合いは、ここで購入したと言っていたのに」
「知り合いの方、どこか違う売り場と、勘違いしているのかと思います。白い魔石で作られたストラップならありますよ。どうです1ついかがですか」
「ん~。遠慮しておくわ」
女性は、何も買わずに、その場を離れた。
「ハ~。虹色の魔石ストラップの問い合わせばかり、白色の魔石ストラップは売れませんね~」
「そうね、今日は一本も売れてないわ、これでは、また在庫が余ってしまう。赤字よ」
「「ハ~」」
俺と、テトお嬢様は大きなため息をついた。
◇◇◇
「お、ルシファー、今出勤か」
「ああ、今日は夜勤だからな、マルクは今から飲みに行くのか」
「いいや、今日は女とデートだ」
「また、違う女かよ、ほどほどにしろよ、そのうち罰が当たるぜ」
「ははは、夜勤頑張れよ」
ルシファーは、俺の肩を叩いて、更衣室に入っていった。
夜風が頬をかすめる、テラス席。
マルクと、今日の女は、二人で酒を飲んでいる。
「マルクが欲しがっていた、虹色の魔石ストラップ手に入れたわよ」
「わざわざ、辺境まで行ったのか」
「用事があったからね、ついでよ。でも、どのアクセサリー屋でも売ってたわ。
それで、このストラップが何?。魔石が虹色なのは珍しいけど、それだけよ。王城の鑑定士に鑑定してもらったけど、ただの色を塗った白い魔石だったわ」
「ん~。そうか。実はな俺の同期のルシファーが、前の討伐の時、虹色の魔石から魔力を補充したんだ」
「前の討伐って、カマキリ型のB級魔物ね。死者が出なかった事が、奇跡だと言われていたわね」
「そう、俺は、ルシファーを助ける為に向かっていた。カマキリの魔物がルシファーの首めがけて鎌を振り下ろしす瞬間、ルシファーが腰に付けていた、ストラップが光ったんだ。光はルシファーに補充され、魔力が尽きてかけていたルシファーが、素早く動いて鎌を回避した。
討伐の後、あいつに話を聞いたら、虹色の魔石から7つの魔力を同時に補充したと、それで助かったと話していた。
7つの魔力を補充したストラップの魔石は、白い石に変わっていた。魔石でも何でもない、ただの白い石にだ」
「そう、もしその話が本当なら、とんでもない事だわ。今までは、1つの体に1つの魔力しか補充できないわ。もし7つの魔力を同時に補充できるとしたら有用性は計り知れないわよ。しかも、ハズレ魔石といわれる白い魔石に魔力を貯める事ができるなんて、色付き魔石を人工的に作りだせるなんて画期的よ」
「そうだ、だから本物の虹色の魔石のストラップが欲しい。ストラップを買ったルシファーの恋人の話では、店員が白の魔石に転写して作ったと話していたそうだ」
「そうね、今度は、ルシファーと恋人を辺境に行かせるのはどう。恋人はストラップを購入した場所を憶えているはずよ。ぜひ本物を手に入れて検証したみたいわ」
◇◇◇
「おい、マルク。なんで、ルシファーと恋人の旅行に俺達も同行するんだ。恋人がいない俺への当てつけか。あ~。喧嘩売ってるのか、買ってやるぞ」
「まあ落ち着けカブ、これは任務だ。詳しい事はわからないが、王城から正式に任命された仕事だ。うらやましいのはわかるが、堪えろ」
俺とカブの前を歩く、手を繋いで顔を寄せ合い、クスクス笑い合う幸せそうなカップル。
カブが、愚痴を言いたくなるのもわかる。この甘い空気に俺も胸やけしそうだ。これが1週間以上続くと思うと憂鬱だが仕方ない。
乗合馬車を乗り継ぎ、何泊か宿に泊まって、やっと王都の南にあるハッター辺境伯領へ到着した。
「さすがは、物流の要。凄い人だな」
ハッター辺境伯領は物流の要。ナウーシカ大陸1の大国、オクサレ国と隣接する唯一の領だ。
3階建てのレンガ造りに建物が立ち並び、その間を人と、荷馬車がひっきりなしに移動する、にぎやかで活気のある領だ。
「マッジさん。ルシファーに虹色の魔石のストラップを買った店はわかりますか」
「ん~。街中をいろいろ歩き回って、見つけた店だったので、自信はないですが、たぶんこっちだったと思います」
マッジさんの案内で、辺境伯領を歩く、歩く、歩く。朝市の店だったので、俺達は朝早くから歩いている。
「あれ、こっちだったかな?違うな、こっちかな?」
これは、迷っている。
「あっ!ここだ」
迷いに、迷って昼前。設置テントを片付け、店じまいをしている二人の子どもの店の前に着いた。
「すいません。以前ここで、虹色の魔石のストラップを買った者なんですが、虹色の魔石のストラップは、まだありますか?」
マッジさんが、男の子に声をかけた。
「すいません、どこかの店と勘違いしていると思います。虹色の魔石のストラップは売っていません」
男の子は、後ろに控えている、俺達3人をチラチラ見ながら答える。
「そうですか、わかりました」
マッジさんは、肩を落としてひきさがった。
「すいません、ここではありませんでした。思い出せません」
マッジさんは、今にも泣きそうだ。ルシファーが肩を抱いて励ましている。
「いいえ、たぶん、ここだと思います。見て下さい、奥にいる黒髪の女の子。虹色の魔石の髪留めをしている。偽物の虹色の魔石は、手で強くこすると、すぐに色が剥がれてしまうんです。でも、髪留めに加工できるほどの染色。本物だと思います」
◇◇◇
やばい、やばい、やばいぞ。
あの3人は、一般市民みたいな恰好しているけど、騎士だ。
体型も、目の鋭さも、たたずまいも、一般人じゃない。
俺も一応、子爵家従者見習い。執事さんや、元ヤンキーの親父に連れられて、ごろつきの多い場所や、荒くれ者の多い鉱山にも足を運んでいる。
その中で、人を見る目は養われたと思う。
あの3人は強い。
虹色の魔石のストラップで、魔力を補充できるって、嘘ついたのがバレた?。辺境伯の警備隊の人?
俺達、捕まっちゃう?どうしようどうしよう。
「どうしたのトンボ、冷や汗すごいし、顔色が青いよ。気分悪いの?」
俺はまだいい。でも、ミラルダ子爵家1人娘のテトお嬢様が、詐欺を働いたとなると、話は別だ。
「はい、気分が悪いですテトお嬢様。なので、ちょっと風に当たってきます。テトお嬢様も一緒に風に当たりましょう」
「?」
俺はテトお嬢様の手を引いて、後ろの3階建て建物の間を走り出した。
「何?、何?」
俺は路地裏を、右へ左へ走っていく。
「あの、小僧逃げた」
後ろから声がする。3人組が逃げた事に気付いた。
俺は、後ろを振り返らず路地裏を進んでいく。この道は、親父に何かトラブルがあったら使うように教えこまれた道。
「「はあ、はあ、はあ、はあ」」
30分ほど走って、用水路に出た。
「何?、どうしたのトンボ」
「テトお嬢様、設置テントはあきらめましょう。このまま、隣の子爵家へ徒歩で帰ります」
「めっちゃ遠いよ。歩くと夕方だよ」
「それでもです。事情は帰ってから、子爵家当主様を含めて話し会いましょう」
俺とテトお嬢様は、足早に、子爵家へ向かった。
夕方、子爵家に到着したら、あの只者じゃない3人と、女性が子爵家の客間で、俺達を待っていた。
「あー。詰んだ」
人見知りが書けていない。次、書きます。




