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人見知り令嬢は小さく息を吹きかける。~これは肺活量で解決しますか~  作者: ロミ
第1章 小さな白い魔石

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小さな白い魔石

新連載はじめました。よろしくお願いします。

 


「お誕生日おめでとう」


 幼い頃、父は私の誕生日に、小さな白い魔石を麻袋いっぱいプレゼントしてくれた。


 その魔石は、我が領の鉱山から採れた魔石。

 白い魔石は、魔力が封じ込まれていないハズレ魔石。

 大きい白い魔石は、まだ観賞用として販売できるが、小さな魔石は、鉱山の片隅で捨て置かれている。


 私は誕生日に、小さな白いハズレ魔石を父にねだった。


「本当にこんな物でよかったのか、テト。我が家は裕福とは言えないが、お前の誕生日に、新しい靴や、バックを買うだけの蓄えはあるぞ」


「いいのお父さん。私はこの白い魔石が欲しかったの。ありがとね」


 父は一瞬、申し訳なさそうな顔をしたが、すぐに笑顔を見せ、一緒に誕生日を祝ってくれた。






 我が領は、ナウーシカ大陸、ジル王国の南端にあるミラルダ子爵領。

 ミラルダ子爵領は領自体の土地は広大だが、高い山々に囲まれ、平地が少なく作物の育ちにくい土地。

 鉱山を有しており、主な産業は魔石の販売だが、鉱山からは、高額で取引される、魔力が内蔵された色のついた魔石はほとんど採掘されず、魔力のない白い魔石ばかり。

 はっきり言って、掘っても掘っても利益が生まれない。貧乏子爵家。


 ミランダ子爵家の1人娘が私、テト。

 父と一緒の黒くて長い髪を、後ろで三つ編みにし、黒い目で、目じりが少し下がっている。肌は母親ゆづりの白い肌。華奢なせいか、年齢(15歳)の割りに幼くみられることが多い。






 人の体内には魔力(エネルギー)があり、その魔力で人は活動している。

 基本、食事と睡眠で魔力は補充されるが、魔力が内蔵されている魔石でも補充できる。


 人は、魔石で魔力を補充することで、身体的能力が上昇する。

 赤い魔石は瞬発力。青は知力、緑は持久力。黄色は洞察力。黒は底力。基本はこの5つ。

 子爵領から採掘される、白い魔石は取り入れても何の力も湧かない。だからハズレ魔石。

 装飾品としても、魔石の能力としても3流。



 世の中で、魔法を使用できる人は少ないく、3人に1人程度。

 魔法が使える人は、そのエネルギーを違う形にして、外に放出できる。

 例えは、火や水を操ったり、鑑定できたり、顔を変えたりできる。


 でも、どの魔法にも制約がある。

 火や水を無から作り出す事はできない。火種や少量の水を増量し、コントロールできる。

 鑑定は、直接物に触らないと鑑定できない。鑑定結果も人により偏りがある。

 顔を変える時間は1時間。体は変形できないなど制約がある。


 そんな、私は魔法が使える。

 使えると言っても、ほんの少しだけど・・・。

 私の魔法は転写の魔術。見た事あるものなら、どんな物にも転写できる。

 私の転写の制約は、ひと吹きで転写する事、吹きかけている短い間で転写しなければいけない事。






 ◇◇◇






 私は、白いハズレ魔石を何とかしたかった。

 幼い頃の私は、小さな魔石を装飾品に加工し販売しようと考えた。


 まず、小さな魔石に穴をあけて、ネックレスにできないかな。

 ガキガキガキ、パリン。

「できない」

 硬い。無理に穴をあけようとすると、欠けてしまう。


 次に、ストラップにできないかな。

 余っていた毛糸を袋状に編み込み、小さな白い魔石を入れてみた。

「できた」

 毛糸の間から、白い魔石が覗いていて、自分で言うのもなんだが、なかなかの出来栄え。


 早速、父の元へ持って行った。

 父は喜んでくれたが、すでに同じような物を販売しており、主婦の内職の定番だそうだ。


 がっくり肩を落とした私だけど、その他に小さい白い魔石を有効活用できる方法を思いつかず、15歳になった今でも、こつこつストラップを作り続けている。

 もう、ベテランの域。


 今は、朝市や、フリーマーケットなどで販売しているが、なかなか売れない。

 可愛いと思うんだけどな~、不人気。在庫が溜まり続けている。



「いらっしゃいませ」

 従者のトンボが、元気よくお客さんの対応。

「…いらっしゃいませ」

 私は、小さい声。販売テントの奥の方で、ストラップを編んでいる。

 トンボは庭師のボブさんの息子で、12歳。主に販売を担当。

 私は、人と接する事が苦手、緊張してうまく話せない。

 相手から勢いよく話されると、パニックになり、すいませんを連発。結局要求を押し切られ、ただ同然でストラップを販売した事、数知れず。見かねたトンボが、代わりに販売してくれている。




 そんな私にも、転機が訪れた。


 今日も、朝市で店を出していると、美味しそうな匂いがだだよって来た。

 こんがり焼けた、パンの匂い。

 グ~。

 お腹が鳴った。

「わー。めっちゃいい匂い。食べたいな~。でも、パン買っちゃうと今日の売り上げなくなっちゃうんだよね」

 グ~。

 隣に座っている従者のトンボのお腹も鳴った。

「お腹すきましたね、テトお嬢様。俺、朝早くから起きて、販売テントを設営して、販売して、終わったらまた、テントの片付け。大変だな~。俺の負担大きいな~」

「もー。わかったよ。パン買うよ。でも、1つだけだよ」

「やった!俺、甘いパンがいいです」



 私は、近くのパン屋に向かった。


 パン屋に入ると、香ばしい甘い匂いに包まれる。

 テーブルの上にある、いろんな形のパンが並べてある。

 まんまるくて中央にゴマが付いているあんぱん。

 ふんわり卵が挟まったサンドイッチ。

 シマシマ模様になっているクロワッサン。


 私は、お店のパンを見て回り、トンボにあんぱん。私はシマシマ模様のクロワッサンを購入した。



 買って来たあんぱんをトンボに渡した時、私のシマシマ模様のクロワッサンが、ぽろりと地面へ。

 私は慌ててクロワッサンを拾い上げる。

「三秒ルール」「三秒ルール」

 私は、ふうふうとシマシマ模様のクロワッサンに息を吹きかけた。

 すると、販売スペースに置いてあった、ストラップ内の白い魔石がシマシマ模様に変わってしまった。


「あっちゃー。やっちゃったよ」


 あんぱんを食べながら、トンボが

「シマシマ模様の、白い魔石もいいんじゃないですか、もったいないし、そのまま販売しましょうよ。珍しくて売れるかもしれないですよ」


「そうかな?ん~。破棄しちゃうともったいないし、そのまま販売するか」


 その後、シマシマ模様の魔石ストラップが人気になり、すべて完売。

 今までで最高額の売り上げを記録した。











挿絵(By みてみん)

白河・DG・夜舟様より頂きました。

人見知りテト・ミランダ子爵令嬢。


人見知りな令嬢の活躍です。

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― 新着の感想 ―
 ロミさん、こんにちは。 「人見知り令嬢は小さく息を吹きかける。~これは肺活量で解決しますか~ 小さな白い魔石」拝読致しました。  貧しい鉱山系の子爵領地。  ジブリ系の地名や名前が点在するこの世…
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