表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末巫女の王国作り~祈りは終末を呼ぶが、国の繁栄には欠かせない〜  作者: 片名葉
建国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/36

哀しみは反撃の炎を呼ぶ

大火が上がった。

その炎は、一瞬で巨大な狐を呑み込んだ。


「……は」


炎は狐を焼き尽くすのではなく、ただ包みこむだけ。それでも、狐は汚い咆哮を散らしながらのたうち回る。

都合のいい幻を見ている?

私は、狐に喰われる寸前だったのに――


「巫女さん!無事!?何やこいつ!」


――なんて思考を吹き飛ばす、明るいソプラノボイスが響いた。

声の主は、猫の耳を揺らし、狐の尾を振る少女だった。


「ツバキ!良かった、起きたのね!」

「うん、むしろ呪いを受ける前より調子良いんよ!で、この敵は?」

「頭のネジが吹っ飛んでしまった村長です」


そこで、飛び跳ねていたツバキの動きが止まった。それから、瞳に瞋恚を宿し、村長を睨み付ける。


「下剋上や。s火が上がった。

その炎は、一瞬で巨大な狐を呑み込んだ。


「……は」


炎は狐を焼き尽くすのではなく、ただ包みこむだけ。それでも、狐は汚い歩行を散らしながらのたうち回る。

都合のいい幻を見ている?

私は、狐に喰われる寸前だったのに――


「巫女さん!無事!?何やこいつ!」


――なんて思考を吹き飛ばす、明るいソプラノボイスが響いた。

声の主は、猫の耳を揺らし、狐の尾を振る少女だった。


「ツバキ!良かった、起きたのね!」

「うん、むしろ呪いを受ける前より調子良いんよ!で、この敵は?」

「頭のネジが吹っ飛んでしまった村長です」


そこで、飛び跳ねていたツバキの動きが止まった。それから、瞳に瞋恚を宿し、村長を睨み付ける。


「下剋上や。散々馬鹿にしてきた半化けに倒されたら、あんたはどんな気分になるやろな」


感情の昂りを表すように、ツバキの桃髪が真紅に染まっていく。彼女の細身の体から立ち上る炎は膨らみ続け――木の天辺にまで伸びていく。


「巫女さん、うちを使ってくれへん?」

「分かったわ、でも一つ約束」

「?」


私は、徐々に炎に変貌していくツバキの尾を握りながら、願う。


「貴方にとってこの村は、最低最悪で思い出したくもないのかもしれないけれど。いつか道に迷った時は、導が必要になる。だから、酷だとしてもこの村のことを忘れないであげて。覚えていてあげて」


それが終末巫女からの条件、と付け加える。

ツバキは、その言葉を噛み締めるようにゆっくりお頷き――炎と化す。

私は、松明を掲げるように、炎の剣の切っ先を向ける。


「ウェルダンにしてやるわ。—―『狐火』」


開戦。

炎と爪牙が交差する。

私は水平に薙がれた腕を避け、狐の真正面に躍り出る。

そして一閃。上等な毛並みをアフロにしてやる、と炎を放つ。

――放ったはいいものの、炎は狐の胸に触れた瞬間霧散した。

思わず舌を弾く。


「硬っ……さっきは通じたのに」

「駄目ですよ!幻は順応されちゃうんですから!無効判定(ノーダメ)です!」

「はあ!?もうっ、巫女が剣士やるってだけでも前代未聞なのに……」


しかし文句を言っていても何も始まらない。

私は突進してくる狐を上手い具合にいなしつつ、ツバキに呼びかける。

……てかさっきから思っていたけれど、私戦闘職の素質があるのでは?


「ツバキ、火力をもっと上げられる?」

「頑張れば……いや頑張るしかないんやけど!」


尾から噴き出す炎が黄色に染まっていく。私ですら焼け焦げそうなほど、熱い。

――順応されるなら、それを上回る火力と速度をぶつければいい。

脳筋的な考えで、こちらに飛びかかってくる狐へと――真っ直ぐに駆け出す。


「み、巫女さん!?そんな武士道精神なくてええから――」


剣から抗議の声が上がる。きっと気のせい。

狐と衝突する寸前で、私は横に逸れ――溜めを作り出す。

それから、思いっきり振るう。

こう、三枚おろしにするように、一直線に。


「燃えろ」


炎が爆ぜる。

やっとまともな手応えがあった。


「燃えろ」


さらに温度上昇。

膨れる炎は、天井を知らない。


「燃えろ」


爆発。

狐の方向が途切れ途切れに聞こえる。


「燃えろ」


燃えろ。

このまま、終末も灰になってしまえばいいのに。

だから。


「燃えろ――――――!」


止めにと、狐の脳天に剣を振り下ろす。

猛攻に遭っていた狐は身動きが取れない。つまり躱す術はない!

が。

いつまで経っても、硬い感触はしなかった。


「巫女さん!そいつは()()()!後ろー!」


振り返って、ようやく気付く。

体中に火傷を負ってもなお、突っ込んでくる狐がいることに。

普通なら、絶望に顔を歪めるだろう。

けれど、私は違った。

私は、笑っていた。


「ミタマ、お願い!」


終末に立ち向かう仲間のことを、信じていたから。


「了解です――『蜃気楼』」


狐の牙が私を抉る。

ただしそれは――煙になって消える。

本物の私は、もう狐の背後に回っている。

それが、化かし合いの真骨頂。

今度こそ、外さない。

ツバキたち稲荷村の狐の憎しみを、ありったけぶつける。


「燃え、ろ―――――————————————!!」


炎が渦を巻いて狐に襲いかかる。

青白い光が迸る。

私も村長も、ツバキが生み出す炎に包まれていく。

――なんて、温かい炎だろう。


視界の全てが白に染まっていく中で、私はそう思った。



読んでいただきありがとうございます。

やっとこさ九尾の村編の終わりが見えてきました。早く領地に戻りたい……!麦を売るだけのつもりがこんなに長くなってしまいました。なんでだろ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ