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花嫁は王冠を抱いて ~ヴォワ=デートによるカラフルデイズ~  作者: 紙木 一覇


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第67話 ラブホですね?

「つ~いにピースが揃いましたね!」

「声が大きい声が」

「どこに興味を持ってる盗っ人がいるかわからないのよ」

「うっ、まさかトーハさんにまで……」


 言われて影が差すまでに落ち込んで。

 本部を出て三人はすでにイギリス行きの飛行機の中だ。なんと機構が最高級の席を用意してくれた。単純にヴォワを歓迎しているのか、それともコピー脳を止めてくれと言う意思表明か、または自分たちの客人として恥じない振る舞いを要求しているのか。


「ま、確かにエアラリスの言う通りに期日の一週間以内にピースは揃った。

 いよいよ明日だ。明日動き出したのでは遅いから今日は『神赦婚姻(しんしゃこんいん)』の近くにホテルをとろう」

「ラブホですね?」

「勿論違う」

「ああん」


 窓から外を見る。雲の上をゆく飛行機の中から見たら当然快晴。しかしヴォワの眼には陽の光も、風の流れも色づいて()える。

 そんな世界の流れを視ながら思う。

 もし私がネットワールドと言う仮想世界に産まれたのだとしたら――

 と。

 きっと同じ気持ちをコピー脳も抱えている。だから彼女は動いたのだろう。全てのコピー脳の想いを背負って。

 それがとうとう明日報われる。

 ならば自分はどう動くべきか……。彼女に協力するか、それとも。

 はてさて。


「どうしたものか」


 様々な思いが駆け巡る星が巡り、時はやって来る――






「こ……こわ」

「こわい……ですぅ」

「コラ二人とも、私にしがみつくのはやめたまえ。ドレスが皴になるだろう」


 場所は『神赦婚姻』その頂点。

 三体の神聖人物が合わせた掌の上。

 リミットとして設定された一週間は後三時間で過ぎ去ってしまう。そうなったらハイ=ルミナの心臓に穴が開き彼女は逝ってしまう。

 それまでに。


「さて、天使はほらこの通りだ」


 ヴォワたちの前方には完成された白き骨の天使があって。


『悪魔もこの通りだよ』


 コピー脳たちの前方には完成された黒き骨の悪魔があって。


『ヴォワ、天使をもって中央へ。

 こちらは僕が行く』

「わかった」


 一人、天使の乗った台座を押し進む。

 向こうも同じく。

 後ろの方ではエアラリスとトーハがいつでも飛びかかれるように身構えたが『警察』の八体は身じろぎもせずに。

 掌の中央で、二人のヴォワが向かい合った。


「どうすればいい?」

『台座の前方をつける。それでリンゴは現れる』


 台座を一押し。キスするようにぶつかって固定される。抱き合う天使と悪魔。唇はまだついていない。


「……なにも起きないが」

『時間が必要だ。あと二十九秒。少し離れようか』


 そう言ってコピー脳は三歩ほど下がった。ヴォワもそれに倣って三歩後ろへ。


 二十秒


 十秒


 一秒


 零


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ァ!


「「「――!」」」


『神赦婚姻』が陽の光を浴びて虹色に輝く。きらびやかに。華やかに。

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