表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花嫁は王冠を抱いて ~ヴォワ=デートによるカラフルデイズ~  作者: 紙木 一覇


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/74

第51話 そのルミナがやばい状態だって聞いた

 ヴォワが指さす先、つまりエアラリスとトーハの背後。いつの間にかそこには一組の家族がいた。

 夫婦で染め揃えているのか紫系・葡萄色(えびいろ)の髪を持つ父と母、それに二人に抱きかかえられている赤子二人。

 父が黒系・黒紅(くろべに)、母が茶系・赤墨(あかすみ)の瞳で優しく見つめる赤子の背には白く輝く天使の翼が片翼ずつあって。


「初めましてと言おうか。それとも玩具にしてくれてありがとうと言うべきか」

「「……っふ、いやーごめんごめん!」」


 同時に謝って笑い出す親二人。悪意など微塵も感じさせない屈託のない笑みだ。


「流石に悪いと思ったんだが――」

「この子ら難しい子でさ、ウチらの芸じゃもうあんま笑ってくんないのよね」

「そんな時に芸人がやっているバラエティ観せたら笑うんだもんな」

「だからウチらも真似してみたわけ」

「「これが大成功!」」


 ははははははははははははははははは。

 またも笑う。目に涙がたまるほどに。


「ヴォワさまこの二人ちょー蹴りたい」

「あたしもやっていいなら」

「……」


 しかしヴォワは二人にのらない。なぜならば。


「? ヴォワさま?」

「赤子を見てごらん」

「え?」


 言われた通りに見ると――笑んでいた。声にこそ出ていないが確かに笑んでいた。


「「……ぬぅ」」


 それを見て二人は毒っ気を抜かれる。だから怒りの矛を素直に降ろした。


「ま、こんなとこじゃなんだ。おれたちの家に来なよ」

「そうだね、歓迎してあげる。ウチの手料理でよかったらだけどさ」

「ふむ。おじゃましよう」


 四人の苗字は大法(おおのり)と言った。

 名は父親が矢号(やごう)

 母親がハヤ。

 赤子の兄が号羅(ごうら)

 妹がハリ。

 赤子は双子、産まれてから十一か月だと言う。

 大法の家に着いてささやかながらも温かみのある家庭料理をいただいて、赤子が寝静まった頃になって五人は必要最低限の声量で語り始めた。


「まず、ウチらとルミナの縁について話そうか。

 イギリスだったんだ、新婚旅行」

「ほぅ」

「んで観光してたらハヤのやつ産気づいちゃってさ」

「なんと」

「そこがルミナんちの前だったんだ。

 ウチはもう産~ま~れ~る~って状況で、一歩も動けなかったから旦那とルミナで家にあげてもらって、そこですぽぽーんと産んだわけ」


 げらげらと笑う。当時は笑っていられる状況ではなかっただろうが今となってはいい思い出なのだ。


「ん? と言うことは」

「そ。ルミナが出産の手伝いしてくれたのさ」

「おれの手は一人目――号羅がのっかってたからさ、ハリを最初に抱っこしてくれたのルミナになってやんの。滅茶苦茶慌ててたな」

「そりゃそうだろう」


 ハイ=ルミナは独身。しかもあの子の性格を考えたら子供のあやし方などしらないだろう。しっていても多いに戸惑ったに違いない。


「産湯にはおれがつけたんだが、その間女房の面倒も見てくれてな、感謝してもしきれないってやつだ」

「そのままウチの体力が戻るまでの一週間いさせてくれて、帰る頃になってあの――」


 双子が背に担いでいた天使の翼を指さす。


「翼を譲り受けたんだ」

「んな大切なもん貰えねぇ、って最初は言ったんだがな、いい経験させてくれた礼だって言うんだよ」

「礼を言いたいのはウチらなんだけどねぇ」

「――で、だ」


 顔から笑いが消えた。真剣な面持ちになって話を続ける。


「そのルミナがやばい状態だって聞いた」

「天使側のピースがいるんだってね?」

「……誰から聞いたんだね?」


 大法夫妻は視線を交わす。お互い頷き合って、言葉を紡ぐ。


「ウチの元主。京都の祭姫(まつりひめ)だよ」

「天使の心臓を持っている、な」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ