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花嫁は王冠を抱いて ~ヴォワ=デートによるカラフルデイズ~  作者: 紙木 一覇


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第41話 後で私が拭いてあげよう

「ここだね」

「あら意外」

「高いところがお好きなら高層ビルにでも住まれているかと」


 色を辿って着いたのは住宅街の一角。一階建ての一戸建てである。とは言え庭は家屋よりも大きく、なんとプールまであった。


「一人暮らしの若い子なのに、ずいぶん羽振りがいいわね」

「彼のパフォーマンスにはスポンサーがついているのだよ。登っている映像観ただろう? 服や帽子にがっつりロゴが入っていた」


 登山家と同じシステムである。


「いいわねぇ好きなのやっているだけでお金が入って来るなんて」

「おや? キミは好きで警察に入ったのではないのかい?」

「好きで――と言うより憧れね。昔観たテレビドラマの影響。女性警官がもうかっこよかったのよねぇ」


 その時の感情が蘇ってきたのだろう。うっとり顔。しかしすぐにその表情は雲る。


「けどねぇ、実際やってみると書類と向かいあっている時間の多いこと多いこと。今でこそある程度の自由はあるんだけど、新入りの頃は何度も辞めてやるー! って思ったわ」

「だが辞めないでいる」


 警察手帳の入っているトーハの胸ポケットをつつきながら、ヴォワ。


「ええ。事件を解決させた時の気持ちの高揚と被害者の感謝の顔が忘れられなくってねぇ。ある意味下手な薬よりクルわよ」

「変態ですね」

「否定はしないわ」

「なんと⁉」

「二人はどうなの?」


 信じられないものを見た、そんな表情をするエアラリスと門の鍵を確認しているヴォワに目を向けながら。


「私は好きなことをやっている。全ての色に望んで嫁いだのだから」


カチン


 鍵が開いた。


「ちょーとまったー!」

「む? どうしたトーハ? いきなり大声をあげられると耳に悪いのだが」

「ご、ごめん。

 ってそうじゃなくて! この鍵暗証番号とカードキーがいるんですけど⁉」

「だから?」


 それがどうした? そんな表情。


「いやだからって……」

「私に味方しない色など存在しない」


 ようは鍵の方に『誤解』させてしまえばいいのだ。ヴォワ的にいうと『協力』となるが。


「……最早超能力のレベルね……そんでなんでエアラリスが胸張ってんのよ?」

「主の功績を誇っているのです!」

「……あっそ」


 もうツッコむ気も起きない。


「あ! わたしは好きな人と一緒にいます! もとい好きなことやってます!」


 ちょっと前に話は戻る。


「ハイハイ」

「ちょっ聞いておいてなんですその態度っ」

「いやあんたの答えは予想出来てたから」

「おや、通じ合っているね」

「「全然⁉」」


 息の合った反応を示しながら、さっさと庭に進んでいるヴォワの後を慌てて追った。


「ここも鍵がかかっているね」


 家の玄関扉だ。こちらはリモコンキーになっている。手では開けられないはずだが。

 キン とヴォワは軽く指の爪で扉を弾いた。するとどうだろう? キンキンキンと音が反響して――カチンと鳴いた。


「いやだからなんで開くのよ……いばんなエアラリス」


 扉を開けて、中へ。


「ええっと、こちらだね」


 色を辿ってゆく。

 テーブルの上に雑に札束とコインが投げ出されていて、これと言ってお金に執着がないのが伺えた。

 他には枯れかけている花が真珠色の花瓶に。捕まっている間に枯れ始めたのだろう。

 暖炉もある。ただ夏の間放っておかれたのか薄っすらとホコリが積もっていた。

 家具は基本茶色の木製。

 絵画はなく、壁にはポスターすら貼られていない。


「あのヴォワさま?」

「うん?」

「ぐるぐる回ってません?」

「うん。恐らく左腕をどこにしまうか迷ったのだろう、あちこちに動かされている。あ、外に出るね」


 入って来た玄関を潜って、庭に。人工芝の敷かれた庭はあまり手入れされておらず。

 プールサイドまでやってきた。プールと言ってもそれほど大きくはなく、大きめのバスユニットと言った印象を受けた。


「ここだね」

「え?」

「プール、よね?」


 水がしっかりとはられたプール。ヴォワが指さすのはその中だ。


「真ん中にケースごと沈められている」

「ええ?」

「どれどれ真ん中ですか」


 目を細めてジ~と見てみる。が、なにも見えない。


「真ん中になったのは偶然だろうね。よく計算されて沈められている。どの時間帯でも光の反射で見えないように」

「そっか、ただでさえ水の中のガラスなんて見えづらいから隠し場所には最適ね」

「そう。では二人ともジャンケンしたまえ」


 二人の手首を握って。


「ほへ? なぜです?」

「まあいいから」

「はあ……? いきますよトーハさん」

「ええ」

「「じゃーんけん、ほい」」


 エアラリス、グー。トーハ、パー。


「よし、エアラリス、キミの敗けだ。飛び込んで腕をとってきたまえ」

「ええ⁉」

「らっきー」

「貴女警察でしょう⁉ 善良市民の役に立つぜっこーの機会ですよ!」


 グイグイとトーハを前に出そうとするもどっしり構えられ動かせない。警察は体術に優れているのである。


「あたし、警察も市民も区別・差別しない主義なので」

「こんな時だけ都合のいい!」

「はいばんざーい」

「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 ヴォワに後ろからワンピースをたくし上げられて、エアラリスは慌てて膝を折って丸まった。そんなことをしても水色の下着が丸見えなのだが。


「大丈夫だ。この辺りに男の色は()えない」

「ヴォワさまにも恥ずかしいのですが⁉」


 むしろヴォワだからこそ。


「あたしは?」

「どうでもいい存在ですので!」

「ひどっ!」


 流石にショックだ。


「ほら、下着で入るのと裸で入るのどっちがいい?」

「それりゃ濡れたら困るので裸ですが――きゃあああああああああ!」


 下も上も剥ぎ取られた。すっぽんぽん。


「大声上げてるとかえって人が来るよ。さ、入った入った」

「くすん」

「後で私が拭いてあげよう。前も後ろも全部」

「行ってまいります!」

「行くのね……」

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