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花嫁は王冠を抱いて ~ヴォワ=デートによるカラフルデイズ~  作者: 紙木 一覇


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第34話 ……行こうか

「オオ開けた場所に出ましたよ」


 迷路を抜けて、エアラリスの言う通りに広い場所へと躍り出た。当然と言えば当然だがそこもガラスだけで、しかし羽を生やした骨悪魔のガラス彫像がいたる場所に建てられていた。それらは一様にとある場所を目指して歩き、または飛んでいる。


「上を目指しているわね」


 先の方を見れば塔が見える。大きな塔だ。骨悪魔はそこを目指しているように見える。

 三人は名を辿って進み、一歩あゆむごとに骨悪魔の羽が天使の翼にゆっくりと変化していた。


「争っているようだ」


 塔の下までやってきた。

 そこには羽を生やした紫骨悪魔と翼を生やした赤骨天使が争っているガラスの彫像が幾つもあった。


「植物も生えてきているわね」


 勿論、それもガラスだ。


「うん。ここは天界と悪魔界の境目のようだ」


 塔は――否、それは塔ではなかった。骸骨たちが集まり天へと手をのばす、その様子が塔に見えていたのだ。


「どうやって登るんでしょうこれ?」

「観たまえ」


 ヴォワが妙な角度に首を曲げている。エアラリスとトーハは真似をして塔を観る。すると塔の周囲にガラス板が存在しているのが観えた。


「え? 手すりとか壁とかないの?」

「ないようですねぇ。怖いですか?」

「べっつに」

「わたしは怖いです」

「「怖いのか」」


 ではここで待つかね? と問われ、エアラリスはトーハを見た。この女と二人きりにさせてはいけない、本能がそう告げた。だから。


「いっきます!」


 こう答えたのだった。






「こ~わ~い~で~す~」


 もう半泣きである。

 無理もない。下の板はガラスだから地上が見えているし、じゃあ前だけを向くかと思っても板が見えない。前述通り手すりもないから骸骨を掴んでいる状態だが壊してしまったら大変なことになってしまう。だから必死ながらも握力は最小限にとどめていて非常に心許ない。


「とは言え、もう引き返すより天頂の方が近いよ」

「そそそそそうよ勇気をふフフフフフフフるい出しなさい」

「貴女も怖がっているではないですか!」

「大声出さないでよビックリして足滑ったらどうすんの⁉」


 その時一陣の風が吹いた。


「「……ごめんなさい」」


 脚を大きく震わせながら。


「うん、素直なのはよい。そのまま仲よくしたまえよ」

「「それはちょっと」」


 そんな二人を内心では心配しながら、ヴォワは塔――骸骨の群れを改めて観る。反射光の色は赤。背に生やすものはもう完全に天使の翼になっていて、見た覚えのない花と蔦がそれら骸骨に絡みついて咲き誇っている。

 上を見るとどうやら骸骨の色は赤から桜、そして白へと変色している。

 周りを見てみると天界から幾体かの天使が落ちてきている。どうやって浮かばせているのかはわからないが見えない糸でもあるのだろうか?


「……行こうか」


 もたもたしていたら自分たちが体力と気力切れで落ちかねない。


「「うぃ~す……」」

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