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花嫁は王冠を抱いて ~ヴォワ=デートによるカラフルデイズ~  作者: 紙木 一覇


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第31話 お泊り⁉

 芸術村――と言われる場所がこのイギリスにはある。

 少し前イギリスは経済不安に陥り、そのあおりはまともに地方を直撃した。その中でもそこは過疎が進む一方の一都市で、簡単に言えば街おこし、過疎化をどうにかしようと複数のアーティストの作品展示が行われた場所だ。多くのアーティストに参加してもらうために作品の審査は最低限しか行われず、凡そ九百の作品が街のあちらこちらに置かれる運びとなった。

 少子化。若い世代の流出。これは世界中の多くの国が抱える問題でもある。

 ではこの地方都市が世界に先駆け積極的に行った街おこしは成功したのか? 答えは半分成功、半分失敗。

 なぜか。

 観光客は当時も今も多くが集まっている。だから成功。

 しかし街が望んでいた若い世代の転入はあまり効果がなかった。だから失敗。

 とは言え観光地として成功しているのだから地方都市としてはおおむね良好と言っていいだろう。

 そんな場所に一際異彩を放つ作品が。

 それこそが件の『神赦婚姻(しんしゃこんいん)』である。


「もうすぐ着くわよー」

「うん」


 一日が経って、ヴォワたちは車の中にいた。トーハの運転による芸術村への観光だ。当然パトカーではなく自分の車で。


「ぬ~」

「ふっ、運転出来ないからってむくれないでよ、エアラリス。うふふ」

「ふんっ、運転出来るからって自慢なさらないで下さいまし」


 これは決して弱点ではない。ただの年齢の問題だ、だからいずれどうとでもなる。エアラリスはそう自らを励ました。

 ヴォワが外を眺めると街の雰囲気は都心とは打って変わって山が多くなり、背の高い建築物は少なくなってきていた。

 道路こそ整っているけれどそれはここを通過する車が多かったからで、残念ながらこの街のためではなかった。

 そんな風景の中、奇妙なものが建っているのが見えた。個性的――と言うべきか……それともただの変な塔と言うべきか……原色で塗られたそれは正直目に痛かった。

 それを皮切りに美術品が次から次へと現れ始めた。そこでは写真を撮っている人もいるし、画を描いている人もいた。笑っている人もいたが。


「ふむ、『神赦婚姻』を観た後に他の作品も観てみようか」

「ここの全部観ようとすると一日じゃ時間たんないわよ」

「いいんじゃないかね? 泊っても」

「「お泊り⁉」」


 喜色満面、ハモるエアラリスとトーハ、犬猿の二人。


「むろん部屋は三つとるが」

「「ちっ」」

「舌を打つな警察に突き出すよ」

「ふっ、それくらいならあたしがもみ消して――熱い!」


 パイプを首筋に当てられて、トーハのあくどい笑顔は引っ込んだ。

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