第17話 あの葉が落ちればキミの命も尽きるんだね
「襲撃者は反バチカンの男だった。キミのところにバチカンの使者が――教皇庁列聖省の調査機関だが――それが来るのをしって先回りしてきたそうだ。と言っても男は口をわらなかったから脳波を視ただけだけどね」
「あ~ん」
「キミの聴く星の声――地球の鳴き声、その力が本物で奇跡と認定するにあまりあるか、が焦点だ」
「あ~ん」
「神道と仏も動いていて――」
「あ~ん」
「……」
「あ~ん痛い!」
舌にフォークを当てられてエアラリスは悲鳴を上げた。ヴォワは眉を釣り上げながら肩をすくめる。
「キミが撃たれたのは足で手は自由に扱えるはずだが?」
ベッドの横に置かれた小さな床頭台に、兎にカットされた林檎が乗る皿がある。みずみずしく蜜が見えているそれをむいたのはヴォワだ。彼女は「まあ一応けが人だし」と快くむいてあげたのだけれど口にまで運んであげるには至らなかった。エアラリスが親しみやすい性格と言っても出逢ってまだ五か月なのだ。そこまで心を開いているのではない。と思うのだが。
「開きましょう! 心もお股も! 痛い!」
「次下品なセリフを口にしたら舌じゃなく目に刺すよ」
「怖い!」
ヴォワは重いため息を吐いた。次いで彼女は外を見て、
「あの葉が落ちればキミの命も尽きるんだね」
「どこの物語ですかわたし超元気ですよ」
「なら林檎くらい一人で食べられるね」
「しまった!」
まんまと乗せられたエアラリス。大きく丸く頬をドングリを口内にためたリスのように膨らませてしまう。そんな頬をつつくヴォワ。押せば戻ってくる若い肌だ。だが、自分の方が若いなとヴォワはかすかに笑った。




