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24.未来を拾いに

ユリアーナと霊魂、お互いの呼称で一生悩んでます。(笑)

「あんた」同士だと判別できないので、

ユリアーナ→霊魂:

「レイ(霊)」、「タマ(魂)」、「お嬢」、「もう一人の私」...

霊魂→ユリアーナ:

「相棒」、「あんた」、「姫」...


などなど、何かいい呼び方募集してます。

「ありえないわ」


 白衣に身を包んだ女医"リリア・モラン"の瞳は私の体に釘付けだった。

 彼女が診察道具を片付ける手つきにも、普段とは異なる緊張感が感じられた。窓から差し込む朝日が部屋を温かく照らし出している中、彼女の表情は一層の驚きを隠し切れず、その眼差しは混乱と好奇心が交錯しているように見えた。


 エレシアは心配そうな顔をしながら、続けて尋ねた。


「どうでしょうか……先生?」


「どうでしょうも何も、この回復速度は医学的に考えても説明がつかない。まるで別人のようだわ……」


 リリアは私の腕をそっと持ち上げ、皮膚の弾力を確かめるように指でつまんだ。彼女の手は冷たく、その冷たさが私の皮膚にはっきりと感じられた。


 近くにいたリリアの助手――名をグレイスと呼ぶらしい――も同じく、驚きの表情を隠せずに私たちのやり取りを見守っていた。彼女はカルテを手に、今までの記録と私の現在の状態を照らし合わせながらも、興味津々な様子だった。

 助手が静かにメモを取り続ける中、リリアは私の反応を詳細に観察していた。彼女の眉間には皺が刻まれ、医学的な興味と懸念が混在する表情を浮かべている。


「本当に、もう何ともないの?」


 その問いに、私は笑みを浮かべた。


「ええ、今のところは」


 はぁ――。と驚きとも呆れとも取れない様な声を漏らす中で、彼女は頷き言葉を続けた。


「それは喜ばしい限りだけれど、急激な変化は常に何らかの原因があるものよ。我々としては、その原因を探り、未知のリスクを回避することが重要だと思ってるわ」


 彼女は一旦深くため息をつき、更なる検査を提案する。


「念のため、これからも定期的にチェックさせてほしいわ。あなたにまだ残る魔力回路の異常が、将来的にどんな影響をもたらすかわからないからね」


 その瞬間、リリアの瞳は専門的な興味により一層輝いていた。彼女の一言一言には、科学者としての好奇心と、患者に対する深い配慮が感じられた。


「そこで、なんだけど。 あなた、私専属の被検体<サンプル>になるつもりは……」


 彼女が期待を込めて私に問いかけた。


「ありません」


 私が即答すると、リリアはがっくりと肩を落とした。その表情はまるで重い幕が落ちたかのようだったが、彼女はすぐに持ち前のプロフェッショナリズムを取り戻し、前向きな提案を続けた。


「それならば、そろそろ外に出かけてみるのもいい頃かもね。少し体を動かして、日常生活への復帰を準備するのもいいでしょう」


 彼女は私を励ますように微笑みながら続けた。


「まずはゆっくりと周囲を散策することから始めましょう。この辺りの森は魔物も弱いから、リハビリにはちょうどいいわよ」


 私はその提案に戸惑いを隠せなかった。実はその森にはすでに何度も足を運んでおり、そのたびに魔物たちを軽く退けていたからだ。何を言われるか分からないので、ひとまずその事実は隠し、頷いておいた。


 診察が終わりに近づくと、彼女はエレシアに目を向け、温かく声をかけた。


「最後に、エレシア……本当によく頑張ったわね」


 その言葉にエレシアは照れくさそうに頭を掻きながらも、幸せそうに笑った。女医が優しくエレシアの頭を撫でると、エレシアは感謝の言葉を述べた。


「はい。先生のおかげです。感謝しています」


 二人は心からの感謝を込めてしっかりと握手を交わした。その様子が、これまでの苦労を乗り越えた絆を象徴しているようだった。


 彼女たちを見送った後、静かになった屋敷の中でエレシアが優しく提案した。


「そろそろ、ご飯にしましょう。準備しますね」


「ええ、すぐに行くわ」


 私は微笑みながら応じた。


 ――いい先生でしょ。


 不意に、声が聞こえた。

 声と共にモゾモゾと、胸元から顔を覗かせたこのフェレットの様な小さな動物こそ、この世界のユリアーナだ。

 朝起きたら突如としてこの形に変わっていたのだ。

 どうにも、霊魂のままの姿だと生きた心地がしなくて嫌だとか。

 エレシアに聞こえないように、私はその小さな生き物にそっと耳打ちした。


「あの女医さん、本心から気にかけてくれていたみたいだし。これからも信用できそうね」


 そういうと、「当然よ」と言っているかのようにふんすと鼻を鳴らしていた。


 服を着替えて居間へと向かう途中、廊下の窓から差し込む日光が心地よく感じられた。

 居間に入ると、エレシアはすでにテーブルに色とりどりの料理を並べて待っていた。彼女の手作り料理は、その一皿一皿に細やかな気配りが感じられ、いつも以上に美味しそうに見えた。心なしか、今日の料理は特別な愛情を感じさせるものだった。


 私たちは向かい合わせに座り、温かい食事を共にした。エレシアの料理は、いつもと変わらぬ美味しさだった。もしもこれがエレシアの作る最後の料理になるとしたら、私はそれを心から味わいたかった。もし亀裂の先が私の故郷であるなら、私はおそらくここには戻って来ないだろうから。そんな思いを抱きながら、私は一口ごとに深くその味を刻み込んだ。


 そんな時に、私の胸元から顔を出しているフェレットが、私だけに聞こえる声で軽快に話し始めた。


 ――いいなぁ、エレシアの料理。美味しそう。


 この大事な時に、なんて呑気な奴なんだと思いながらも彼女のコメントが緊張した空間には心地よく響いた。

 食事の終わりに、エレシアが突然話題を変えて、亀裂探索の話を切り出した。彼女の声には期待とわずかな緊張が交じっていた。


「今日はついに亀裂探索ですね。」


 私は彼女の目を見つめながら頷いた。


「ええ、昨日発見したはずなのに本当に長い時間が経ったように感じるわ」


 エレシアはうなずきながら、その言葉に同意した。彼女の表情からは、この重要な日に賭ける決意がしっかりと感じ取れた。私たちはお互いの眼差しを交わし、励ますように微笑みあった。


 食事を終えると、私たちはすぐに準備に取りかかった。倉庫から見つけた剣と、武器屋で購入したグローブを身につけ、決意を込めて屋敷を出た。外に出ると、館を一瞥しながら、これまでの日々を思い返した。


「それじゃあ、行きましょうか」


 声に力を込めて、私は前を向いた。一匹の奇妙な霊体と一人の忠実なメイドを連れて、森の中に存在する亀裂へと足を進めた。


 その日の天気は、気持ち悪いくらいに快晴だった。



 ♢ ♢ ♢ ♢



 ***********************

 保有アイテム:

「母のペンダント」

「監視のチョーカー」

「帰還のスクロール」

「緊急用のマジックポーション(すごく不味い)」

「エレシアのお弁当」

 装備品:

 バトルグローブ:「影炎拳グラヴィス」

「一振りのショートソード」

 ************************

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