神降臨
『櫻井、お前は全世界の暗殺者から狙われてるぞ。だから、宗彩聖と北朝鮮に行け。誰もお前に手出し出来ないはずだ。そこで、修行をして、いずれは組織のトップを目指すのだ。』
櫻井は何も言い返せなかった。
『皆の者、我は神なり。我に逆らうものは、容赦無く罰を与える。俺を倒せる者はこの世に存在しない。俺は無敵だ。俺の指示通りに働け。そして、世のために、世界のために、任務を全うせよ。』
俺は、宙から金色のオーラを発した。すると、俺もビックリすることが起こった。想定外の出来事である。かすみの娘、つまりレイが近づいてきた。
『新宿のおじちゃん、何してるの?空飛んで遊んでるの?あのね、レイも空を飛べるよ。』
そう言うと、レイの体がゆっくりと床から離れていく。ゆっくりと宙に浮き、俺に近づいてきた。さらに、ニコニコとしながら、自由にあちらこちらと回り始めた。その姿は、まさに天使のようであった。
この子は、何者なんだ。俺を含め、ここにいる者、全員がそう思っていたに違いない。いや、宗彩聖だけは、分かっているようであった。レイは、彩の元に降りていき、何やら二人で話していた。
この二人、いつからこんなに仲良くなったんだ。彩のやつ、何やら企んでいるのか。油断はできない。
俺は、人の心を読み取れる。だか、なぜか、レイの心は読み取れなかった。
俺はスピーチを終わりにした。誰も不服を申し立てる者はいなかった。彩がレイを連れて、俺とかすみのところにやってきた。
『この子、凄いでしょ。かすみさん、先ほど、あなたは「アフロディーテ」つまり「ヴィーナス」と申し上げました。それは、嘘ではありませんことよ。あなたも神です。美を司る神です。そして、あなたの娘さんも神です。ヴィーナスの後継者、「マリア」です。お嬢様は、将来、男の子を授かるはずです。その男の子こそ、現代の救世主となるお方です。』
俺も、かすみも唖然としていた。
『ヒロ君、あなたも確かに神の仲間入りをなさいました。しかし、かすみさんやレイさんとは、神のランクが違います。いいですか、かすみさんとレイさんに仕えるのです。あなたの使命は、かすみさんとレイさんを守ること。新たな救世主を無事に誕生させることですよ。それを忘れないで。』
レイがかすみに抱かれている。この二人を守る決意をするヒロであった。
レイが朴正恩に向かって、手を振った。
『バイバイ。朴ちゃん。また、遊ぼうね。』
朴正恩が、ニコニコ笑って、手を振った。俺は、朴正恩に右手を開いて、お前の運命は俺が握っていると言うことを示唆した。冷静に考えてみると、朴正恩に対して、『ぼくちゃん』と呼ぶなんて、信じられないことだ。
気がかりなのは、俺の意志に反し、レイが鮮烈なデビューを飾ってしまったことだ。最高機密情報とするよう、Mr.Tに指示をしたか、遅かれ早かれ、裏世界にレイの存在が轟くであろう。将来、救世主の母となる子であり、すでに神の力に目覚めているのだ。自分の組織に取り込みたいと考えるのは必然である。レイだけではない。かすみもその標的になるであろう。彩はそのことを俺に伝えたかったのだと確信した。
その彩はレイと何やら話をしている。レイはケタケタと笑っている。俺は嫌な予感がした。そして、その予感は的中した。
中川総統は、このビルの一室を用意してくれた。今夜はその部屋で過ごすことになった。俺はさっきまで、自分が神であることを高らかに宣言し、己が無敵で、不死身であるとを伝えた。その俺が今、裸で正座をしている。俺の前には、ゆみかすみが仁王立ちして、睨みつけていた。
『いったいどういうこと?あなたの仕事は、女性の前でお尻を出すことなの?ちゃんと説明して。』
かすみの怒りは頂点に達している。俺の心を読まれる前に、正直に話すしかない。しかし、彩先生のいたずらには困ったものだ。俺のお尻に、メッセージが書かれていたのだ。
『ヒロ君をよろしくね、彩。』
この文章が、俺のお尻に書かれていたのた。俺は、釜山と北京での出来事を詳細に語った。しかし、彩を抱いたことは語らなかった。
『ヒロ君、私を甘く見ているようね。あのね、レイが話してくれたの。レイは私やあなたと同じように心が読めるの。知ってた?それで、あなたと彩さんが裸で抱き合ってたって、私に教えてくれたのよ。』
だめだ、完全にバレている。
『私もあなたの心を読むは。』
そう言うと、かすみは近づき、俺の額に手を当てた。
『あなたの心は分かりました。使命のために、行ったことなのね。だから、その行為については、許してあげる。ただし、私に嘘をついたことは、許しません。そして、そのお尻のメッセージも許せない。だから、罰を与えるは。不服はある?』
俺は観念した。
『不服はありません。』
かすみは、涙を流していた。
『かすみ、嘘をついて、ごめん。かすみを傷つけたくなくて、黙っていた。俺のかすみに対する感情は、今も昔も変わらない。愛しているよ。かすみだけを愛しているよ。』
かすみは黙っている。そして、涙を拭って、口を開いた。
『ヒロ君の気持ち、分かってるわ。でも、私は我慢できないの。だから、罰は受けてもらうは。覚悟してね。』
かすみは、俺に四つん這いになるよう指示した。そして、俺の右のお尻に書かれている文字めがけて、手のひらを振り下ろした。パシン、パシン、、、何度も何度も、お尻を平手打ちされた。
『罰はこの文字を消すこと。私が消してあげる。』
パシン、パシン、、、お尻がヒリヒリしてきた。この文字が消えるのに、どれくらい叩けばいいのだろうか。今は耐えるしかない。赤く腫れ上がり、傷だらけになれば、人体再生の能力で、元の皮膚に戻せるはずだ。パシン、パシン、、、。
ふと、見上げると、扉が少し開いているのが分かった。隙間から、誰かがこちらを見ている。彩とレイだ。二人ともゲラゲラと笑っている。やはり、二人が結託したのだ。悪い予感は、よく当たる。
『ねっ、私の言った通りになったでしょう。』
『うん。お姉さんの言ったことをママに伝えたよ。お姉さんとおじさんが裸で抱き合ってたって。そしたら、ママはすごく怒ってた。』
レイには心を読む力は、まだなかったのだ。彩の悪知恵に利用されただけであった。彩は本当に恐ろしい女だと思い知らされた。
『私の言ったことが当たったでしょ。おじさんも強いけど、レイちゃんのママの方が強いって。』
『レイのママが一番強いの?』
『違うわ。1番は、レイちゃん。2番が私。3番がレイちゃんのママ。そして、4番目がおじさんかな。』
『レイが1番なの?レイは、まだ子供だよ。』
『そうね。今は子供だけど、レイちゃんは可愛いから、みんなが守ってくれるの。レイちゃんのためなら、みんなが力を貸してくれるのよ。
だから、レイちゃんが1番なの。』
『なんか、おじさん、お尻ぺんぺんされて、かわいそう。』
『大丈夫よ。案外、おじさんは、喜んでるから。ほら、よく見てごらん。おじさんが、こっち見てるよ。
レイちゃん、手を振ってごらん。』
レイは、俺に気づいたようだ。俺に手を振ってる。参ったなあ。とんでもないところを見られてしまった。俺は苦笑いした。
『ほら、おじさん、笑ってるでしょ。だから、大丈夫よ。』
『本当だ。おじさん、笑ってる。』
1時間ほど、お尻を叩かれ、すっかり文字は消えた。かすみが優しく俺を抱いてくれている。凄く暖かい。心も体も癒される。幸せな気持ちに包まれていく。彩が言った通り、かすみはヴィーナスだと思った。俺は、赤く腫れ上がったお尻に、手をかざした。すると、徐々に再生が始まり。5分ほどで、もとの状態に戻った。俺は、かすみを強く抱きしめた。
この先、いったいどうなるのか?
最強の神 彩
美の神 かすみ
救世主の母 レイ
今宵、俺の前に3人の神が降臨した。3人の女神に囲まれて、俺はどうなるのか?考えても仕方ない。俺は、俺の使命を果たすのみ。3人を守る。そのためには、いかなる困難にも勝ち進まねばならない。精進しなければならない。




